子供の誤嚥に気をつけよう!【対処法・起きやすいもの・事前に気を付けておくべきものなど】

みなさんは誤嚥という言葉を知っているでしょうか。誤嚥という言葉自体は聞いたことがなくても、食べ物が喉に詰まるという経験はあるのではないでしょうか。特に保育園で働いている方にとって、子供たちの誤嚥は気をつけなければならないポイントの一つと言えるでしょう。実際に、誤嚥が起きたシチュエーションでは落ち着いて対応することは難しいですよね。今回はそんな誤嚥について解説します。対処法や、事前に気をつけるべきポイントなどについても紹介するのでぜひ読んでみてくださいね。

誤嚥とは?

食べ物などが誤って咽頭と気管に入ってしまう状態

物を食べる際には口から食道を経て胃へと送られますが、何らかの理由で食べ物が食道側ではなく気管側に入ってしまうことがあり、この状態を誤嚥と言います。またこの誤嚥という言葉は、誤って食べ物ではない物を飲み込み、気管側に入ってしまった際にも使用します。実は多くの人に誤嚥が起きる可能性はあります。しかし、ある程度成長した人は咳をしたりむせたりすることによって誤嚥物を吐き出すことができていますね。一方で、むせや咳をうまくできない成長段階の子供や高齢者などにとっては非常に深刻な問題にもなります。

場合によっては死に至ることもある

誤嚥は健康な人にとってはそれほど大きな問題とならないことが多いですが、場合によっては大事に至ることもあるため、注意をが必要です。実際に、令和3年には1,117人の0~4歳の子供がものを詰まらせたり誤って飲み込んだりしたことによって搬送されています。(参照:東京消防庁の「救急搬送データから見る日常生活事故の実態 令和3年」)加えて、消費庁のレポートによると平成26年から令和元年までの6年間で、5歳以下の子供が73人も亡くなっていることがわかっていますね。(参照:消費者庁「食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意!」) 他の年代と比べても、幼い子供と高齢者は大事に至る可能性が高いようです。死にも至りうる誤嚥には万全の注意を払う必要があると言えますね。

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子供が誤嚥してしまったらどうする?

口の中を確認する

実際に子供が物を喉に詰まらせてしまった際に、まず行うべきことは口の中を確認するということですね。口の中に含まれている場合は指を入れて取り出すことで改善することもあるでしょう。加えて、取り出すことができないにしても何を飲み込んだのかの確認をできる場合もあるので有効と言えますね。口の中に物が入っている際に、大きな声を出したり、急に口を開けたりすることは避けるように心がけましょう。子供が驚いてしまって、気管に入ってしまうことがあります。そっと声をかけたり、落ち着いた行動を取ったりすることを心がけると良いですね。

背部叩打法

乳児の誤嚥や誤飲が起こった際の方法として、背部叩打法が挙げられるでしょう。背部叩打法とは背中を叩いて異物を除去する方法です。片腕の上に乳児をうつ伏せに寝かせて、顔を掌で支えます。この際に子供の頭部が低くなるような姿勢にすることが重要でしょう。この姿勢がとれたのちに、もう一方の手の付け根で背中を数回強く叩くことで異物の除去を目指すという方法ですね。東京消防庁の公式チャンネルに、乳児に対する背部叩打法のやり方を解説している動画もあるので、チェックしておくと良いでしょう。参照:窒息に対する応急手当(乳児:背部叩打法)

胸部突き上げ法

誤嚥や誤飲が起こった際の方法として、胸部突き上げ法も挙げられます。上で挙げた背部叩打法と同様に乳児に対する異物除去の方法として知られているものですね。胸部突き上げ法は腕の上で乳児を仰向けにし、掌で後頭部と首を支えます。頭部が低い状態でもう一方の手の中指と薬指で胸骨圧迫を数回行うことで異物除去を目指します。背部叩打法と胸部突き上げ法を交互に繰り返して、口の中に異物が見えたら慎重に取り除きましょう。東京消防庁の公式チャンネルに、乳児に対する胸部突き上げ法のやり方を解説している動画もあるので、チェックしておくと良いですね。参照:窒息に対する応急手当(乳児:胸部突き上げ法)

