みなさんは物的環境を知っていますか?保育の現場における環境構成の一つで、物体や場所などの物理的なものを指しています。指導案などでも環境構成について考えることはあるかと思いますが、物的環境について細かく考えていなかったという方もいるのではないでしょうか。この記事では物的環境について取り上げて、物的環境を考える上でのポイントや重要である理由にも触れていきます。子供たちが思い切り遊ぶことができる環境を整えるためにも、是非この記事を読んで物的環境について考えてみてくださいね。
物的環境とは?
子供たちを取り巻く物理的な環境
物的環境とは、保育現場を構成する四つの環境のうちの一つです。物的環境は子供たちが園生活を送る中で関わる物理的なもの全てが当てはまり、生活する場所や使用するものなどを指します。具体的には園庭や保育室、おもちゃなど物理的なものをまとめた総称ということになりますね。子供たちが保育園で生活する中で、物理的な環境やものと関わり合う時間は非常に長く、常に子供たちを取り巻いていると言えるでしょう。子供たちと関わる時間が極めて長い物的環境の重要性がわかりますね。
保育に関する環境構成とは?
子供たちの成長に合わせた園生活を取り巻く環境
環境構成とは、子供たちの成長度合いに応じて子供たちを取り巻く環境を工夫することで、園生活を豊かにしていくことです。保育士や園の運営を行う大人たちは、立案した環境構成を実現して子供たちの主体性を育んでいきます。さまざまな環境が相互作用を成すことが子供一人ひとりの成長や生活に関わってくるので、適切に援助することが重要になってくるようですね。実際に保育士の保育指導案においても、環境構成を含めてどのような保育を実践していくのか記載します。それだけ環境構成が園生活において重要だということですね。年齢別の環境構成例などを紹介している記事もあるので、ぜひチェックしてください。
保育環境を工夫しよう!【ポイント・アイディア紹介】
保育の現場は四つの環境で構成されている
保育現場は大きく分けて四つの環境から構成されています。四つの環境のうち一つ目は、周囲の人の人間関係や雰囲気を指す人的環境。二つ目は園庭や園を取り巻く自然一帯を指す自然環境。地域の住民の方や公共施設での触れ合いを含む社会的環境が三つ目ですね。そして最後に今回のテーマである物的環境です。この四種類の環境が組み合わさって作り出されたものが保育環境というわけですね。保育士くらぶでは人的環境に関する記事もアップされているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
保育園における物的環境は?
園庭
園内において子供たちが走り回り、動き回る場所は園庭でしょう。すなわち、子供たちの安全面も含めて、物的環境として多くのことを考えなければならないのが園庭ですよね。園庭は十分な大きさであり、好きに走り回ることができる環境で、子供たちがぶつかってしまうことはないか。園庭内の遊具がしっかりと整備されており、割れたり欠けたりしている部分はなく、危険性はないと言えるのか。注意してみなければならないポイントが多く存在していますね。
保育室
保育室は子供たちが園生活の中で多くの時間を費やす場所と言えるでしょう。ですから子供たちが使用したおもちゃが散らかっていたり、さまざまなものがあったりと整理することが難しくもある場所といえます。園にいる子供たちは年齢も異なりますし、さまざまな理由から子供たち一人ひとりの生活リズムが異なることも多くあるでしょう。例えばホコリが舞っている中で子供が食事をしたり寝たりしないように、配置を工夫する必要が出てくることもあります。
おもちゃや道具
子供たちが使う道具やおもちゃも、物的環境を構成する一つです。人数に対して、必要な数の道具やおもちゃが揃っているのかは重要な要素でしょう。子供たちによって、使いたがるおもちゃや道具は異なっているので、子供たちの好みに合わせて数の融通を効かせることも必要になってきますね。また、子供たちの自発的な意欲を引き出すためにも、いつも決まった場所に決まったものが置いてあるという環境が重要です。子供たちの手元に行く物なので意識的に整備や安全確認を行うと良いでしょう。
園内の清潔の度合い
園庭や遊具、保育室など具体的な場所だけではなく、園内の清潔度合いも物的環境と捉えることができます。ものが壊れていたり、ものの配置が悪かったりして、園児に危険が及びかねない状況になることがあるでしょう。これと同様に清潔さが足りていない場合も、子供たちが体調を崩してしまったり、集中力を欠く原因になったりと子供たちに悪い影響を与えることにつながるでしょう。清潔度合いもまた、子供たちに影響を与えうるということを意識しながら清掃すると良いですね。園内の掃除に関しては、別で記事も公開されているので是非チェックしてみてくださいね。
物的環境が重要な理由は?
