早期に再就職をした場合に支給される再就職手当。保育士の方でも申請し、条件を満たせば受給することができます。これから再就職を考えている方は、スムーズに再就職手当を受給できるように条件や支給金額について知っておきたいですよね。そこで今回は、保育士の方でも再就職手当を受給するための条件や手続きの仕方、支給金額の計算方法について解説します。また、再就職手当がもらえないケースや再就職手当以外に保育士の方が受給できる手当についてもご紹介します。
再就職手当とは?
基本手当を受給していた人に支給される手当
そもそも再就職手当とは、基本手当(雇用保険)の受給資格を満たしている人が、早期に再就職したり、開業したりすることでもらえます。”ハローワーク就職祝い金”とも言われ、申請の手続きをハローワークで行うことができます。再就職手当の目的は、一定の期間を定めることで求職者がいち早く新たな職を得て、働くことを促すことです。また、手当を受給することで再就職率を高める目的もあるでしょう。再就職手当は、正社員だけでなくパートやアルバイトとして働く保育士の方も対象になります。
保育士が再就職手当を受給する条件
1. 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であること
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であると、再就職手当の受給対象者となります。残日数が3分の1を下回っている場合は、受給対象外となるため事前に確認しておく必要があるでしょう。日数を数える基準となるのは、就職日の前日までです。基本手当は失業手当の正式名称であり、失業から再就職までの期間に支給される手当です。再就職手当と失業手当は大きく異なるので、それぞれの内容や申請方法について調べておくと良いですね。
2. 7日間の待機期間満了後に再就職していること
支給対象者となるには手当の受給手続き後、7日間の待機期間を満了した後の再就職であることが必要です。基本手当には、受給手続きの後に7日間の待機期間が設けられています。この7日間の待機期間中に仕事を始めると受給資格は認められません。必ず7日間の待機期間が終わった後に再就職することが大切です。また、待機期間中にアルバイトやパートなどとして働いていた場合や、失業の認定を受けていない日は待機期間に含まれません。
3. 再就職先と前職の関わりがないこと
再就職手当を支給されるには、前職と転職先が全くの関わりを持たない必要があります。例えば、離職した職場と再就職先の保育園が、場所や名称が違っても経営元が同じであれば支給の対象から外れてしまいます。他にも、勤めていた職場からの紹介や退職後に同じ会社へ再就職した場合、資金や取引面などで密接に関わりがあることも受給対象外に含まれるでしょう。グループ企業や取引先への転職も同様です。
4. ハローワークや人材紹介会社の紹介で就職していること
離職理由が自己都合の場合は、基本的に給付制限が設けられます。倒産や解雇といった会社都合による離職では、7日間の待機期間が設けられ、満了後に再就職手当を受け取ることができます。一方、転職や結婚といった自己都合の場合は、7日間の待機期間に加えて2〜3ヶ月の給付制限が設けられるでしょう。給付制限がある場合は、待機期間満了後の日数によって手当を受け取ることのできる条件が異なるため、注意が必要です。
待機期間満了後1ヶ月以内:ハローワーク又は職業紹介事業者の紹介で就職した場合のみ手当が受けれる。待機期間満了後1ヶ月を過ぎた場合:紹介事業者を問わず手当が受けれる。
5. 再就職先で1年以上勤務することが確実であること
再就職先が決まっても、短期契約など1年以内に退職する可能性がある場合は、手当の対象外となります。派遣スタッフの場合は、1年未満の派遣契約は一般的に支給の対象外となるため注意しましょう。ただし、派遣スタッフだけでなく契約社員や有期雇用であっても、契約更新が前提にあり1年以上の就業が見込める場合は手当の対象となります。再就職手当の支給対象であるかどうかわからない場合はハローワークなど専門の機関に確認しましょう。
6. 雇用保険に加入していること
再就職手当を受給するには、再就職先で雇用保険への加入が必要となります。雇用保険とは、失業したときや病気で働くのが難しくなったときなどに利用できる公的保険制度です。仕事を失った場合でも、働く意思や能力があり、求職活動を行っている場合に支給されることが多いです。再就職手当を受給するためには、原則として再就職先で雇用保険に加入している必要があります。
7. 過去3年以内で再就職手当や常用就職支度手当を受給していないこと
就職日よりも前に、過去3年以内で再就職手当や常用就職支度手当を含む就職手当を受け取っていないことも条件の一つです。常用就職支度手当とは、失業手当を受給中に障がいなどで就職が困難になった人が1年以上の雇用を見込むことのできる仕事に再就職した場合に支給される手当です。再就職手当や常用就職支度手当を受け取ったことがある場合は、受け取った時期を確認しておくと良いでしょう。
8. 申請前にに再就職先での採用が内定していないこと
再就職手当の申請前に就職先が内定している場合は、受給対象外となります。例えば、働いている職場を退職する時点で、すでに新しい転職先が決まっている場合は支給対象外となるでしょう。再就職手当を受給するためには、失業状態であり基本手当を受給中に再就職する必要があります。また、再就職が決まり再就職手当の支給決定までに離職、又は離職予定がある場合も支給対象外となります。