腹部突き上げ法

誤嚥や誤飲が起こった際には、腹部突き上げ法も挙げられます。この腹部突き上げ法は乳児に対しては使うことができないので、乳児の誤嚥や誤飲に対しては背部叩打法と胸部突き上げ法を用いてくださいね。腹部突き上げ法のやり方は背後から両腕を前に回して、握りこぶしにした片方の手をもう片方の手で握りましょう。この両手をみぞおちとへその中間あたりに当て、両手で腹部を圧迫します。東京消防庁の公式チャンネルに、小児及び成人に対する胸部突き上げ法のやり方を解説している動画もあるので、チェックしておくと良いでしょう。参照:窒息に対する応急手当(成人・小児:腹部付き上げ法)

誤嚥と誤飲の違いは?

異物が入ってしまう場所が違う

誤嚥と似た言葉に誤飲というものがあります。誤って飲み込んでしまうという点では同じですが、誤嚥と誤飲には異物が入っていく場所が違います。食べ物に限らずさまざまなものを飲み込み、気道内に流入してしまうことが誤嚥でしたね。一方で、本来食べ物が通るはずの食道内に、誤って飲み込んでしまった異物が流入してしまうことを誤飲と表します。誤嚥と誤飲では、事故が起きやすい物や症状が異なるので、きっちりと見分けることが、落ち着いて対処する一歩とも言えるでしょう。

特に子供が誤嚥しやすい物は?

豆やナッツ類

子供たちが誤嚥しやすいものとして、豆やナッツ類が挙げられます。豆やナッツ類が最たる例ですが、硬く、噛み砕かなければならない食べ物はかなり危険性が高いと言えるでしょう。幼い子供は奥歯が生え揃っていないことや噛む力が十分でないこともよくあります。そんな子供が豆やナッツ類を口にして、咽頭や気管に詰まらせると窒息の危険性も高まることでしょう。豆やナッツ類は噛み砕けたとしても気管に入り込むと肺炎や気管支炎のリスクもあるようですね。

ミニトマトやブドウなど

ミニトマトやブドウなどの球体の食べ物も誤嚥しやすいものと言えるでしょう。上で挙げた豆やナッツ類に比べると硬いわけではありません。しかし、丸ごと食べさせるとそのまま飲み込んでしまい窒息してしまう可能性があります。大きさや水分も相まってスポッと飲み込んでしまうことがよくあるので気をつける必要がありますね。二等分や四等分して食べやすい大きさにしたり、柔らかく調理したりすると、安全度が上がることでしょう。

パン

誤嚥の危険性が高いものとして、パンも挙げられます。大きさも調整しやすく、柔らかいものも多いことから、パンに誤嚥の可能性があると思っていなかった方もいるのではないでしょうか。実はちぎって食べた一欠片のパンであっても、そのまま飲み込んでしまうと非常に危険です。というのも、パンなどの粘着性が高く水分を吸収することで固形になる食べ物は、唾液を吸収することで飲み込みにくくなるからです。柔らかさがあることで逆にうまく噛み切ることができずそのまま飲み込んでしまうケースもあるようなので注意が必要ですね。

おもちゃ

口に入れた際に危険性があるものの例として、おもちゃも挙げられるでしょう。食べ物は口に入れたのちに食道に流入していくのが普通ですが、おもちゃは食べ物ではないので誤飲となってしまいます。保育園では誤嚥や誤飲の対策のために口に入るほどの小さいおもちゃはあまり常備されていないかもしれません。しかし、おもちゃの部品やビー玉などは誤嚥、誤飲の事故が非常に多いので、注意が必要ですね。おもちゃの大きさが子供が扱うものとして適切であるか、おもちゃの破損や外れかかった部品がないかなどの確認も大切ですね。

子供の誤嚥を防ぐために気をつけるべきポイントは?