安全を守るため
大事な子供たちを預かって生活をしている保育園において、子供たちの安全には特に目を配っていることでしょう。通園している子供の数が多い園では一人ひとりの面倒を見ることが非常に大変であるケースも多いですよね。物的環境は子供たちの園生活において非常に密接なもので、怪我や危険の要因ともなりうるものです。子供たちは何が危険か、どのようなことをしてはいけないかなど判別できないことも多々あるでしょう。行動や特徴を考慮して、子供たちの安全を守るためにも物的環境は非常に重要ですね。
運動や遊びが成長につながるため
保育園における遊びや運動は子供達の成長につながっていきます。ですから子供たちが遊ぶ場所である園庭や保育室、子供たちが扱うものであるおもちゃなどは子供たちの成長につながるものとも言い換えられるでしょう。子供たちが自主的に動きたくなったり、興味を持つような物の置き方や環境の整えは非常に有効です。他のものごとに意識を引っ張られたり、散らかったままの環境では子供たちの成長を阻害してしまうことになるでしょう。安心して遊んだり運動したりして、子供たちの発達につながっていくような物的環境の重要性が分かりますね。
物的環境を整える上で保育士が配慮すべきポイントは?
それぞれに合った環境を目指そう
一つ目の保育士が配慮すべきポイントは、子供たちそれぞれの特徴にあった物的環境を目指すということです。子供たちは月齢や発達度合いによって適した物的環境は異なってきます。とはいえ、子供たち全員にそれぞれの環境を与えることは難しいでしょう。ですから、発達度合いや好みなどに合わせた物的環境をいくつか作成することを心がけることをお勧めします。その子供専用の物的環境を準備するとまではいかずとも、自分に合った環境を無意識に選択できるような工夫ができると良いですね。
保育士同士で連携しよう
保育士の方が配慮するポイントとして、保育士同士の連携も挙げられるでしょう。物的環境に限らず、園生活において子供たちを取り巻く環境構成に一つの正解はありません。ですから保育士一人ひとりに考えがあり、目指す環境が異なるということもあるでしょう。意思疎通をうまくできていないと、チグハグな環境になってしまうことも考えられますね。子供たちを取り巻く環境を作っていく上で、よく話し合うことが重要です。加えて、多くの子供たちが通っている中で、保育士1人が子供たち全員のことを考えるのは難しいですよね。話し合ってテーマやベースを決めることができれば、保育士同士で役割分担をすることもできるでしょう。
ルールを作ろう
物的環境を考える上で有効なポイントは、あらかじめルールを作っておくということです。ルール自体は物理的なものではなく、物的環境に関わるのかと疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、空間やおもちゃなどにルールを作ることは物的環境において非常に重要です。例えば、走り回ってはいけない空間を作る際に、机などの配置の仕方を工夫して子供たちが走れないような環境設定にすることが有効でしょう。「走るときは園庭で」のようなルールをあらかじめ設けることによって、その空間を走ってはいけない環境設定にすることができます。ルールを設定することもまた、物的環境を考える上で有効と言えますね。
子供の目線になって考えよう
物的環境に限らず、園生活において子供たちを取り巻く環境を考える上で子供の立場で考えることは非常に重要でしょう。どこにものが置いてあると動きやすいのか、どのような環境であると自発的に行動しやすいのかなどを子供の立場から考えると、より良い物的環境を整えられますね。特に目線の高さは意識しなければ、目に入らないので一度座ってみてみるなどすると新たな発見があるかもしれません。また、子供たちの見方は一度で理解できるものではないので、様子を見ながら試行錯誤していくことも有効ですね。
物的環境を考える上でのポイントは?
図を用いて考えよう。
環境構成、特に物的環境を考える上では、文章ではなく図や絵を用いることをお勧めします。というのも、机や椅子、おもちゃの置き方や園児が用いるであろう導線を文章や箇条書きで書くと、後々見返した際にわからなくなってしまうかもしれません。また、同僚と共有したくてもうまく伝わらないこともあるでしょう。可能であれば、図も丁寧に描いたり、導線には矢印を足したりという工夫もすると良いですね。どうしても、図では伝わらないものに限って注釈のように文章を書いておくとメリハリがついて分かりやすいでしょう。
気になる点はメモしておこう
子供たちと接している中で、環境構成や工夫に関して気づくことが多くあることでしょう。しかし、そのときは思い浮かんだことを今度環境構成に生かそうと考えるけれど、いざその時になると忘れてしまうこともありますよね。ですから、気になる点をこまめにメモしておくことをお勧めします。書きたいと考えても、忙しくても書けないということもあるでしょう。ですから毎日業務後などにその日の感じたことをメモする習慣を作ると良いかもしれませんね。まとまった時間を取る必要はありませんし、子供たちを取り巻く環境の工夫のためにも定期的に時間を取ると良いでしょう。
まとめ
物的環境を整えて健やかな成長を見守ろう
いかがだったでしょうか。今回は保育現場の環境構成の一つ、物的環境について説明しました。保育園における物的環境の例や、物的環境を配慮する上でのポイントなどについても触れましたね。物的環境は子供たちの成長や発達につながるものであると同時に、子供たちの安全を守るものでもありました。他にも関連する記事も紹介しているので、是非読んでみてくださいね。この記事を読んだことを機に、物的環境と園生活を取り巻く環境構成を見直してみると良いでしょう。
よくある質問
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