「子育て」と「保育」の違いって?本質的な違いを解説【子供との関係性・メリット・デメリット】

似ているようでさまざまな違いがある”保育”と”子育て”。子供の世話をする・面倒を見るという点では同じように思えるかも知れません。子供が育っていく上で、保育も子育てもとても身近な存在ですよね。そこで今回は、保育と子育ての違いについて解説します。子供との関係性や環境の違い、子供からの見え方についてご紹介します。また、保育と子育ての各メリットやデメリット、それぞれの経験が活かせることについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

子育てと保育の最大の違い

子供との関係性

子育てと保育の最大の違いは、子供との関係性です。子育てにおける子供との関係性は”親と子”であることです。自分の子供を育てるという明確な意思があるでしょう。対して保育は、”保育士と園児”であり、あくまでも保護者から預かっている子供をお世話することが目的です。保育を行うことは、仕事であり保育士としての責任から、子供の向き合い方が親とは少し異なります。保護者や周囲の関係者との関わりもあるため、子供と接していくことへの難しさもあるでしょう。

子供からの”見え方”

大人だけでなく、子供からも見え方は異なります。保育の場では、保育士はあくまで先生であり、親として認識しているわけではありません。子供は、”わがまま”や”いたずら”をすることも少なくありませんよね。ですが、子供ながらに親と他人とで、”わがまま”や”いたずら”の内容を使い分けていたりします。親だからこそ、甘えられることやできるわがままがあると言うことです。一緒に様々なことを経験してきた先生として子供は少しずつ心を開いていくでしょう。

保育士くらぶ

子育てと保育のその他の違い

1. 子供と接する時間

子育ての場合、子供と接する時間は常々です。家事をしている時も、寝ている時も、子供に何かあればすぐに駆けつけますよね。子育てでは、休みなく子供と接します。対して、保育では基本的に子供を預かっている時間帯のみ、子供と接することになります。あくまで保育は仕事として行うため、休日や勤務時間が終わると休むことができるでしょう。子育てと保育の違いは、子供と接する時間が仕事であるか日常であるかによって大きく異なります。

2. 協力し合える仲間がいる

保育においては、保育士が一人だけで行うことはありません。クラスを1人で担当することはあっても、職場の仲間たちで助け合い、支え合いながら子供達と接していくでしょう。子供についてわからないことや、うまくいかずに落ち込むことも相談できます。子育ての場合は、家で子供と向き合うのは親だけです。親同士で助け合うこともありますが、時には孤独を感じることもあるでしょう。どんなに対応が難しいことがあっても、必ず子供と向き合うことが求められます。

3. 客観的か主観的か

保育では、子供と接する時間は仕事になります。仕事中は、たくさんの子供と関わるので客観な立場で子供と接していくでしょう。子供の日頃の姿や、その日の状況を保護者に説明する責任もあるので、客観性がとても重要になってきます。一方で、子育てでは我が子として接し、常に一緒に行動するので主観的な捉え方になるでしょう。保育の現場とは違って心身ともに近い存在として関わる保育では、客観的な立場に立つのは難しいことです。

4. 大勢と1人

大人だけでなく、子供の立場においても子育てと保育の違いはあります。保育所では、子供は他のお友達と集団生活をする場となり、お手本となって小さな子たちと接することもあるでしょう。保育の場において子供たちは、“友達や先生に良いところを見せて褒められたい”と頑張る姿を見せます。一方で、子育ては家庭内のことです。家ではリラックスして休める環境であることで、子供が安心することができます。また、集団生活ではないため自ら考えて行動していく必要があります。

5. 自己主張する場と甘えられる存在

保育士に対してと、親に対してでは子供が求めることが異なります。子供はよく、「イヤだ」と抵抗することがありますよね。保育士に対しては、“〇〇したい”と自己主張することで意思表示を行なっています。対して、親へは“甘えたい、わがままを受け入れてもらいたい”という気持ちが大きいでしょう。子供にとって親は、愛情を確かめる手段の一つです。保育は自己主張する場であり、子育てにおいては甘えられる場、愛情を確かめることができる存在として異なります。

6. 見通しを持って計画的に行なっているか

家庭内で行う子育てと、保育所保育の違いは、見通しを持って計画的な保育を行なっているかどうかです。教育的に子供と接することを意識して行なっていくことが保育と言えるでしょう。時間管理や環境づくり、子供の発達段階に応じた対応など、多くの子供たちと関わる中であらゆる事柄を想定しておく必要があります。その想定を基に、事前準備を行い、子供たちを受け入れることは、子育てと最も異なります。

7. 子育てには終わりがない

保育士には休日があり、保育の時間が終わると今日の様子や明日への改善点など振り返りを行うことができます。しかし、子育てにおいては“終わり”はありません。子供が寝てくれる少しの時間の中で自由に過ごすことができても、何かあればすぐに中断し子育てに戻ることが多いでしょう。子供が大人になっても子供に対する心配が尽きることはありません。進学や就職といったライフイベントなど、人生において子供と関わっていくことが子育てです。

