レディネスとは?保育での活用場面やメリット・デメリットを紹介!【心理学・ゲゼル・種類・高める・学習】

皆さんはレディネスという言葉を聞いたことがありますか?人材育成や看護、保育に関わっている人は耳にしたことがあるかもしれません。レディネスとは、学習効果を十分に得ることができる準備が整っている状態を指します。近年様々な場面で注目が集まっている概念です。保育においても、子供の学習効果を高めることができるとして重要視されてきていますよ。この記事では、レディネスについて、種類や活用場面、保育におけるメリットやデメリットを紹介していきます。

レディネスとは?

学習するために必要な準備が整っている状態のこと

レディネスとは、学習するために必要な準備が整っている状態のことを指します。例えば、普段から絵本に慣れ親しんでいて、文字に興味がある子供であれば、ひらがなを習得する準備が整っていると言えます。一般的には、4歳~5歳くらいの子供があてはまるでしょう。一方で、生まれたばかりの赤ちゃんにひらがなを習得させようとしても難しいですよね。これは、赤ちゃんに文字を覚えるレディネスが整っていないからです。このように、物事を効果的に学習するための準備、すなわちレディネスがあるかどうかで学習効率が変わってくる、ということです。

心理学者ゲゼルによって提唱された

レディネスの概念は、心理学者のゲゼルによって提唱されました。ゲゼルは、アメリカの心理学者であり小児科医でもあります。有名なのは、一卵性双生児を使った階段の上り方についての実験です。ゲゼルは、一卵性双生児のうち、1人に生後45週目から、もう1人に生後53週目から階段上りの訓練をさせ、どちらが早く階段を登れるようになるかを実験しました。結果的に早く階段を登れるようになったのは遅く訓練を開始した方であることから、ある程度成熟してから学習しないと人は学習効果を得られないという、成熟優位説を唱えたのです。このことから、学習を開始する前に準備が整っている状態が大切だとするレディネスの概念が生まれたとされています。

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レディネスはなぜ注目されているのか?

どんな環境でも意欲的に学べる姿勢が重要とされているから

それでは、なぜレディネスが注目されているのでしょうか。それは、どんな環境でも意欲的に学べる姿勢が重要視されているからです。レディネスは比較的最近、ビジネスや教育、保育の現場で注目されるようになりました。保育においては、子供の学習効果を高める新たな方法として取り入れる園が増えてきています。幼少期からレディネスを身に付けることで、その後の学びの姿勢にも良い影響を与えることができるでしょう。変化が激しい現代社会では、どんな状況でも自ら学び成長する力が求められます。人材育成にも生かせる概念として、ビジネスや教育の現場でも注目されていますよ。

レディネスの種類

デジタルレディネス

レディネスにはいくつかの種類がありますが、最初に挙げることができるのはデジタルレディネスです。最近は、様々な場面でデジタル化が進み、デジタル技術を取り入れたり、それらに関する知識を身に付ける必要が出てきましたよね。そこで重要だとされるのがデジタルレディネスです。デジタルに全く興味が無かったり、使ったことがなかったりすると、デジタルに関する知識やスキルはなかなか身につかないでしょう。普段から自分で使う機会があり、ある程度の興味関心があることで、より効果的にデジタルスキルを身に付けることができます。デジタル社会に適用するためには必須のレディネスだと言えますね。

就業レディネス

2つ目に挙げられるのが、就業レディネスです。就業レディネスとは、社会人として働くための準備ができている状態のことを指します。特に高校や大学を卒業して新卒として働く人に必要なレディネスだと言えるでしょう。今まで学校に通って学生として生活していたときと、社会に出て働くときとでは大きく環境が変わりますよね。社会に出るとはどういうことか、働く心構えができている状態が就業レディネスが身についているということです。

職業レディネス

3つ目のレディネスは、職業レディネスです。職業レディネスとは、特定の職業に対して、その仕事を始める知識や心構えが十分にある状態のことを指します。例えば、保育士の仕事に就くためには保育士資格の他に、子供と関わったことがある経験や、子供に関する興味関心が必要ですよね。これらの知識や心構え、適性が備わっている状態を、職業レディネスが身についている状態と言います。医師や看護師など、専門的な知識を高く要求される職業でもよく使われる概念ですよ。

レディネスの活用場面

保育

レディネスは様々な場面で活用されていますが、ここでは代表的な4つの場面を紹介します。初めに紹介するのは、保育現場です。保育では、子供の学習に効果的だとして、レディネスが活用されています。例えば、普段から読み聞かせを行ったり、歌を一緒に歌ったりしていると、言葉についてのレディネスが身につくでしょう。また、食事の仕方や生活習慣に関しても、子供が身に付けるものごとを年齢別に考えることで、レディネスを意識した保育計画を立てることができますよ。

教育

レディネスは教育現場でも活用されています。近年注目されているのが英語教育におけるレディネスの活用です。日本語と英語は文法も文字も全く異なるため、レディネスがない状態での学習ではなかなか成果が上がらないでしょう。一方で、幼少期から、英語に触れることで外国語教育のレディネスを身に付けることができます。本格的な英語の学習に入る前に、英語の歌を歌ったり、英語の音声で映画を観たりすることで英語に対する抵抗感も少なくなりますよね。

