電話対応は、保育士さんの重要な業務のひとつです。しかし、なかには電話対応が苦手な保育士さんも少なくないでしょう。電話は声だけで相手に印象を与えるため、適切なマナーを身につける必要があります。この記事では、電話対応の基本的なマナーや心がけるべきポイント、注意点などを詳しく解説していきます。「電話対応が苦手で困っている」「自分の電話対応が正しいかわからない」という疑問や悩みをお持ちの方は、是非この記事を参考にしてみてくださいね。
保育園にかかってくる電話の種類例
在園児の保護者からの電話
保育園にかかってくる電話の種類は様々です。まず1つ目は、在園児の保護者からの電話です。保育園にかかってくる電話で特に多いのが、保護者からの電話と言えます。主に下記の内容です。
・遅刻の連絡
・質問の連絡
保護者からの電話は、子どもの体調や持ち物に関する確認が多いです。例えば「今日、子どもの体調が優れないのですが登園は可能でしょうか?」や「明日の遠足には何を持たせれば良いですか?」といった具体的な質問が挙げられます。保護者との信頼関係を築くためにも丁寧な対応を心掛けましょう。また、内容によっては園長や保育士同士での情報共有を正確に行うようにしてくださいね。
入園を希望されている保護者からの電話
保育園にかかってくる電話の2つ目は、入園を希望されている保護者からの電話です。入園を希望される保護者からは、次のようなことを聞かれることが多いです。
・空き状況の質問
・入園手続きに関する質問
・見学の予約や入園時期
保育園には、このような具体的な問い合わせが保護者から寄せられることがあります。特に、初めて子どもを預ける保護者の方々は、不安や疑問を抱えていることが多いため、保育士は丁寧な説明と安心感を与える対応が求められますよ。
取引先や営業の電話
保育園にかかってくる電話の3つ目は、取引先や営業の電話です。保育園には保護者以外の方からも電話がかかってくることがあります。例えば、次のような方からです。
・新しい取引を目的とした営業電話
このような方から電話がかかってきた際に、自分では判断ができないことがあると思います。その際は適当に答えずに、園長先生などに必ず取り次ぎを行うようにしましょう。
就職や転職を希望している保育士からの電話
保育園にかかってくる電話の4つ目は、就職や転職を希望している保育士からの電話です。主に次のような内容です。
・園の見学の予約
・面接の予約を取るための問い合わせ
このように、保育園では就職希望者とのやり取りが行われることもあります。就職希望者からの電話は、保育園にとって人材確保につながる重要な電話です。未来の後輩だと思って、丁寧に対応するようにしましょう。
保育士が電話を掛ける場面例
保護者への確認事項が発生した
保育士が電話を掛ける1つ目の場面は、保護者への確認事項が発生したときです。例えば、次のような場面です。
・保護者に伝えておくべき重要な連絡事項
このように直接の確認や報告が必要な場合は、保育士が保護者へ電話をかけます。保育園と保護者との円滑な連携を保つためには、電話でも適切なコミュニケーションが欠かせません。また、保護者との信頼関係を築くためにも、迅速かつ丁寧な対応をしましょう。
子どもが体調を崩して保護者にお迎えを要請する
保育士が電話を掛ける2つ目の場面は、子どもが体調を崩して保護者にお迎えを要請するときです。例えば、次のような場面です。
・子どもが怪我をして保育園での対応が難しい
このような場合は、早急に保護者へ連絡し、子どもの状況を伝えて迎えに来てもらう必要があります。保護者にとっては、子どもの状態を知る大切な連絡なので、保育士は迅速かつ丁寧に説明し、必要な指示を適切に伝えることが重要です。
電話対応の基本マナー
メモが取れるものを準備しておく
電話対応の基本マナーの1つ目は、メモが取れる文房具を準備しておくことです。電話対応に慣れていない方の場合、電話を取るだけで緊張してしまう方も多いと思います。そのため、電話を切った瞬間に聞いていた内容を忘れてしまうこともあるでしょう。そのようなことを避けるためにも、必ず電話の内容を聞きながらメモするようにしてくださいね。
・伝えたい相手(〇〇先生、園長先生など)
・要件
・折り返しを希望している場合は、折り返し先の電話番号や日時
メモを取る際にうまく聞き取れないこともあるでしょう。そのようなときは、必ず「もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか?」と、再度確認するようにしてくださいね。
相手の名前は復唱する
電話対応の基本マナーの2つ目は、相手の名前を復唱することです。相手の氏名や施設名を聞いたあとは、必ず復唱するようにしましょう。復唱することで、誤解を防ぐことができます。
「〇〇組の△△さんですね」
取引先の方からの場合
「〇〇株式会社の△△様ですね」
このように、相手の名前の聞き間違えや聞き逃しを防ぐために、復唱することが大切ですよ。特に電話では顔が見えないため、丁寧な確認作業が必要です。相手に配慮した言い回しや声のトーンなど、適切な対応を心がけましょう。
電話は先に切らない
電話対応の基本マナーの3つ目は、電話を先に切らないことです。保育園では、保護者や取引先との電話対応が多い傾向です。電話を先に切ってしまうと、相手に「急いで切りたがっている」「話を終わらせたい」といったネガティブな印象を与えてしまうかもしれません。このような誤解につながる印象を避けるためにも、電話の最後には「お電話ありがとうございました。それでは失礼いたします」と一言添えて、相手が切電したことを確認してから受話器を置くようにしましょう。相手への細かい気配りが、電話対応の質を高め、円滑なコミュニケーションと信頼関係の構築につながりますよ。