親が行う子育て

子供との愛着関係が基礎となる

子育てを行う上で、子供と親の基礎となるのは愛着関係です。

愛着関係:お互いが心のつながり感じ、安心できる関係

子育てにおいては、子供は自らの欲求を受け入れ満たしてもらうことで、親から愛されていることを実感し、愛着関係を構築していくでしょう。しかし、愛着関係を築いていく上で大切なのは、固執しすぎないことです。関係性を重要視しすぎてしまうと、子供の成長にマイナスの影響を与える可能性もあるため注意が必要です。

メリット:子供に安心感をもたらす

親と子として行う子育てのメリットは、子供に安心感をもたらすことです。お腹の中でお母さんと一緒に成長し、子供は親と一緒にいる時が一番安心できる時間でしょう。また、親であれば子供の泣き声が聞こえると、すぐに子供のそばへ行き“抱っこしてあげよう”と感じるのが本能です。求めればすぐに駆けつけて、無条件に愛情を持って応えてもらえる存在であることは、子供にとってとても安心できることです。

デメリット:依存関係に陥りやすい

愛着関係における子育てのデメリットは、依存関係に陥りやすいことです。“いつでも愛情を持って応えてくれる”という安心感は、常に依存と隣り合わせです。子供が求めること全てに応じていれば、安心感が甘えとなり、依存関係へと変化していくことでしょう。親と子どもだけの環境であれば、お互いの適切な距離感がわからなくなってしまい、辛い状況になってしまうため、周囲との関わりが大切になってきます。

保育士が行う保育

メリット:子供の発達をサポートする

ほとんどの子育てを行う親は、初心者として子供を育てていきますよね。対して保育士は、保育のプロとして子供と接します。子供の発達やサポートの方法について詳しく学び、実践と経験を活かして子供と関わります。どんな遊びを取り入れたら良いか、どういった声かけを行なっていくかなど、子供の対応の仕方も子育てとは異なるでしょう。保育士が行う保育では、理論と実践に基づいた保育を用いて、子供が心身ともに成長することを支える役割となります。

デメリット:集団生活からの疲れ

集団生活として、たくさんの子供達と一緒に過ごす保育園では、子供が疲れやストレスから、体調を崩してしまうこともあります。周囲の子供達と接することで、子供の成長に良い影響を与え協調性が育まれますが、感じるストレスや疲れも大きいでしょう。常に周りに人がいて、音で溢れている集団の中にいる時間が長すぎると、心身に影響を与える可能性もあります。大人同様に、子供も家でゆっくりと過ごす時間も大切です。

保育と子育てで活かせること

子供に対する接し方が慣れている

保育と子育ては、子供との関係や接する上での意識といった点では、大きく異なります。しかし、年齢や成長段階によって大きく変化する子供の向き合い方、接し方に慣れていることは、保育と子育てに共通して活かせることの一つです。特に、2歳ごろから始まる“イヤイヤ期”であれば、子供への慣れから対応をスムーズに行えることもあるでしょう。子供に対しての言葉遣いや話し方なども、経験や慣れを活かして適切な対応を行うことができます。

保護者の気持ちに寄り添うことができる

保育においても、子育てにおいても子供を育てる保護者の気持ちに寄り添うことはとても大切なことです。特に子育て経験があると、より気持ちを理解しやすくなるでしょう。子育てにおいては、孤立しやすく、気軽に悩みを相談しにくい保護者も少なくありません。そんな中で、悩みを共有でき、相談しにくいことも打ち明けやすい存在はとても重要になるでしょう。保育においては、先生という立場から適切なアドバイスを求められることもあります。悩みを相談でき、親しみやすい存在であることが大切です。

子供が見せる姿の違いを理解する

子供から見た関係性を理解しておくことはとても大切です。保育の場であれば、あくまでも保育士は”先生”であり、”保護者”ではないということです。子供が先生に大して見せる姿と、保護者である親に対して見せる姿は必ずしも同じとは言えないでしょう。保育士として、保護者として、それぞれ異なった立場だからこそできる子供への対応を行うことで、成長をサポートすることができます。子供が親にしか見せない部分、保育園での集団活動で学んでいく姿の両方を理解してあげることが大切です。

まとめ

子供の成長には子育ても保育も欠かせない

保育と子育てで共通していることは、子供の成長を見守り面倒を見ることです。子供の成長には、親と子の愛着関係だけでなく、プロとして関わる保育も大切です。保護者と保育士がそれぞれの役割を担ってサポートすることで、子供の発達に繋げることができるでしょう。保育と子育て、どちらにも楽しい所、悩む所、難しい所があります。子供を思いやる気持ちを大切にして、接していくことで、それぞれの良い部分を活かしていくことができるでしょう。子供が育つ環境には、保育も子育ても欠かせない存在です。

保育士くらぶ

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