保育園での感染症対策とは?【流行しやすい感染症・マニュアル・原因・子供への対応】

保育園での感染症対策はどのように行えば良いのでしょうか。保育園で流行しやすい感染症や感染が拡大する原因を知っておくことで、適切な対策がとれるかもしれません。今回の記事では、保育園での感染症対策についてすぐに実施できそうな内容をまとめました。また、保育園で感染症の疑いが出た子供への対応方法も紹介していますので、感染症が流行った際に慌てることが無いよう、是非この記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。

保育園で流行しやすい感染症

インフルエンザ

ここでは、保育園で流行しやすい感染症に絞ってそれぞれの症状や感染経路などを解説していきます。まずは、毎年流行る傾向にあるインフルエンザ。例年11~12月頃に流行り始め、1~3月頃に感染拡大のピークを向かえているようです。主な症状は38度を超える高熱や全身の倦怠感、頭痛・関節痛などが挙げられます。感染経路は飛沫感染がほとんどですが、接触感染することも。マスクだけでは完全に対策できているとは言えないので注意が必要ですね。

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手足口病

5歳までの子供がかかることの多い手足口病。手のひらや足の裏、口の中などに小さな水ぶくれのような発疹ができるという症状です。痛みがあり、多くは38度以下の発熱が起こる場合も。感染経路は感染者の咳やくしゃみといった飛沫を吸い込むことや、手に付着したウイルスが口や目にはいることなどが挙げられます。場合によっては激痛を伴う手足口病ですが、一般的には数日で自然に治ることがほとんどだそうです。

伝染性紅斑(りんご病)

幼児期から学童期に多く見られる伝染性紅斑。頬がりんごのように赤くなることから別名りんご病とも呼ばれています。はじめは発熱や咳、鼻汁、筋肉痛などの風邪症状から発症しますが、さらに1週間が経過すると徐々に頬が赤くなり、腕や太ももにも発疹が出てきます。発症から3~4日目に最も発疹がひどくなり、かゆみやほてり、頭痛を伴うことも。感染経路には飛沫感染や接触感染が挙げられ、特に発疹が出る前は感染力が強いです。りんご病の子供に接触してしまった場合は他人との接触を控えましょう。

溶連菌感染症

例年冬や春から初夏にかけて流行する溶連菌感染症。主な症状は喉の痛みや熱・発疹で、発熱や全身倦怠感、咽頭痛などによって発症することが多いです。3歳未満の子供はあまり熱が上がらないと言われていますが、体や手足に小さく紅い発疹が出たり、舌にイチゴのようなつぶつぶの発疹が出たりすることも。感染経路としては、感染者の咳やくしゃみに含まれる細菌を吸い込むことによる飛沫感染や、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染が挙げられます。

マイコプラズマ肺炎

子供に発症頻度が高いと言われているマイコプラズマ肺炎。1歳未満ではかかることが少なく、小学生以上の児童に多い病気です。ほとんどが自然に治る病気ですが、主な症状は咳や発熱などで、中耳炎などの合併症を併発することもあるよう。飛沫感染が主な感染経路であり、2~3週間といった長い潜伏期間があるのが特徴です。マイコプラズマに感染すると、解熱した後も1~2週間程度倦怠感が続いたり、1か月程度咳が続いたりする場合があるようです。

感染性胃腸炎

夏に流行りやすい感染性胃腸炎。感染性胃腸炎は、ウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎に区別されていて、名前の通りそれぞれウイルスや細菌への感染が原因で起こる病気です。保育園での感染性胃腸炎は、主にロタウイルスやノロウイルスが原因と言われているそう。主な症状は嘔吐や下痢・発熱であり、感染するウイルスや細菌の種類によって異なります。 経口感染や飛沫感染、接触感染などにより感染拡大するようです。

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保育園で感染症が広がる原因

集団で過ごすことが多いため

保育園で流行しやすい感染症をいくつか挙げました。ではなぜ、それらの感染症が保育園で流行しやすいのでしょうか。ここからは、保育園で感染症が広がる原因として考えられる項目をまとめました。まず1つ目は、集団で過ごすことが多いためです。保育園では複数の子供が同じ部屋で一緒に食事や昼寝などを行いますよね。そのため、飛沫感染や接触感染が起こりやすい環境だと言えるでしょう。また、集団遊びでは子供同士の距離が近く、濃厚接触の機会が多いということも感染が広がる原因の1つと考えられます。

手で触れたものを口に入れてしまうため

2つ目は、子供達が手で触れたものを口に入れてしまうためです。幼児は、物の情報収集や分析をするために何でも口に入れる傾向があります。保育園では子供達が様々な種類のおもちゃを共有して遊んでいますよね。特に、乳児クラスの子供達はみんなで使っているおもちゃを口に含んでしまうことがあるでしょう。おもちゃに付着した唾液などを介して感染症が広がってしまうということが考えられます。

子供自身での予防が難しいため

3つ目は、子供自身での予防が難しいためです。保育園では、外出した際に先生の指示で手洗いやうがいをすることがあるでしょう。しかし、指示が無ければ子供達は手洗いやうがいなどの基本的な感染症対策も完全に行うことは難しいと考えられます。また、よだれや鼻水が出ても自分で適切な処理をすることが出来ず、保育園のあちこちに付着してしまっていることも感染が広がる一因となっているでしょう。

