IQと発達障害の関係は?【IQとは・検査方法・IQは上げられる?など】

みなさんはIQという言葉を知っているでしょうか。詳しくは理解していなくても、言葉を耳にしたり、知っていたりする人は多いのではないでしょうか。実は、IQは発達障害にも大きく関わっています。療育や保育の現場でも非常に重要な情報というわけですね。今回は、発達障害とIQに焦点を当てていきます。さまざまな種類の発達障害とIQの関係性にも触れていきますよ。ぜひこの記事を読んで、発達障害とIQに関する知識を深めて、子供たちとの接し方にも活かしてみてくださいね。

IQ(知能指数)とは

知能指数を意味する言葉

IQはIntelligence Quotientの略で、知能指数を意味する言葉です。知能指数は、知能を数値で表しているもので知能検査の表示として用いられていますね。IQは人間の知能全てを表すわけではなく、あくまでもいくつかの側面から評価するものです。記憶力や問題解決能力など、目に見えない能力を数値化することによって、個々人ののIQを知ることができます。IQはビジネスの場をはじめとしたさまざまな分野で広く活用されていますね。

基準値は100で平均は90から100程度

IQには「精神年齢÷生活年齢×100」という決まった算出方法があります。精神年齢はテストで判断される知能のスコアのようなもので、生活年齢は生まれてからの暦、すなわち実年齢を表します。ですから、記憶力や問題解決能力などのさまざまな能力のスコアと年齢によって、IQ決まるというわけですね。算出式からも分かる通り、実年齢の基準相応の精神年齢である場合にIQは100となります。基準のIQ値は100とされていて、IQの平均値は90から100程度であると言われていますよ。

IQ70未満が知的障害の目安とされている

知的障害の基準となるIQの値は70であることが多く、70未満であると知的障害となります。都道府県によっては知的障害認定基準を75に設定していることもあるようですね。一般的には、IQが50〜70である人を軽度知的障害としています。知的障害の基準よりも高く平均値よりも低い、IQ70〜85程度の人をグレーゾーンと言います。現在では、このグレーゾーンが大きく注目されていて、知的障害認定を受けられないが故に、困っているという方もいるようですね。IQ70未満の人が人口に占める割合は2%強程度だとされています。

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IQの種類とは?

流動性知能

実は、IQは2種類に分かれると言われていて、そのうちの1つが流動性知能です。流動性知能とは、自分が環境にうまく適応するために必要な能力のことを指します。名前の通り、自分が流動的になるための基礎となる能力というわけですね。新たな情報を獲得、処理、操作していく知能を指します。具体的には、推論する力や思考力、直感力などの能力が、流動性知能に含まれています。この流動性知能は10代後半から20代前半でピークを迎えるとも言われているようですね。

結晶性知能

IQは2つに分類され、上で述べた流動性知能のほかにも結晶性知能があります。結晶性知能とは、個人が経験や教育を経て獲得していく能力、知能を指しています。名前の通り、蓄積によって結晶化していく知能というわけですね。個人が経験する教育や学習は多岐に渡るので、結晶性知能は個性にあふれたものになっていきます。具体的には、言語能力やコミュニケーション能力、自制力などが結晶性知能に含まれていますね。流動性知能のピークはかなり早く訪れるものですが、結晶性知能は大幅な低下は見られず、高齢になっても安定していることが特徴と言えるでしょう。

さまざまな発達障害とIQの関係は?

ADHDであるとIQが低い傾向にあると言われてきた

かつて、注意欠如多動症(ADHD)の人のIQは低いと言われてきました。もともと、明確な根拠はなく、経験則的に語られているものでした。最近の研究では、ADHDとIQに関係があるのではなく、ADHDとその他の障害や精神疾患を合併している人のIQが極めて低いことによって、相対的に平均のIQが下がっているということが判明しました。ADHDを抱える人は、注意力が散漫になることが多くある一方で、自分の関心事になると集中力を発揮することも多くあります。知能検査に集中しておらず、実際のIQよりも低いIQが出てしまうこともあるようなので、あくまでも一つの判断材料として捉えるのが良いでしょう。

ギフテッド2E:発達障害を持つギフテッド

ギフテッド2Eはギフテッドと発達障害を併せ持つ人のことです。近年、耳にすることが増えたギフテッドは、生まれつきずば抜けた才能を持っている人のことを指しますね。つまり、ギフテッド2Eとは、ある能力は非常に優れているものの、その他のある能力が不十分となる状態を指します。実際に、ギフテッドと発達障害を併発しているケースは多いと言われています。IQが非常に高いことも特徴の一つで、IQ130を超える人も少なくないようです。

アスペルガー症候群=高 IQとは限らない

アスペルガー症候群を抱えた天才的な偉人がいるということもあり、アスペルガー症候群の人はIQが高いと考えている方が少なくありません。しかしながら、そのような事実はありません。実際には、高いIQの人も平均程度の人もアスペルガー症候群でない人と同程度にいます。アスペルガー症候群の人も、その他の発達障害と同様に能力のばらつきが多いのが特徴と言えるでしょう。得意なことが、極端に優れているというケースがあることで、アスペルガー症候群の人のIQが高いという噂が広まったと言われていますね。