再就職手当の支給金額
基本手当の残数などから計算する
再就職手当の支給額は、”基本手当日額”に”支給残日数”と”給付率”をかけた金額です。支給残日数とは、失業手当の残り期間であり、この期間が多いほど再就職手当の額は高くなるでしょう。
給付率は、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合は70%、3分の1以上残っている場合は60%です。 例えば、基本手当日額が4,000円で支給残日数が90日、給付率は70%の場合 再就職手当は、4,000円×90日×70%=252,000円 になりますね。
再就職手当の受給手続き
1. 採用証明書を提出する
再就職手当の支給を申請するには、まずハローワークへ採用証明書を提出しましょう。採用証明書は、雇用保険の受給手続きを行う際に渡される”受給者のしおり”に含まれており、再就職先で必要事項を記入してもらう必要があります。採用証明書を紛失してしまった場合は、ハローワークのホームページからダウンロードすることが可能です。提出の際は、採用証明書の他に失業認定申告書と印鑑が必要になるため注意しましょう。
2. 再就職手当支給申請書を受け取る
採用証明書に加えて、受給番号や基本手当日額などが記されている雇用保険受給資格者証、就職活動の成果を記載した失業認定報告書の3つをハローワークに提出しましょう。就職が決まった時は、就職を開始する日の前日にハローワークに行って失業認定申告書で就職の届出を行い、失業の認定を受けることが原則となっています。再就職手当の支給要件を満たしていると認定された場合は、再就職手当支給申請書を受け取ることができます。
3. 申請書を再就職先に提出し証明を受け取る
再就職手当の支給要件に該当し、再就職手当支給申請書を受け取ったら、再就職先に提出します。申請書の必要事項を記入してもらいましょう。前職と再就職先とのつながりがないことを証明する書類も併せて準備が必要です。前職と再就職先の関わりがないことを証明しないと、受給の要件を満たすことができないため忘れずに行うことが大切です。記入した書類はハローワークへ直接提出するか、もしくは郵送で申請を完了することができますよ。
4. 申請書と資格証を提出する
再就職手当支給申請書をハローワークに提出する際は、雇用保険受給資格証も合わせて提出しましょう。また、再就職先のタイムカードの写しといった転職先での勤務実績を証明する書類の提出を求められる場合もあるため、事前に準備しておく必要があります。提出期限は再就職した翌日から1ヶ月以内のため、できるだけ早く手続きを行いましょう。申請が受理された場合は、就業促進手当決定通知書が届き、自身が指定した口座へ1週間以内に振り込まれます。
保育士が再就職手当をもらえないケース
受給条件に1つも当てはまらない
受給条件が1つでも当てはまらない場合は、再就職手当を受け取ることができません。例えば、再就職する日の前日までの期間である支給残日数が3分の1以下であれば受給できません。また、短期間雇用やアルバイトのように1年以上の雇用が見込められない場合も受給条件に当てはまらないでしょう。保育士の方は特に、離職前の保育園と同じ経営元や関わりのある保育園に就職した場合、再就職手当を受給できないため注意が必要です。
再就職手当以外に保育士が受給できる手当
就業促進定着手当
再就職手当の他にも、就業促進定着手当を受給することができます。就業促進定着手当とは、早期再就職の促進を目的としている就職促進給付の一つです。受給できる手当が1つでも多いと安心しますよね。再就職手当の支給を受けた人で、再就職先に6ヶ月以上の雇用、6ヶ月間の賃金が離職前の賃金よりも低い場合に、手当が支給されます。基本手当の支給残日数の40%を上限として、低下した賃金の6ヶ月分を支給されるので、再就職の際には覚えておくと良いですね。
保育士復帰支援金(就職準備金貸付制度)
保育士復帰支援金とは、就職準備金貸付制度とも呼ばれ要件を全て満たす人に最大20万円を支援する制度です。ただし、保育士として週30時間以上の勤務を必要とするため注意しましょう。
1. 保育士として登録した後1年以上経過している2. 以下の施設または事業を離職後1年以上経過している、または勤務経験がないこと ・児童福祉法第7条に規定する保育所及び幼保連携型認定こども園 ・児童福祉法第6条の3第9項に規定する家庭的保育事業 ・児童福祉法第6条の3第10項に規定する小規模保育事業 ・児童福祉法第6条の3第12項に規定する事業所内保育事業 ・学校教育法第1条に規定する幼稚園3. 保育所等に新しく勤務する者
まとめ
保育士として受け取れる再就職手当を利用しよう
再就職手当では、正社員として働いていた人だけでなく一定の条件を満たせば、パートやアルバイトとして働く保育士の方にも受給資格があります。離職してから再就職するまでの期間によって受け取れる金額も異なるため、できるだけ早めに準備すると良いでしょう。支給要件に当てはまっているかどうか気になる場合は、ハローワークに行って相談することをおすすめします。保育士として再就職するときに向けて、再就職手当を受給できる条件をしっかり押さえておきましょう。