自分の職場の人に敬称をつけない
電話対応の基本マナーの4つ目は、自分の職場の人に敬称をつけないことです。これは、電話の相手が取引先など外部の方の場合、敬意を払うべきはその相手だからです。たとえ職場内で役職があっても、園内の職員は身内として扱います。例えば、園長先生に関する問い合わせがあった際は「園長の〇〇」と呼び捨てにすることが適切です。具体的には、相手が「〇〇園長さんはいらっしゃいますか?」と聞いた場合でも「〇〇におつなぎします」といった形で対応します。ただし、このルールはビジネスの場における一般的なマナーですので、取引先や営業先など外部の方との電話で適用すると良いでしょう。
保育士が抑えておくべき電話対応のポイント
声のトーンを上げる
保育士が抑えておくべき電話対応のポイント1つ目は、声のトーンを上げることです。電話対応では、お互いの表情を見ることができないため、声のトーンや声の大きさなどの話し方で、印象が決まってしまいます。そのため、意識的に声のトーンを上げて、明るい印象を与えるように工夫をしましょう。例えば、電話を受ける場所に子ども達がいる環境の場合、こちらの雑音で相手が聞き取りにくいことがあります。声のトーンを上げることで明るい印象を与えるだけでなく、相手が聞き取りやすくもなりますよ。
言葉遣いには気を付ける
保育士が抑えておくべき電話対応のポイント2つ目は、言葉遣いに気を付けることです。電話対応では相手の表情が見えません。印象を良くするためにも、丁寧な言葉遣いがとても重要です。基本的には、ですます調で話すことを意識して、相手が不快な思いをしないように丁寧な言葉遣いを心がけましょう。他にも、口癖などは無意識に出てしまうことがあります。例えば「はい」と言うところを「はいはい」と繰り返して返事をしてしまい、馴れ馴れしい印象を相手に与えてしまうこともあるでしょう。日頃から、自分の口癖に失礼な言葉がないか、注意が必要ですね。
3コール以内に電話を取るようにする
保育士が抑えておくべき電話対応のポイント3つ目は、3コール以内に電話を取るようにすることです。このポイントは、一般的な電話対応マナーとして社会に浸透しています。とはいえ、保育業務中では、3コール以内に取ることが難しい場面も多々ありますよね。3コール以内に電話を取れない場合は、電話に出た際に「おまたせして申し訳ありません」と一言添えるようにすると、相手からの印象が大きく変わります。忙しくても、相手への配慮を込めた言葉を忘れないようにしましょう。
用件を復唱して確認する
保育士が抑えておくべき電話対応のポイント4つ目は、用件を復唱して確認することです。電話では、直接会って話すとき以上に、聞き間違いや聞き逃しが生じやすいです。そのため、話の内容を復唱し、正確に理解できているかを確認することが大切ですよ。例えば「〇〇の件について△△という事でよろしいでしょうか?」といった具合に、相手の要件をもう一度繰り返し確認することで、誤解を防ぎ、その後のスムーズな対応が可能になります。
電話対応の注意点
園児が体調不良で休む場合は病院での受診結果などを聞く
電話対応の注意点1つ目は、園児が体調不良で休む場合は、病院での受診結果などを聞くことです。なぜなら、体調不良の園児の症状によっては、他の園児の保護者への注意喚起や教室の消毒など、園で対策しないといけない場合があるからです。例えば、園児がインフルエンザや新型コロナウイルス、ウイルス性胃腸炎など、他の園児に感染する可能性の高い病気だった場合です。迅速に対応するためにも、体調不良で園児が休んだときは、症状や食欲の有無、病院での受診予定や診断結果などを、具体的に聞くように心がけましょう。
あいまいなことは無責任に伝えない
電話対応の注意点2つ目は、あいまいなことを無責任に伝えないことです。相手から質問などの電話があった際に「〜だと思います」や「〜かもしれません」など曖昧な返事をしてしまうと、トラブルの原因になる可能性があります。トラブルを避けるためにも、回答に自信がなく、はっきり答えられない場合は、分かる人に聞くようにしましょう。確認に時間がかかる場合には「私にはお答えできかねるため、確認して折り返しお電話を差し上げてもよろしいでしょうか?」と伝えるようにしましょう。
個人情報は必要以上に伝えない
電話対応の注意点3つ目は、個人情報は必要以上に伝えないことです。園児の個人情報を守ることも保育士の仕事です。現在は、個人情報保護法によって、ほぼ全ての事業者が同法の適応対象になっており、保育園や幼稚園などの保育施設も対象です。電話対応する際には、トラブルにつながりやすい園児の個人的な情報は、必要以上に伝えないように注意してください。
参考:https://www.nex-us.co.jp/column_nursery-privacy-protection/
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まとめ
丁寧な言葉遣いを心がけて電話対応をしよう!
いかがでしたでしょうか。今回は、保育士の電話対応について詳しくご紹介しました。電話では相手の顔が見えないため、声のトーンや話し方が印象に大きく影響します。例えば、園内の職員に対して敬称を使わないことや、相手の要件を繰り返して確認するなど、さまざまなマナーがあります。この記事で紹介した基本的なマナーを守って対応すれば、安心して電話業務を行えるでしょう。「電話対応が苦手」「正しい対応ができているか不安」と感じる方は、是非この記事を参考にして、よりスムーズな対応を心がけてみてくださいね。