レット症候群とはどんな病気?症状や特徴について解説します!【顔つき・大人・手の動き・特徴】

皆さんは、【レット症候群】という病気について聞いたことはあるでしょうか?【レット症候群】とは、女児のみが発症する病気の1つで、10万人に8~9人の割合で発症します。遺伝子が原因とされる病気で、具体的な治療方法はまだ見つかっていません。現在、日本国内では難病に指定されています。さて今回は、そんな【レット症候群】の症状や特徴などについて解説していきます。

レット症候群とは?

遺伝子変異が原因の疾患

レット症候群とは、1つまたは複数の遺伝子変異によって引き起こされる疾患。全患者のうち、約95%がMECP2遺伝子という遺伝子が原因となっていることが分かっています。そのほかには、早期からけいれんがあり発達が遅れている場合の原因遺伝子としてリン酸化 酵素 をコードしているCDKL5遺伝子、変異 (CDKL5)をコードしているFOXG1遺伝子変異などが見つかっています。

獲得した発達が退行していくという特徴がある

レット症候群は、一度獲得した発達が退行していくという特徴があります。生まれた時には、身体的な成長、発語や運動機能の発達に関する問題はみられません。生後6ヵ月が経過すると、筋緊張や自閉傾向が出現。その後徐々に運動や発語などの発達の面において、できていたことができなくなるという風に症状が変化していきます。このように一度発達してできるようになったものができなくなってしまうことを、【退行】といいます。

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レット症候群の症状や特徴は?

生後6カ月以降の発達の退行

レット症候群の特徴として、まず1つ目に【退行】が挙げられます。上記でも説明したように、レット症候群の患者は、生後すぐには成長や発達の面において異常は見られません。胎生期・周産期にも異常が見られず、生後5カ月までの間、精神的な発達・身体的な発達が明らかに正常。しかし、生後6カ月以降から運動機能や発語に関しておいて、退行が見られるようになります。この退行の現象がレット症候群の大きな特徴です。

特徴的な手の常同運動

次に挙げられるのは、特徴的な手の常同運動。物をつかんだり、手を伸ばしたり、目的のある動きが徐々に減少します。そして、目的のある手の動きが消失した後、手を口にもっていったり、こすったりするしぐさが見られるようになります。この特徴的な手の動きは、自閉症の傾向がある子供にもよく見られるもの。スプーンやおもちゃを握ったりすることができなくなるので、レット症候群における非常にわかりやすい症状として考えられます。

歩行障害

レット症候群の症状として、歩行障害も挙げられます。症状が軽い場合には、歩くことや小走りすることはできます。しかし、症状が重篤な場合は、歩行障害・歩行失効が見られるように。歩行ができるようになる前から、運動発達の遅れや退行が見られるため、寝返りや四つん這いの獲得が遅れます。それだけでなく、【筋緊張】という身体の筋肉を支える部分に異常が起きると、歩行障害の他にも身体が固くなることがあります。疾患が進行すると同時に、移動に車いすを使用したり、座る時に姿勢を保つために補装具が必要に。体幹にも影響がでるため、フラつくようになることもあるようです。

コミュニケーション障害

コミュニケーション障害も、レット症候群の特徴的な症状として挙げられます。「あうあう」などの喃語(なんご)、あるいは意味のある言葉を習得したあとに、言語機能が部分的、または完全に消失。このように、発語ができなくなることによって外界とのコミュニケーションが難しくなります。これは構音機能の低下が原因のひとつには考えられるものの、さらに詳しい原因についてはまだわかっていません。

レット症候群の症状はどう変化する?

第1期:発達がゆるやかになる

レット症候群には、ある程度決まった症状の進行の仕方が見られます。症状の進行は全部で4つに分けられ、すべての患者について同じように確認されます。まず第1期では、運動・言語発達の遅れと自閉的な症状が特徴として見られるように。そこまでは、問題なく進んでいた発達が遅れるようになります。1度は見られた喃語や四つ這いが、それ以上の発達が見られなくなります。それだけでなく、日中の睡眠時間が長くなり、外部の刺激に対する反応が薄くなったり、急に手のかからなくなることが。おもちゃへの興味がなくなっていたり、視線が合わなくなったりする場合には、注意が必要です。

第2期:発達が急速に退行する

第2期は、だいたい1歳~4歳ごろに見られ、数カ月続くと考えられます。この時期の特徴は運動・言語発達の急激な退行と、本人の意思とは関わりない手の常同行動です。運動機能、言語発達に急な退行が見られます。おもちゃやスプーンを持つことができなくなり、おしゃぶりをするなどの目的のある動きをとれなくなることも。また、起きている間のみ、両手を揉んだり、口に持っていったり、片手で胸を叩く、などの常同行動が出ます。乳児期にこのステージとなった場合には、寝返りから遅れることが多く、特に四つ這いの移動はできない、または遅れることがほとんど。歩行ができていた場合には、この時期に歩行が不安定となり、体を横へ揺らすような歩き方となります。

第3期:症状が安定する

第3期では、退行ののち、発達面での症状が安定したように見える時期があります。イライラやかんしゃくなどは少なくなり、視線もよく合うように。しかし、この時期には、身体的問題がよりはっきりと明確に見られるようになります。例としては、手の常同運動や呼吸障害、歯ぎしりなど。また、患者の約40~80%に、てんかんが発生します。筋緊張の症状が急激に進むので、背骨の側弯への対応が必要となってくる時期です。

第4期:機能が低下する

第4期は、レット症候群を発症し、約10年ほど経過してから始まります。手や足を動かすことが出来なくなるため、運動が出来ず身体が細くなっていきます。症状の重さなどによって、歩行が出来なくなってしまうので、移動に車いすが必要になるように。それだけでなく、筋緊張の状態が進み、背骨がゆがむ脊柱側弯が進行し姿勢を保つことが難しくなります。【ジストニア運動】という筋肉の異常によって、無意識に体が動いてしまう症状も。食事をする際に、飲み込む力が衰えてしまって時間がかかるようになったり、胃や食堂に逆流症が確認され、外科的な治療が必要になることもあります。

レット症候群の治療法は?