食べることに集中させる

子供の誤嚥を防ぐために一番重要なことは食事中は食事に集中させるということでしょう。子供たちは気になることがあると立ち上がったり、歩き回ったりと思うがままに動いてしまいます。食事中以外においては、好奇心旺盛であることは非常に良いことと言えますね。しかし、物を口に入れながら走り回ったり、笑ったりすると誤嚥が起きる可能性が大きく高まってしまいます。子供たちが食べることに集中できるような環境を整えることは予防という点で非常に重要と言えるでしょう。

子供の発達具合に合った食べ方をさせる

子供の誤嚥を防ぐためのポイントとして子供の成長度合いに合わせた食事を行うということも挙げられます。保育園に通っている子供たちには年齢差があります。加えて、年齢が同じであっても体の成長度合いが異なっていることもあるでしょう。成長度合いで食べられるものや、食べられる大きさは変わってきます。一人ひとりの成長具合に合わせて食事を取らせるのはかなり大変なことですよね。ですから発達度合いに大きな差が見られる子は意識的に見るようにするなど工夫すると少しでもリスクを減らすことにつながるでしょう。

食事の間は目を離さないように心がける

子供の誤嚥を防ぐためのポイントとして目を離さないように意識するということも挙げられます。子供たちの食事中に、片付けや準備など他の作業を行いたくなることもあるでしょう。しかし、子供たちの食事の時間は目を離さず、しっかりと見守る必要があります。というのも実際に誤嚥が起きた際には子供は声を出せないこともあるので、目で見て察知しなければなりません。誤嚥が起きないようにするのと同時に即座に適切な対応を取れるようにするというのも非常に重要でしょう。

おもちゃなども飲み込んでしまうことがあるのでその点も追記

誤嚥の可能性があるものを子供の手の届く場所に置かない

誤嚥を防ぐポイントとして、誤嚥の危険性があるものは子供の手の届く範囲に置かないということがあげられます。子供の口の大きさの直径は3歳児で4センチ程度とされています。ですから、それよりも小さいものは全て子供の口に入る可能性があるということになりますね。特に幼い子供は何でも口に入れることがあるので注意が必要でしょう。おもちゃや紙などは子供が触れるものであり、口に入れる可能性も高くなります。おもちゃの大きさに配慮したり、保育室内にあるものの大きさを確認するといった工夫が必要でしょう。

何を飲み込んだか必ず確認しよう

誤嚥の事故が発生した際には、飲み込んだものが何であるかの確認も非常に重要です。誤嚥事故が発生した際に立ち会うとパニックに陥り、何を飲み込んだのかなどを確認できなくなることがあるでしょう。しかし、搬送されたり救命措置を受けたりした際に、何を飲み込んだかという情報は非常に重要です。保育園などの施設において、子供が刺激物や薬物、タバコなどのものを飲み込む可能性は非常に低いでしょう。しかし、万が一そういったことが起きた際には危険性が非常に高いです。そういった危険を察知するためにも、子供が何を飲み込んでしまったかの確認することは非常に重要と言えるでしょう。

まとめ

対策を講じながら応急処置もしっかりと覚えておこう

いかがだったでしょうか。今回の記事では誤嚥について解説してきましたね。誤嚥事故が起きた際の対処法や防ぐためのポイント、誤嚥を起こしやすいものなどについて紹介してきました。実際に誤嚥の事故が起きると、落ち着いて対処したいけれど出来ないということもあるでしょう。ですから、あらかじめ誤嚥を防ぐための工夫をしたり、実際に起きた際のシミュレーションをしたりすることが重要でしょう。この記事を読んで、ぜひ誤嚥について考える機会にしてみてくださいね。

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