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皆さんは手遊びをいくつ知っていますか?むすんでひらいてやげんこつやまのたぬきさんなど、一度でも耳にしたことのある手遊び歌を含めると、意外と知っている種類は多くなりそうですよね。しかしながら手遊びは両手で行うものがほとんどであり、片手が不自由な子供のいる現場には適さないものも多いです。そこで今回の記事では、片手が不自由な子供が保育園にいる場合でもみんなで楽しめる手遊びをご紹介します。手遊びを行うことには楽しい以外にも沢山のメリットがあるので、保育園で積極的に行っていきましょう!
【1人で】片手で出来る面白い手遊び
簡単な指体操
1~5の番号を声に出しながら、親指から小指にかけて順に1本ずつ指を曲げていきます。小指までいったら、6番目を小指から始め、10番目の親指に向かって、同様に数えながら指を曲げていきます。
〈留意点〉
・指を曲げるときは、同時に他の指が曲がらないよう注意する
・中指~小指は曲げにくい指なので、スピードを落とし、しっかりと意識しながら行う
・小指は単体で曲げることができない人もいるので無理に力を入れないようにする
【親指体操】
親指と他の4本の指を合わせる指体操です。親指と人差し指、親指と中指、親指と薬指、親指と小指の順に指同士を合わせていきます。親指体操と同様のルールで固定する指を小指や中指などに変更したり、合わせる指を先生が指定したりして難易度を調整しましょう。
〈留意点〉
・指の腹同士がしっかりとつくようにする 他にも、グーチョキパーの動作を繰り返しながら、スピードを徐々に上げていくことなども簡単にできる指体操の一つです。
少し難しい指体操
先ほどよりも動きが少し複雑な指体操を、それぞれ3つずつご紹介します。
①人差し指と中指を腕につける動作と、中指と小指を腕につける動作を交互に繰り返します。
②人差し指と中指に輪ゴムをかけて指同士が離れるように指を広げます。
③親指、中指、薬指に輪ゴムをかけて指同士が離れるように指を広げます。
①親指、中指、薬指を合わせてキツネの形を作る動作をグーチョキパーの間に挟みます。
例:グー、チョキ、キツネ、パー
②手を前に出した後、胸元に持ってくる動作を繰り返しながら、同時にグーチョキパーを繰り返します。
③グーチョキパーの間に、太ももを叩く動作(両手を叩く代わり)を挟みます。
例:グー、パン、チョキ、パン、パー、パン
①~③の動作を組み合わせたり、速度を変えたりして、難易度を調節しましょう。
※上記の動画参照
手影絵
手で動物等の形を作り、影を映し出して再現する手影絵も片手のみで行うことができる手遊びの一つです。両手や2人以上で行った方が表現の幅は広がりますが、簡単な動物等であれば1人の片手のみで再現することが可能ですよ!例えば、手のひらを自分側に向けた状態で親指を立て、中指と薬指をくっつけて真っ直ぐに伸ばします。人差し指を曲げて輪を作り、小指を上下に動かすことで、簡単にイヌの顔を再現することができます。また、手の他に自分の頭や髪の毛なども影絵に活用できるので、片手が不自由でも表現の楽しさを味わえそうですね。オリジナルの手影絵を考案するなど、様々な遊び方を試してみましょう!
【2人以上で】片手で出来る面白い手遊び
いっぽんばしこちょこちょ
いっぽんばしこちょこちょの歌を歌いながら、2人で向き合って行う手遊びです。こちょこちょされる側の人は、一本橋に見立てた片手を差し出すだけでいいので、片手のみで遊びを行うことができますよ。片手の不自由な人がこちょこちょする側に交代した場合は、もう片方の手で相手の腕を支えることができません。こちょこちょされる側の人自ら腕を支えるようにしましょう。こちょこちょは笑っていても不快に感じる人もいるので、やり過ぎには注意が必要です。相手を意識しながら楽しく遊びましょう!
