年齢に関わらず子供たちが大好きなお絵描き。クレヨンを使ったお絵描きは0歳児からでも遊べるため、保育の現場に取り入れている保育士さんも多いのではないでしょうか。クレヨン遊びと言っても、使い方やアイデアによってたくさんの楽しみ方がありますよね。そこで今回は、クレヨンを使うことのねらいや遊びのアイデア、ポイントなどをご紹介します。また、子供たちの年齢に沿ったクレヨン遊びも多くあるので、是非参考にしてみてください。
クレヨンで絵を描くねらい
クレヨンの感覚を楽しむ
クレヨンでお絵描きをするときは、多彩な色を使用しますよね。クレヨンを使って絵を描くことで、紙や素材をこする感覚を楽しむことができます。0歳児では絵を描くことではなく、色がうつる感覚や色が広がっていくことに楽しさを感じることが多いでしょう。年齢が上がるにつれて、自ら描きたい絵をイメージし、色を考える姿を見ることができます。テーマや成長に合わせてたくさんの技法や素材を取り入れることで、クレヨンの特徴的な感覚を楽しみ、色彩感覚を養うことができます。
脳の発達を促す
お絵描きをする時に好きなクレヨンの絵を選んだり、手を動かしながら絵を描きますよね。指先の神経は直接脳に繋がっていて、”第二の脳”とも呼ばれています。紙や素材を手に取り、クレヨンを握って用紙の上を走らせる動作を繰り返すことで、脳に刺激を与えることができます。また、指先をコントロールする練習にもなるため、発達を促進し動作をスムーズに行うことできるようになるでしょう。お箸やスポーンといった食具を持つ力も備えることができるので、積極的に取り入れると良いです。
表現力を育てる
子供が大好きなお絵描き遊びの魅力は、自由に描けることです。まだまだ自分の言葉で思いや感じていることをうまく伝えられない子供にとって、お絵描きは表現方法の1つです。大人は、子供が絵で表現したことを認め、共感していくことが大切でしょう。1から自分の好きな色で、好きなように描くことが表現力を育てることにつながります。お絵描きを通して自己表現することで、表現力は格段に向上し、より豊かな感情を育むことができます。
クレヨン遊びのアイデア
ダンボールを使って自由にお絵描き
ダンボールにクレヨンでお絵描きする時は、紙と違った独特のガタガタしている素材の感覚を楽しむことができます。
準備するもの
・クレヨン
・ダンボール
1. 机や床などの平たい所にダンボールを広げる。 2. 子供たちの好きなようにクレヨンで絵を描かせる。
簡単な力で色をつけることができるクレヨンですが、ダンボールでは紙に描くよりも力が必要になるので注意しましょう。乳児期の子供に対しては、手を握って一緒に描いてあげると良いかもしれませんね。お絵描きした後は、トンネルや乗り物、家などを作るとさらに子供も楽しむことができるのでおすすめです。
落ち葉のこすりだし
擦り出しとはフロタージュとも呼ばれ、落ち葉や葉っぱなどの素材の模様を浮立たせる技法です。
準備するもの
・落ち葉
・クレヨン
・紙
1. 適量の落ち葉の上に紙をのせる。 2. 紙を押さえながら、落ち葉をクレヨンでこする。
用意する紙は半紙などの薄い紙を用意すると良いでしょう。お散歩の時に拾った落ち葉など、子供たちが自分で選んだ葉を使用することでさらに楽しむことができます。茎の太さや葉の形の違いなどを気づくことで学びが広がります。
なぞりがき
おやつやボタンなど、身近なものの形をなぞり書きする遊びです。
準備するもの
・クレヨン
・白色の画用紙
・ペン
1. 子供が興味を持てるものや、好きなものの形をペンであらかじめ画用紙に描く。 2. 子供と一緒に1の絵をゆっくりなぞる。
板チョコや渦巻き型のキャンディーといった特徴的なおやつを選ぶことで、楽しくなぞり書きをすることができます。ボタンや動物などでも遊べることができるので、子供たちが飽きることなく楽しめます。
