保育の現場では一斉保育と自由保育という2つの保育スタイルが存在します。一斉保育は集団行動を重視し、子どもたちの社会性やルールを学ぶ機会になります。一方、自由保育は子どもの自主性や個性を大切にし、自ら遊びを選びながらのびのびと過ごす時間が特徴です。どちらの保育方法が子どもたちにとって良いのか悩む保護者や保育士の方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、それぞれの特徴や違いをわかりやすく解説していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
一斉保育とは
子どもたちが同じ活動に取り組む保育のこと

一斉保育とは、保育士の指示のもとで子どもたち全員が同じ活動に取り組む保育スタイルのことです。つまり一斉に同じことをするという意味で一斉保育と名付けられていますが、あまり良い言葉ではないと言われることもあり、設定保育や計画保育と言う名称で呼ばれることもあるようです。その内容は、保育者が日案や週案、月案などの指導案や、ねらいなどを設定しクラスやグループの単位ごとに保育を行うというものです。
一斉保育の活動の例
運動遊び
一斉保育の活動の1つ目の例は、運動遊びです。たとえば、決められた時間にみんなで
・体操
・ボール遊び
などを行うことで、体を動かす楽しさを感じながら集団行動のルールも学ぶことができます。運動遊びは、子どもたちの体力や運動能力の向上だけでなく、並んで順番を待つ、みんなと一緒に動くといった社会性を育む良い機会にもなりますよ。また、保育士のリードのもと、全員で取り組むことで一体感も生まれやすくなります。
製作

一斉保育の活動の2つ目の例は、製作です。たとえば、季節の行事に合わせた工作や折り紙、絵画などを全員で同じテーマで取り組むことが一般的です。保育士の指示を聞きながら順番に道具を使ったり、同じ作業工程を進めたりすることで、子どもたちは集中力や手先の器用さを養うことができますよ。また、同じ課題に取り組むことで、完成した作品を比べたり友だちと協力し合ったりする場面もあり、集団の中での達成感や協調性を育む貴重な時間になります。
リズム遊び

一斉保育の活動の3つ目の例は、リズム遊びです。リズム遊びとは、ピアノの伴奏や音楽に合わせて手拍子をしたり、歌を歌ったり体を動かしたりする活動です。保育士の合図に従って全員で同じ動きを楽しみます。このような活動を通して、子どもたちは音楽に親しみながらリズム感や表現力を育むことができますよ。また、みんなと一緒に動きを揃えることで、協調性や集中力も自然と身につきます。音楽に合わせて楽しむ中で、集団で活動する喜びを味わえる大切な時間です。
一斉保育のメリット・デメリット
メリット
子どもに指導しやすい
一斉保育の1つ目のメリットは、子どもに指導しやすい点です。全員が同じ活動に取り組むため、保育士は一度の説明で全体に内容を伝えることができ、個別に何度も繰り返す必要がありません。また、活動の進行がスムーズで時間管理もしやすく、保育計画が立てやすいという利点もありますよ。子どもたちの様子を全体的に把握しやすく、指導の質や安全面の管理にもつながるため、特に大人数を担当する場面では有効な保育方法といえるでしょう。
子ども同士で協調性を育める

一斉保育の2つ目のメリットは、子ども同士で協調性を育める点です。全員が同じ活動に取り組むことで、
・一緒に行動する
・ルールを守る
といった、集団生活に必要なスキルを自然と身につけることができます。たとえば、歌や体操をみんなで行うことで、周囲の動きを見ながら合わせる力が養われますよ。また、友だちとの一体感や連帯感も感じられるようになります。このような経験は、今後の学校生活や社会生活の土台となる大切な力を育てることにつながります。
子どもの発達状況を把握できる
一斉保育の3つ目のメリットは、子どもの発達状況を把握できる点です。全員が同じ活動に取り組むことで、保育士は子ども一人ひとりの反応や理解度、集中力や運動能力などを比較的スムーズに観察することができます。たとえば工作やリズム遊びでは、指先の使い方や音への反応、集団への適応の様子などを把握しやすく、気になる点があれば早めに支援につなげることも可能ですよ。全体から個々の姿が見えるため、記録や成長の評価もしやすく、保育の質向上にもつながります。
デメリット
子どもの自主性が育ちにくい

一斉保育のデメリットは、子どもの自主性が育ちにくい点です。一斉保育は、あらかじめ決められた活動内容や進行に従って行動することが基本となります。そのため、子どもが自らやりたいことを選んだり、自分のペースで取り組んだりする機会が少なくなってしまいます。結果として、自由な発想や自発的な行動が制限され、子ども自身の興味や関心を深める力が育ちにくくなる可能性がありますよ。特に、自分の気持ちを大切にして行動することが求められる乳幼児期には、そうした影響が大きく現れることもあります。
一斉保育で保育士が取るべき行動
保育目標や計画などをしっかり立てる

