近年、公園や道端で子どもにいきなり声をかけたり、つきまとったりする不審者のニュースを目にしますよね。このような不審者から子どもたちを守るためには、保育園での不審者対応訓練がとても重要です。この記事では、保育園でできる不審者対策や不審者対応訓練を行う際のポイント、不審者の特徴などを詳しく紹介していきます。「実際に不審者が出たらどうすればいい?」「不審者に備えてどんな準備が必要なの?」このような疑問をお持ちの方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
保育園でできる不審者対策
不審者対応マニュアルを作る
保育園でできる1つ目の不審者対策は、不審者対応マニュアルを作ることです。保育園に不審者が侵入してきた場合や周辺に不審者が出た場合は、子どもの安全確保が最優先です。不審者を見かけたり、不審者の情報が出たら、すぐさま行動できるように職員間でマニュアルを共有しておきましょう。
・不審者の侵入を防ぐために施設内外の死角や侵入しやすい場所などを確認して施設設備の点検を常に行う
・来訪者にはインターホンなどで確認してから対応する
など
【緊急時の安全確保】
・不審者が侵入してきた場合は、言葉や態度に注意して、退去するように丁寧に説得する
・不審者が侵入してくる場合は迅速に110番通報する
など
参考:https://www.city.sendai.jp/uneshien-kikaku/documents/fusinsyamanyuarur31100.pdf
防犯グッズを用意する
保育園でできる2つ目の不審者対策は、防犯グッズを用意することです。以下は不審者から子どもを守るために用意しておくと良いグッズです。
・オートロック
防犯カメラを設置して常時監視を行うことが重要です。また、オートロックを導入することで職員の施錠忘れを防ぎ、不審者の侵入も防ぐことができますよ。
・さすまた
・防護盾
不審者が侵入してきた場合は、さすまたや催涙スプレーを活用して不審者を子どもに近づけないようにすることが重要です。また、刃物を持っている場合は、防護盾などを活用しましょう。
不審者対応訓練シナリオを作成する
保育園でできる3つ目の不審者対策は、不審者対応訓練のシナリオを作っておくことです。 具体的なシナリオを用意することで、職員は実際に不審者が現れた場合に、適切な対応が取れるようになりますよ。様々な場面を想定したシナリオを作成して、共有しましょう。シナリオには以下の内容を記載しましょう。
・不審者を警戒し通報する方法
・職員の役割分担と具体的な行動指針
定期的な訓練を通じて、全員が役割を理解し、実際に不審者が現れた際に迅速な行動が取れるようにしましょう。
普段から実践的な訓練をしておく
保育園でできる4つ目の不審者対策は、普段から実践的な訓練をしておくことです。普段から実践的な訓練をしておくと、実際に不審者に遭遇しても冷静な判断と行動をとれるようになります。以下は実践的な訓練の内容の例です。
・園の門の前をうろついている人がいるという想定で訓練をする
・不審者役をつくって実際にマニュアル通りに行動する
・訓練を行う時間帯を職員に伝えずに突発的に訓練する
など、より実践的な内容を想定して訓練を行うようにしましょう。
園全体で共有する
保育園でできる5つ目の不審者対策は、園全体で共有することです。これには、職員間の情報共有だけでなく、保護者への周知も含まれます。重要なのは、不審者対応マニュアルを職員全員が理解することです。また、保護者に定期的な情報共有を行い、協力を呼びかけましょう。園内での定期的なミーティングや、緊急連絡網の整備も大切です。関係者全員が同じ情報を共有することで、不審者対応の精度と迅速さが向上します。園全体で情報を共有する方法として、ICTを活用する方法がありますよ。ICTを活用することにより園内での情報共有はもちろん、緊急メールを保護者へ一斉送信することが可能になります。ICTについては、以下の記事もご参照ください。
地域や関係機関と連携する
保育園でできる6つ目の不審者対策は、地域や関係機関と連携することです。不審者が現れた際に、警察に通報してから到着するまでに10分ほどかかると言われています。警察が到着するまでは、保育園の職員が対応する必要があります。地域住民や近隣の商業施設、近隣の学校とも連携して、緊急時には協力を得られるようにしましょう。定期的に情報交換会を開き、地域全体で防犯意識を高めることが大切です。不審者の情報があった際に助けてもらえるように、事前に協力の依頼しておくことが重要です。
保育園で不審者対応訓練を行う目的は?