子供は免疫力が弱いため

4つ目は、子供の免疫力が弱いためです。生後6か月頃までは、お母さんからもらった免疫で守られるため感染症にかかりにくいとされていますが、その免疫も徐々に無くなっていってしまうようです。また、子供は大人よりも病原体に感染した経験が少なく、獲得免疫が未熟なため感染症にかかりやすい傾向があります。風邪をひく度に徐々に免疫力はついていきますが、それでも十分な免疫力を獲得するのには時間がかかるでしょう。

保育園での感染症対策

手洗い・うがいをする

では、保育園で感染症が広がる原因を踏まえて、どのような感染症対策を行えば良いのでしょうか。ここでは、保育園ですぐに実践できる感染症対策を紹介します。まずは手洗い・うがいを徹底することです。保育園では毎日、外遊びの後や食事の前など、手洗い・うがいをする場面が多くあるでしょう。先述した通り、子供達は自分で感染症予防を徹底することは難しいです。そのため、保育士さんがその都度指示を出し、子供達がきちんと手洗い・うがいを行えているかチェックする必要がありますね。なお、その際にタオルを共用することは控えましょう。保護者の方に協力してもらい、ハンカチの持参をお願いしたり、ペーパータオルを使ったりすることが望ましいです。

換気をこまめに行う

換気をこまめに行いましょう。換気を行うことで、室内の湿った空気を排除し、外の乾燥した空気を取り込むことが出来るため、感染症の予防だけでなくカビ発生や結露防止の効果も期待できます。1時間に1回など定期的に窓を開けるなどして、空気の入れ替えを行うように意識してみましょう。エアコンで換気できていると考える人も多いようですが、基本的にエアコンには換気機能が備わっていないため注意が必要です。

検温を徹底する

感染症の流行時には検温を徹底するようにしましょう。感染の拡大をおさえるためには、子供達の体調の些細な違和感も見逃してはいけません。検温を1日に複数回行うようにし、保育園では子供の体調の変化を見逃さないよう細心の注意を払いましょう。また登園前にも保護者の方に検温の協力をしてもらうなどして、保育園での感染症拡大を予防する必要があります。もちろん子供だけでなく、保育士さん自身の体調管理も大切ですよ。体調に違和感を感じたら無理せず、感染拡大を抑えるため適切な行動を取りましょう。

よく触れる箇所のアルコール消毒を行う

みんながよく触れる箇所のアルコール消毒を行いましょう。手や指をアルコール消毒するのはもちろんですが、ドアノブや机・椅子などのよく触れる箇所にもこまめなアルコール消毒が必要です。また、保育園にあるおもちゃやぬいぐるみなど子供達が共用しているものは、特に感染が広がる原因になりやすいので入念な消毒を心がけましょう。子供が舐めたおもちゃはその都度よけてほかの子供が触らないようにするなどの配慮も重要となりますよ。

嘔吐物や排泄物を適切に処理する

嘔吐物や排泄物の処理を適切に行いましょう。処理が不十分なまま放置し、乾燥させてしまうと細かな粉塵に。そしてそれが気流に乗って広がり、感染症を広げる原因となってしまいます。詳しい殺菌処理の仕方について、あらかじめマニュアルを作成するなどして職員間で共有しておきましょう。また、迅速な処理を行うだけでなく、処理の前後に十分な換気を行い感染症の広がりを防止する必要があります。

保育園で感染症の疑いが出た子供への対応

別室に移動させる

最後に、保育園で感染症の疑いが出た子供への対応を紹介します。実際に保育園で感染症の疑いが出た子供に対して、不安感を与えずにかつ感染を広めないためにはどのような対応をしたら良いのでしょうか。まず、保育中に感染症の疑いがある子供が出た場合、保健室等の別室に移動させましょう。直ちに他の子供への感染経路を塞いでおくことが重要です。保健室では体温の測定を行い、症状の把握をして記録をつけます。症状や経過を正確に保護者に伝え、嘱託医や看護師からの指示を受けましょう。

適切な声掛けをして安心感を与える

子供は、感染症による発熱などの症状により、不快感や不安感を抱いてしまっているかもしれません。そんな子供へ、適切な声掛けをすることで安心感を与えてあげることが出来ますよ。つい、看病の方法にばかり気が向いてしまいがちですが、子供を安心させる適切な声掛けも知っておきましょう。以下では、状況別に声掛けを紹介しています。

【発熱や痛みがあるとき】
苦しいことやつらいことに共感して、子供の不安に寄り添ってあげましょう。
・「お熱つらいね」
・「ここにいるからね」
・「お熱があるのは、ばい菌さんと戦っているからだから大丈夫だよ」
【食事のとき】
水分が十分に摂取出来ていれば、無理に食べなくても良いそうですよ。少しずつ勧めてみましょう。
・「一口だけでもいいよ」
・「ゆっくり食べようね」
・「お腹すいたら食べようね」
【回復のために子供を寝かせるとき】
体調の悪いときは、寝ることが大切です。安心して寝られるような声掛けを意識しましょう。
・「手をにぎっていようか?」
・「たくさん寝ると元気になるからね」
・「おめめを閉じて、お話ししよっか?」

まとめ

感染症対策を徹底して、保育園にいるみんなの健康を守ろう!

いかがでしたか。今回は、保育園で流行しやすい感染症や感染症が広がる原因、感染症対策について紹介しました。感染症が広がる原因を知っておくことで、適切な対策をすることにも繋がります。感染症から子供の健康を守るためには、保育士さん自身の健康管理もしっかりと行っておくことが重要ですよ。また、感染症の流行に備えて保育士さん同士で連携し情報を共有するなどして、緊急時に慌てないようにしておくことも必要ですね。今回の記事で紹介した感染症対策をぜひ実行して、保育園にいるみんなを感染症から守っていきましょう。

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