ビジネス

ビジネスの場面でもレディネスの活用は広がっています。部下の人材育成や新人教育の場において意識されることが多いです。社員それぞれのレディネスレベルを図ってから育成を図ることで、ビジネスに必要なスキルを効率よく身に付けることができますよ。ビジネスにおけるレディネスでは、仕事を難なく遂行できる能力と仕事に対するモチベーションの高さが必要とされます。業務内容ごとの関連性や、結果の振り返りをしっかり行うことでビジネスのレディネスを高めることができるでしょう。

看護

看護も、レディネスの概念がよく使われる場面です。看護領域は、他の職業と比べても専門性が高いですよね。医療に関する知識はもちろん、現場での経験も必要とされます。特にレディネスの概念が重要視されるのは、看護学生に対してです。看護技術のみならず、患者と向き合う際の精神的な状態や、実習中の健康状態などをレディネスと関連付けて意識することで、効果的な看護学習ができますよ。

保育におけるレディネスのメリット

子供の学習効率が上がる

保育でレディネスを活用することで、子供の学習効率を上げることができます。保育園に通っている子供は、脳が発達段階にあるため日々様々なことを学んでいきます。大人よりもできないことが多い分、日々の成長スピードも早いですよね。自分の身の回りに関する生活はもちろん、他人との関わり方や言葉や文字を覚えることなど、学ぶことは多岐に渡ります。それぞれに必要なレディネスは何かを考えながら保育することで、学習したことが身に付きやすくなりますよ。

子供が楽しく学べる

保育におけるレディネスのメリットとしては、子供が楽しく学べるということも挙げられます。子供にとっては、学習というのは必ずしも楽しいものではないはずです。特に、言葉や文字を覚える勉強となると、苦手意識を持つ子も多いのではないでしょうか。一方で、レディネスを意識した学習を行うことで、子供も楽しく取り組めるようになります。もともと興味があるものに対する学習は、子供の「知りたい」という好奇心を満たすころができます。学習を楽しいと感じることができれば、学習の継続ややる気につながりますよね。子供自身が楽しんで学ぶためにも、レディネスは大切だということです。

保育におけるレディネスのデメリット

保育士の負担が増える可能性がある

保育におけるレディネスには、デメリットも存在します。初めに挙げられるのが、保育士の負担が増える可能性がある、ということです。レディネスには、子供の学習効率を上げたり、子供の学習に対する意欲を高めたりする効果があります。一方で、保育士さんはレディネスを意識した保育計画を作成しなければなりません。現状、子供たちにはどんなレディネスが身についているのか、それを踏まえてどんな学習を取り入れるべきか、新たなレディネスを身に付けさせるにはどうすればいいか…など、考えることは沢山あります。レディネスを取り入れる際に、保育士さんの負担が増えてしまう可能性があるのはデメリットだと言えるでしょう。

効果がわかりにくい場合がある

保育におけるレディネスのデメリットとしては、効果がわかりにくい場合がある、ということです。レディネスとは、学習の準備段階を意識することで、学習したことを効率よく身に付けることができるという概念です。一方で、学習したことがどれだけ身についたか、それがレディネスの効果なのかどうかを判断するのは簡単ではありません。特に、日々生活する中で多くのことを学んでいる子供に対して、レディネスのレベルを図るのは難しいと言えるでしょう。そのため、保育においてレディネスを実践したとしても、それがどのくらいの効果を発揮しているのか判断しにくいのがデメリットだと言えます。

保育にレディネスを取り入れる際のポイント

レディネスが身に着く計画を立てる

保育にレディネスを取り入れる際には、レディネスが身に着く計画を立てるのが良いでしょう。レディネスを身に付けるためには、学習することに対する興味関心を持たせることが重要です。実際の学習に入る前に、レディネスを意識した保育計画を組み込むのがおすすめですよ。例えば、言葉や文字の学習であれば絵本の読み聞かせや歌が効果的でしょう。食事や朝の準備など、生活習慣に関する学習であれば紙芝居や劇を取り入れるのも良いかもしれませんね。

子供との適切なコミュニケーションを取る

子供との適切なコミュニケーションも、保育におけるレディネスでは重要です。保育計画に組み込んだレディネスを実践する際には、実際に子供と関わり合いながら様子を見るようにしましょう。計画していた方法でレディネスが身についているのかどうか、学習段階に入るべきかどうか、子供との関わり合いで見極めることが大切です。普段の会話を心がけることで、子供が何に興味関心を持っているのか、変化に気がつきやすくなりますよ。

学習効果の振り返りを行う

保育にレディネスを取り入れるには、学習効果の振り返りも大切です。レディネスは、学習の準備段階に着目することで学習効果を高めるものです。そのため、レディネスを取り入れて行った学習がどのように身についているのか振り返ることも大切ですよ。学習が良く身についているのであれば、今後もレディネスを継続していくのが良いでしょう。効果があまりわからない場合や、学習内容が習得できていない場合は、レディネスが身についていない可能性もあります。そのようなときは、レディネスを身に付けるための方法を変えてみるのもおすすめです。

まとめ

レディネスを取り入れて子供の学習効果を上げよう

ここまで、レディネスについて、種類や活用場面、保育への取り入れ方などを紹介してきました。レディネスは近年、学習を効率よく習得するために必要な概念だとして注目が高まっています。ビジネスや看護など、様々な業界でも活用が広がっていますよ。もちろん、子供の学習にも適用できるため、保育の現場でも取り入れることができます。保育計画に組み込み、学習効果を振り返ることで無理せず導入することができるでしょう。レディネスを意識して、子供の学習効果を上げることができると良いですね。

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