子どもが不審者への対応を学ぶ
保育園で不審者対応訓練を行う1つ目の目的は、子どもが不審者への対応を学ぶことです。いきなり不審者が現れると、子どもは怖くなって泣いてしまったり、冷静な対応がとれないことが多いです。定期的に訓練を行い、子どもが不審者に遭遇した際に自分の身を守るための行動を考え、実行できるようにすることが大切ですよ。子ども達には、次のように具体的な対応例を教えていきましょう。
・大声を出して助けを求める
・安全な場所に逃げる
これらの対応を身につけることで実際に不審者と遭遇した際に、子ども達が自ら危険を回避することができますよ。
保育士が冷静に不審者対応できるようにする
保育園で不審者対応訓練を行う2つ目の目的は、保育士が冷静に不審者対応できるようにすることです。不審者が現れた際、保育士が冷静に適切な判断と行動をとることは、子どもの安全を守るために大切です。そのため、以下のような対応を身につけることが、不審者対応訓練の重要な目的と言えるでしょう。
・子どもたちの避難誘導
・警察や保護者への連絡方法の確認
繰り返しの訓練により、保育士は緊急時でも冷静さを保ちながら、迅速かつ正確に不審者へ対応するスキルを身につけることができますよ。
不審者への対応を保護者と共有する
保育園で不審者対応訓練を行う3つ目の目的は、不審者への対応を保護者と共有することです。保護者に園の対応方針や具体的な行動を理解してもらうことで、緊急時に協力を得やすくなりますよ。まずは保護者説明会や手紙、メールなどを活用して訓練内容を伝えます。そして、不審者に関する情報や連絡網の確認を行います。また、定期的に不審者への対応の注意喚起を行い、不審者から身を守る大切さを保護者へ伝えるようにしましょう。
保育園で不審者対応訓練を行う際のポイント
事前準備をしっかりと行う
保育園で不審者対応訓練を行う際の1つ目のポイントは、事前準備をしっかりと行うことです。想定する不審者の性別や凶器の所持、侵入経路などを考えておきます。このとき、事前に作成しておいたマニュアルを確認しながら検討する方法がおすすめですよ。また、園内へ侵入しやすい場所や出入り口の施錠、防犯カメラの状態などを確認しておくことで、園内の防犯対策を高めることができます。
不審者についてわかりやすく説明する
保育園で不審者対応訓練を行う際の2つ目のポイントは、不審者についてわかりやすく説明することです。不審者の特徴などを子どもに伝えて、危機管理能力を身に着けてもらうことが目的です。ただし、不審者の特徴を伝えるときは怖がらせ過ぎないような配慮が必要ですよ。不審者が現れた際に、自分の身を守れる行動を身につけてもらうためにも、わかりやすい言葉で子どもに伝えましょう。わかりやすく伝える例として有名な、警視庁から発表された防犯用語を紹介します。
の …知らない人の車にのらない
お …危ないと思ったらおおきな声で叫ぶ
す …すぐに逃げる
し …すぐにしらせる
不審者への対応を保育士同士で共有する
保育園で不審者対応訓練を行う際の3つ目のポイントは、不審者への対応を保育士同士で共有することです。訓練を通じて、保育士全員が不審者に対する共通の認識と対応手順を理解しておくことが重要です。
・避難指示の方法
・連絡体制の確認
・不審者発見時の役割分担
これらを全員で話し合い、共有しておくことが大切です。また、定期的なミーティングや情報共有の場を設けることで、保育士全員が迅速かつ冷静な対応を取れるようになりますよ。
不審者の特徴
服装や持ち物に違和感がある
不審者の1つ目の特徴は、服装や持ち物に違和感がある人です。例えば、以下のような服装です。
・普段見かけないような異常な持ち物を持っている
周囲の環境にそぐわない行動や、常識的でない服装も不審な要素となります。保育園では、こうした違和感を持つ人物に対して警戒し、異常を感じた際には即座に確認や通報を行うことが重要ですよ。これにより、園内での不審者を素早く発見し、対策が可能になります。
マスクや帽子で顔が隠れている
不審者の2つ目の特徴は、マスクや帽子で顔が隠れている人です。顔を隠すためのマスクや帽子を着用している人物は、意図的に身元を隠そうとしている可能性があります。この場合、マスクや帽子で周囲の人々からの認識を避け、怪しい行動を隠す目的が考えられますね。保育園では、こうした人物が現れた場合、特に警戒が必要ですよ。顔が隠れているため確認が難しい場合は、すぐに他の職員に報告し、適切な対応を取ることが重要です。
普段の来客とは違う服装で大きいリュックやバッグを持っている
不審者の3つ目の特徴は、普段の来客とは違う服装で大きいリュックやバッグを持っている人です。見慣れない大きなバッグを持っている人は、危険な物を隠し持っている不審者の可能性があり警戒が必要です。特に、園内に普段の来客や保護者と違う服装や荷物を持った人物が現れた場合は、注意深く観察しましょう。そして、異常を感じたら直ちに職員や関係機関に報告することが大切です。これにより、園の不審者への迅速な対応が可能になります。
保育施設に不審者が現れた事例
お泊り保育中の園に不審者が侵入
実際に、保育園に不審者が現れた事例をご紹介します。1つ目の事例は、2023年7月15日、お泊まり保育中の保育園に不審な男性が侵入して職員たちが取り押さえた事件です。お泊り保育中の園内に、不審な男性が侵入していることに気付いた職員が声をかけたところ、男性は逃げようとしました。職員に取り押さえられた男性は警察に引き渡されたようです。このとき、凶器などは所持しておらず、怪我人はいなかったそうです。
参考:https://news.livedoor.com/article/detail/24617715/
https://daycaresafety.org/safety_2_appx2.html
認定こども園に刃物を持って侵入
2つ目の事例は、刃物を持った男性が認定こども園に侵入した事件です。2017年3月31日午後3時頃、大分県宇佐市の認定こども園に刃物を持った男性が侵入し、学童保育中だった小学3年生の男児と女性職員2人がケガを負った事件が発生しました。逮捕されたのは近くに住む32歳の無職の男性です。当時犯人は、フルフェイスのヘルメットをかぶり、園を出て逃げようとしている子ども達を追いかけて、刃物を振り回していたようです。
参考:https://www.sankei.com/photo/daily/news/170331/dly1703310018-n1.html
まとめ
不審者対応訓練を行って子どもの安全を守ろう
いかがでしたか。今回は、保育園での不審者への対応方法などを詳しく解説しました。普段からの不審者対策は、子どもの安全を守るために欠かせません。しかし、防犯カメラやオートロックでの施錠などは、施設によって実現が難しいこともあります。例えば、老朽化した園舎や小規模施設では、万全なセキュリティー対策を行うのは難しいかもしれません。そのような施設でも、子どもの安全のために、さすまたや防護盾の用意や避難経路の確保など、出来る限り最善の対策をしましょう。ぜひ、この記事を参考に不審者への対応策を考え、子どもの安全を第一に確保できるようにしてくださいね。