後出しじゃんけん
「勝って」や「負けて」のように与える条件を変えて、後出しじゃんけんを行う手遊びです。「じゃんけんぽんポン」の一定のリズムで、先生や友達から出されたポーズに即座に反応しなければならない頭を使うゲームとなっています。後出しじゃんけんは両手で違う動作を行うことでさらに難易度を上げられますが、片手のみでも十分頭の体操をしながら指を動かすことができますよ。また、リズムは一定のままスピードを変えたり、「負けた後に勝って」など連続して条件を与えたりすることで、難易度の変更ができますよ!
【アレンジ案】片手で出来るリズムゲーム
いとまきまき
歌を歌いながら、帽子を作る仕草をする手遊びです。両手を左右に引っ張ったり、拳を重ねたりする部分など、片手で行うのはなかなか難しい振り付けとなっていますね。そこで片手が不自由な人には、2人組のペアを作って、振り付けを協力してもらうようにしましょう。右側と左側で分担し、左右の対称的な振りをそれぞれ行うとやりやすいです。また、注意すべきなのは「とんとんとん」と拳を重ねる振りの部分や伸ばした手を元の位置に戻そうとする場面です。力加減や相手との距離を意識してお互いに痛めることのないように遊びましょう。
ひげじいさん
歌を歌いながら、手をこぶやひげ等に見立てて楽しむ手遊びです。両手で行う振り付けが多くなっていますが、拳を顔周りに持ってくる部分が多いため、2人で協力し合うと顔を怪我してしまう危険性があります。そのため、今回は「とんとんとんとん」の部分は拳を膝の上で軽く叩くようにしましょう。また、「ひげじいさん」や「こぶじいさん」などは片手のみで同様の振りを行うようにしましょう。添付した動画のように、感情に合わせて表情や声色を変えるなどして遊んでみてくださいね。
グーチョキパーでなにつくろう
歌を歌いながら、グーチョキパーの組み合わせで様々なものを再現する手遊びです。「なにつくろう」までの振り付けは片手のみでも行えますが、メインである両手のポーズを組み合わせる部分は2人で協力する必要があります。怪我防止のためにもできるだけ顔周りに手を持ってくるお題は避け、グーとチョキで作るかたつむりや、パーとパーで作るはとさんのようなお題を選びましょう。生き物や食べ物のようにお題のテーマを変えてみても面白そうですね。今回ご紹介した3つの例を参考に、両手で行うことが想定された手遊び歌も適宜片手用にアレンジして遊んでみましょう!
保育園で片手での手遊びが必要になる場面
片麻痺の子供がいるとき
片麻痺とは、脳の障害によって左右どちらかの半身が動かしにくくなる症状です。麻痺する部位や症状の程度はさまざまですが、片手が不自由になってしまうため、健常者に比べると遊びの種類は限られてしまいます。担当したクラス内に片麻痺の子供がいた際などには、遊びの内容へ配慮が求められる場面も度々出てくることでしょう。そんなとき手遊びであれば、ほんの少し工夫を加えるだけで片麻痺の子供でも他の子供達と楽しく遊びに参加することができます。片麻痺の子供に寄り添った遊びを行っていきましょう!
片手を怪我している子供がいるとき
子供は好奇心旺盛で活発に動き回るため、その分怪我をしやすいです。クラス内に捻挫や骨折などで片手が使えないという子供がいる場面もきっと少なくないはず。また、使えないほどではないけれど、片手を痛めていてあまり動かしたくないという子供がいる場面にはもっと直面しやすいのではないでしょうか。子供に怪我はつきものであり、怪我の完全防止を目指すのは困難です。怪我によって不自由がある子供でも楽しめる遊びを行うように工夫を凝らすことが重要になりそうですね。
地域の障害者や高齢者と交流するとき
様々な人との関わり方を経験したり、交流を深めたりするのは子供たちにとって重要なことです。そこで、地域の方々と交流する機会を設けているという保育園は多いのではないでしょうか。地域の障害者支援施設の方々や高齢者の方々と遊びを通して交流する際には、相手の障害や加齢による身体的な不自由さに配慮しなければなりません。片手で出来る手遊びを一緒に行うことを通して、子供達の相手を思いやる気持ちなどを養えると良いですね。今回取り上げた場面以外にも、話の話題を切り替えたいときや、子供達の注目を先生に集めたいときにも手遊びを挟むことが効果的です。ぜひお試しください!