対症療法

レット症候群には、根本的な治療が確立されていません。そのため、レット症候群の患者に対しては、それぞれの症状をケアする対症療法により症状の緩和を目指します。例として挙げられるのは、運動機能の低下に対する理学療法、発話に関する言語療法。また症状として多く見られるけいれんには、抗けいれん薬の調整などです。また、背骨がゆがんでくる側弯に対しては、コルセットを使用して姿勢の維持を行います。

レット症候群のある子供のケアで気を付けるポイント

視線でやりとりすること

レット症候群のある子どもは、うまく身体を動かすことはできません。しかし、耳で捉えた音はしっかりと聞こえており、においや触られた感覚もしっかりと感じています。ただ、レット症候群のある子どもは、自らの意思により体を動かすことが難しいので、自分の意思を伝える方法が限られてきます。そのため、視線を動かしてあげることが非常に重要に。疾病の度合いが重度の場合には、外界からの刺激に対して反応をできるのは視線を動かすのみとなります。声をかけてあげるときには、目を見ながらやりとりを行うのがよいとされています。

栄養状態に配慮すること

レット症候群のある子どもは嚥下が困難になるので、食事にかかる時間が長く必要です。食事の際には、誤嚥を防ぐためにトロミをつけて、便秘を抑えるためにも、食物繊維の多い食事が推奨されます。身体の中に管を入れて栄養をとっている場合には亜鉛、必須アミノ酸、カルニチンなどの不足にならないように注意が必要に。また、運動ができず、骨密度の低下により骨折することが多くなります。そのため、定期的に骨密度などを測定し、活性型ビタミンDやカルシウム摂取などを心がけると良いでしょう。

早い段階から整形外科に相談すること

症状が進行してくると、筋緊張の異常や側弯によって歩行が困難に。子供のレット症候群に気が付いた場合には、歩行機能を失わないうちに、整形外科に相談してコルセットや補装具を作成する相談をすることが望ましいでしょう。運動機能の発達がなくなったり、退行することになるため、骨密度の低下や体幹が失われたりします。そのため、早いうちから専門家に相談することによって、退行を遅らせたり、怪我を防ぐことが可能になるでしょう。

レット症候群かもしれないと不安に思ったら

乳幼児診査で相談する

もしレット症候群かもしれないと感じた場合、どのような対応をするべきでしょうか?まずは、乳幼児健康診査で相談することが出来ます。乳幼児健康診査は乳児健診とも呼ばれ、母子保健法の定めにより各自治体が実施するもの。各市区町村の保健センターなどで行い、赤ちゃんが順調に発達しているかどうかを確認し、病気の予防や早期発見をするための検査です。3ヶ月、6ヶ月、1歳半というふうに乳幼児の発達の節目に受けることができます。レット症候群の場合には、初期症状が生後6ヶ月~1歳半ごろから出始めるので、3、6ヶ月の時点ではもちろん、1歳半健診の際にも、見過ごされてしまう可能性も。乳幼児健診は普段の子育てで疑問に思っていることや、なかなか話す機会がない不安などを専門家に相談できる場所です。

地域子育て支援センターに相談する

続いて地域子育て支援センターに相談することが挙げられます。地域子育て支援センターとは、行政や自治体が主体となって運営している施設。子育ての不安・悩みに対し専門的なアドバイスをしてくれる保健師が在籍または巡回しています。日時によっては乳幼児の発達相談を無料で行っています。地域の母子向けに子育てサロンを開催や発達に合わせたセミナーを主催していることもあり、気軽に利用できるでしょう。専門的な医療の場で相談することも重要ですが、発達の悩みなどは、同じ月齢の子供を持つ人たちと共有することも効果的であると考えられます。

病院を受診する

上記で紹介したレット症候群の症状が明らかである時には、すみやかに医療機関で診察を受けることをおすすめします。医療機関の受診を考える場合には、まず近くやいつも利用する小児科で相談してみると良いでしょう。レット症候群は、一般の病院を受診しても、なかなか確定診断に至らない場合があります。そのため、受診の際には近くの「指定難病特定医師」を訪ねることが、確定診断につながります。

まとめ

レット症候群について理解を深めましょう

ここまで、レット症候群の症状や特徴について解説しました。日本では、発症数が少ないことなどが影響して、あまり知られていない疾患の1つです。認知度が低いだけでなく、治療法がまだ対症治療のみであったり、指定難病であるにも関わらず、情報の少ない疾患といえます。おおくの人がレット症候群について少しでも知っていたり、理解している人が増えることによって、疾患の早期発見につながるようになるでしょう。

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