知能検査の方法

ウェクスラー式知能検査

世界で最も使用されている知能検査の方法は、ウェクスラー式知能検査です。ウェクスラー式知能検査は、世界各地で使用されていて、日本でも一般的な知能検査の方法ですね。ウェクスラー式知能検査は、年齢によって方法が異なりますが、幼児は通称ウィプシと呼ばれるものを使用します。知識や算数などの言語性のものと、迷路や積み木模様の組み合わせなどの動作性のものを行い、総合的に判断します。合計11種類の検査が行われ、より多面的にIQが検査されますね。

田中ビネー式知能検査

日本人向けの知能検査方法も存在しています。それが田中ビネー式知能検査です。子供の発達状態を測定するための知能検査で、発達障害の診断にも使用されているものですね。日本人向けに作成された方式で、検査内容に日本文化や生活様式なども含まれているのが特徴と言えるでしょう。知能の発達状態を把握して、課題解決の方法を導き出すことを可能にします。年齢によって検査方法が異なることも特徴で、精神年齢を算出して実年齢との差で発達状態を測定します。

IQを測定する意味は?

支援や学習指導の計画する上で役に立つ

IQを測定することの意味はいくつかありますが、支援や学習指導の計画をする上で役に立つという点が挙げられるでしょう。知能検査は単にIQが分かるというものではなく、さまざまな能力の有無を確認することができます。つまり、その子供はどのようなことが得意で、どのようなことが不得意なのかを判別する機会となります。こういった子供の特性を把握することによって、支援や学習指導の計画を作成もしやすくなるでしょう。子供たちの苦手なことを補填したり、得意なことをのばしたりすることで、子供のための教育や支援に繋がりますね。

知的機能に遅れがあるのかを確認できる

上でも述べたように、IQは知的機能に遅れがあるかどうかを確認する基準の一つと言えるでしょう。療育手帳の取得や子供が通う学校の選択においても非常に重要な情報になりうるでしょう。支援が必要な子供に対して、適切な支援を行き届かせるためにも、IQの測定は重要な作業であると言えますね。また、子供に遅れがあるのではないかという疑問や不安を抱えているケースが多くあります。そのようなケースでも一つの対処法として有効と言えますね。

IQを上げることはできる?

子供も大人も上げられる

かつて、IQは生まれつき決まっているもので、高まることはないという説も多く聞かれました。しかし、現在は多くの研究が進み、大人になるまで、さらには大人になってからでもIQのトレーニングをすることは可能ということがわかってきています。IQの種類でも触れましたが、流動性知能も20歳程度がピークとなるため、子供のうちからトレーニングをすることでより高いIQを手に入れることができるでしょう。また、結晶性知能は経験によって獲得していくことができるものです。ですから、大人であっても流動性知能の低下を抑えたり、新たな経験をもとに結晶性知能を向上させることもできるでしょう。

IQを上げる方法は?

遊びを多く取り入れる

子供のIQを上げる方法として、遊びを多く取り入れることが挙げられます。遊ぶことは一見、楽しむものに捉えられがちですが、実は多くのことを吸収する機会にもなります。物事を楽しむことで関心も強まりますし、どのようにすればうまくいくだろうなど、考えるきっかけになるでしょう。特に幼少期は、遊びの機会も多いですが、実はこの遊びの時間が子供たちにとって非常に有意義な時間になっているというわけですね。療育の現場でも、運動や遊びを取り入れたアクティビティが行われているように、遊んだり楽しんだりすることは子供たちにとって重要なことと言えるでしょう。

音読や読み聞かせを行う

絵本をはじめとする読み物を音読したり読み聞かせたりすることも、IQの向上に有効な方法のようですね。音読や読み聞かせは、脳に良い刺激を与えるとされています。加えて、多くの言葉や文章に触れることによって、語彙力を養うこともできます。今後子供たちが成長していく上で、さまざまな能力を獲得していくこともあるでしょう。その際にも言語能力は非常に重要です。言語能力は今後のIQが向上していく上で基礎となるものとも言えそうですね。

積極的なコミュニケーション

幼少期のコミュニケーションもまた、IQの向上に有効と言えます。人と会話することによって、新たな言葉を知ったり、正しい言葉の使い方を学んだりして言語能力を高めることにつながるでしょう。言語能力は音読や読み聞かせの際にも触れたように、IQ向上において非常に重要な能力となります。また、コミュニケーションの方法を工夫するとより効果的でしょう。例えば、質問を多くしてみると子供たちが物事を考える貴重な機会となるでしょう。コミュニケーション能力自体も重要な能力ですし、人と深く関わることによってより多くの刺激を得られる環境を整えることになるでしょう。

まとめ

発達障害とIQの関係性について知ろう

いかがだったでしょうか。今回はIQをテーマにさまざまな話題に触れてきました。知的障害や発達障害にも深く関わっているIQ。日常生活でも言葉自体を聞くことがあっても、どのようなものなのかよく知らなかったという人も多くいることでしょう。今回の記事では、IQと発達障害の関係や、子供のIQを上げる方法に触れてきましたね。特にIQを上げる方法は基礎的な子供の知的能力を構造させることとも繋がっているので、子供たちの将来のためにもぜひ活用してみると良いでしょう。療育や保育の現場でも工夫してみてくださいね。

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