一斉保育を行う上で重要なのが、計画をしっかり立てることです。年間の保育目標やねらいを、年度が開始するまでに運営と保育士さんでクラスやグループ単位で決定しておかなければなりません。その上で、現場の保育士さんが担う役割を挙げてみましょう。
・ねらいや課題に沿って保育を行う
・クラス単位で全体を見ながら、子どもたち一人ひとりの様子も観察する
・子どもたちの行動をある程度予測し環境や設定を用意する
また注意点としては、課題や設定を子どもたちに押し付けず、子どもたちに合わせて柔軟に対応することです。そして、できない子どもたちにはアドバイスや提案をし、決して放置しないようにしましょう。
自由保育とは
自発的な遊びを促す保育のこと
自由保育とは、自発的な遊びを促す保育のことです。一斉保育と大きく違うところは、保育理念として自由保育を掲げる保育園も少なくないところです。実は、自由保育の歴史は古いのです。形式化したフレーベル主義を改革し児童中心の自由な保育を提唱した教育者、倉橋惣三氏の誘導保育などが基礎となっていると言われていますよ。自由保育は、課題の設定などを行わず子どもたちの自発的な発案や行動に任せます。ときには、行動の道筋を示したりしながら自由に過ごさせるといったことが行われます。
自由保育の活動の例
自由遊び

自由保育の活動の1つ目の例は、自由遊びです。自由遊びは、子どもたちが大人の指示や介入を受けることなく、自分自身の興味や関心に従って自由に遊びを選択し、展開する活動を指します。おもちゃを選んでごっこ遊びをしたり、ブロックを積み上げて独自の建造物を作り上げたり、あるいはただ広いスペースを走り回ったりと、その内容は多岐にわたりますよ。この自由な環境の中で、子どもたちは自主性や創造性を育み、問題解決能力や社会性を自然と身につけていきます。
コーナー保育
自由保育の活動の2つ目の例は、コーナー保育です。保育室内に絵本コーナーやブロックコーナー、お絵かきコーナーやままごとコーナーなど、特定の活動ができるように区切られたスペースを設ける保育形態を指します。子どもたちは、これらのコーナーの中から自分の興味や関心のある場所を自由に選び、主体的に遊びを進めることができますよ。コーナー保育の大きなメリットは、子どもたちが多様な遊びの中から自分に合ったものを選び、集中して取り組める点にあります。例えば、静かに絵本を読みたい子は絵本コーナーでゆっくりと本を読むことができます。
自由保育のメリット・デメリット
メリット
自主性を育める
自由保育の1つ目のメリットは、自主性を育める点です。自由保育では、子どもが自分で遊びや活動を選び、自分のペースで取り組むことができます。その過程で何をしたいか、どうやってやるかを自ら考え判断し、行動する力が育まれていきますよ。自分で決めたことに集中することで、達成感や自信にもつながり、意欲的に物事に取り組む習慣が自然と身につきます。このような経験は、将来の問題解決力や主体的な行動力の土台となる重要な成長の一歩です。
想像力や表現力を育める

自由保育の2つ目のメリットは、想像力や表現力を育める点です。自由保育では決まった活動に縛られず、自分の興味や関心に応じて遊びを選ぶことができるため、自然と創造的な遊びが広がります。たとえば、お絵かきで空想の生き物を描いたり、ごっこ遊びでさまざまな役になりきったりする中で、子どもたちは自分なりの世界を表現し、工夫する楽しさを学ぶことができますよ。このような体験は、豊かな感性を育み、自己表現の力や柔軟な発想力の基礎を育てる大切な時間となります。
デメリット
活動に偏りが出る可能性がある
自由保育の1つ目のデメリットは、活動に偏りが出る可能性があるという点です。たとえば、外遊びが好きな子は毎日外に出たがり、製作や絵本などの静かな活動に関心を持たないまま過ごすこともあります。その結果、特定の能力ばかりが育ち、他の能力や技能を十分に育てることができない可能性がありますよ。そのため保育士は、子どもの興味を尊重しながらも、多様な経験ができるようさりげなく誘導する工夫が求められます。
苦手なことだけを避ける場合がある

自由保育の2つ目のデメリットは、苦手なことだけを避ける場合がある点です。自由に活動を選べる環境では、子どもは得意なことや好きな遊びを選ぶため活動が偏りがちになり、苦手意識のある活動にはなかなか取り組もうとしません。たとえば、工作が苦手な子は製作コーナーに寄りつかず、運動が苦手な子は外遊びを避けるなど、成長の機会が失われてしまう可能性があります。保育士は、子どもの気持ちに寄り添いながら、時には苦手なことにも少しずつ挑戦できるようにサポートをすることが大切です。
自由保育で保育で保育士が取るべき行動
目標や課題を職員同士で共有しておく

自由保育とはいえ、目標や課題、ねらいはしっかり立てて全職員で共有しておくことが必要です。その上で、自由保育を行う際の保育士の役割を見てみましょう。
・自発性や積極性のない子どもにはこちらから働きかけることも必要
・時には提案を投げかけるなどきっかけを作る
・子どもたちの発達度合いや個性に応じた声掛けや対応を心がける
子どもたちの自発性や発案に任せることが自由保育の手法です。しかし、自由が放任にならないように、誘導や選択を提案するなどの介助や声掛けも重要ですよ。
まとめ
それぞれの特性を理解して保育に活かそう!
いかがでしたか?今回は一斉保育と自由保育について解説していきました。一斉保育と自由保育はそれぞれに良いところがあり課題もある理念なので、どちらが優れているか一概に決めつけることはできません。また、その解釈や実践方法も保育園によってそれぞれです。中には、一斉保育と自由保育が混在する保育園も多いと思いますが、両者のバランスを考えてうまく実践する保育園こそが良い保育園とも言えるかもしれませんね。ひとり一人の成長や発達を促し、子どもたちの個性を伸ばしてあげられるような保育を目指しましょう!
