片手で手遊びをすることの効果
脳トレに役立つ
身体の他の部位に比べて、手や指先には感覚や運動などの神経が数多く存在しています。そのため、手や指先を沢山動かしたり、積極的に何かに触れたりすることは脳の活性化に大きく役立ちますよ。高齢者の方々は、認知症予防のレクリエーションとして手を使った脳トレを行うことが多いようです。保育園ではさらに遊びの要素も取り入れて、楽しみながら脳トレを行っていきましょう。また、同時に行う作業が多いほど、脳は同時に処理する量が増えて活性化しやすくなります。組み合わせを工夫してながら作業のような手遊びを行えるとより効果的ですね!
コミュニケーション能力が発達する
手遊びは両手で行うものが多く、片手で行う前提のものは種類があまり多くありません。そこで子供の片手が不自由なときには、ペアを組んで、互いに片手のみを用いながら協力して一つの手遊びを行うことが多くなるでしょう。2人で息を合わせるために自然と言葉を交わすことで、コミュニケーション能力の発達が期待できそうですね。また、先生が既存の手遊び歌を片手向けにアレンジする際には、コミュニケーションの取りやすさ等を意識して考えることも重要ですよ。
リズム感覚が身につく
前述したいっぽんばしこちょこちょやいとまきまきのように、手遊びは歌や音楽に合わせて行うものが多くあります。手遊び歌はただ歌を聴くだけでなく、一緒に歌いながら歌に合わせて手を動かすため、リズムに乗る力を自然と身につけることができますよ。片麻痺や怪我等で身体の左右片側に不自由があり、ダンス等が出来ない場合でも、片手用の手遊びであれば簡単にできて楽しくリズム感覚が身につけられるのでおすすめですよ!
運動機能が発達する
手遊びに含まれる動作は、指先の動きに限ったものではありません。指先以外にも腕や肩等の筋肉を使う場合や、表情筋を使って異なる感情を表現する場合もあります。また、片手用の手遊びでは、手の代わりに足を使う場合もあるようですよ。片手で出来る手遊びではありますが、歌なども歌いながら様々な動きをすることで、運動機能の発達につなげることができます。運動が苦手な子供や、激しい運動が出来ない状況にある子供でも運動機能を発達させられるので良いですね!
片手で手遊びを行う際の注意点
周囲の人にぶつからないようにする
子供は歌や遊びに夢中になると、楽しさのあまり、周りが見えなくなる傾向にあります。つい夢中になりすぎて周囲を気にすることなく大きな身振りをし、近くの友達にぶつかって怪我をさせてしまうことのないように気をつけましょう。子供達自身に意識させるためにも、手遊びを行う前に先生が注意喚起を行うことが重要です。また、子供の近くに先生を配置することや、子供同士の間に一定の距離を空けることなどの環境整備も必要に応じて加えると良いでしょう。
手や手首の疲れに注意する
片手で出来る手遊びは、指先のみで簡単に行えるものから、足や腕の筋肉も駆使するようなものまで難易度や動作が多種多様です。また難易度は、動作のスピード等によって調整する場合も多いです。そのため、子供達は熱が入るあまり疲れも忘れて無茶をしてしまうかもしれません。終了後に遅れて手の疲れや手首の痛みに気付くことがないように、疲れを感じやすそうな動作の後には先生が子供達に確認すると良いでしょう。
まとめ
片手でも出来る手遊びを工夫して楽しもう
いかがでしたか?今回は手を使うレクリエーションの中でも、片手で出来る手遊びに絞ってご紹介しました。インターネットで手遊びと検索しても、片手が不自由な子供向けのものはなかなか出てこないことでしょう。しかし手遊びは、先生の少しの工夫とアイデア次第で、片手が不自由な子供でも楽しめる内容に変えることができます。安全面等に配慮しつつも、子供達がどんな状況でも楽しめるような遊びを考えて取り入れていきましょう!