クレヨンで絵を描くときのポイント
発達や興味に合わせて始める
子供たちの発達には個人差があり、興味を持つものも異なりますよね。必ずしもクレヨンやお絵描きに興味を持ってくれるとは限りません。しかしそれも個性の1つとして受け入れてあげましょう。小さいことは興味を示してくれなくても、大きくなってからお絵描きやクレヨンを使って描くことを楽しんでくれる場合もあります。お絵描きを始める時期は正確に決めれらていないので、興味を持ってくれたタイミングで一緒に遊んであげると良いですね。
クレヨンの誤飲に注意する
特に0~2歳の子供は何でも口に入れようとするので、クレヨンの誤飲に注意が必要です。小さい子供がクレヨンを使ってお絵描きをするときは、大人が必ず近くにいて見守ってあげましょう。万が一誤飲をしてしまった場合は、落ち着いて対応し速やかに医療機関を受診してください。最近では誤飲を防ぐ形のクレヨンや、口に入れてしまっても安全な”ミツロウ”からできているクレヨンもあります。子供の体への影響が少ないクレヨンを使用し、大人が隣で見守ることを心がけましょう。
乳児向けのクレヨン遊び
自由に殴り書き
大きいサイズの紙に自由に絵を描いたり、色をつける感触を最大限に楽しめる遊びです。
準備するもの
・クレヨン
・模造紙
・レジャーシート
1. 床の上にレジャーシートを広げ、その上に模造紙をのせる。 2. クレヨンで自由に描かせる。
乳児期の子供にはクレヨンの感触や、色をつけることを楽しいと思ってもらうことが大切です。クレヨンで自由に描いた後は、シールを貼って好きにデコレーションするとさらに楽しめそうですね。
はじき絵
はじき絵とは、クレヨンなどの油性のものが水をはじく性質を生かして遊ぶお絵描きです。
準備するもの
・クレヨン
・絵の具
・画用紙
・水
1. まずは、クレヨンを使って画用紙に好きな絵を描く。 2. その上から水で薄めた絵の具で色を塗っていく。 3. 乾いたら完成!
絵の具が水をはじく感覚を味わうために、初めのクレヨンはなるべく濃く描くと良いでしょう。また、白の画用紙を使うときは、白色のクレヨンを使うと見えないところから線が浮き出てくる変化を楽しむことができます。
幼児向けのクレヨン遊び
マーブルクレヨン
誰でも簡単にできる、小さくなったり使い古したクレヨンを再利用できる遊びです。
準備するもの
・折れてしまったり、小さくなって使えなくなったクレヨン
・シリコン製の型(電子レンジ対応可なもの)
1. 使い古したクレヨンをできるだけ細かく折る。 2. 細かく折ったクレヨンをシリコン製の型に入れる。 3. 500Wの電子レンジで5~6分温め、クレヨンを溶かす。 4. 粗熱が取れてから冷蔵庫に入れよく冷まし、型から取り出したら完成!
暖色系や寒色系など、同系色のクレヨンを混ぜると見た目が綺麗に仕上がります。シリコンの型は百均で簡単に購入することができるので、デザインの違ったものをいくつか用意すると良いですね。
ひっかき絵
真っ黒に塗りつぶした画用紙から、浮かび上がってくるカラフルな世界を楽しめるひっかき絵もおすすめです。
準備するもの
・クレヨン
・画用紙
・先の尖ったもの(シャープペンや竹串など)
1. 画用紙を色んな色のクレヨンを使って塗る。 2. その上から黒いクレヨンで塗りつぶす。 3. 先の尖ったものでひっかき、模様を作る。
ひっかくときは、シャープペンや竹串の他に割り箸や木の枝などを使うと、太さの違いが表れて面白いです。尖ったものを使用するときは、子供が怪我をしないように注意してください。完成したものや好きな形に切り取ったり、うちわとしてアレンジするのもおすすめ。
年齢別のお絵描きを伸ばす方法
0~1歳は”描く”ことが大切
0~1歳はたくさんのものに興味関心が生まれ、自我が少しずつ芽生え始めてくる年齢です。クレヨンを使って”絵を描く”ということよりも、手先や腕を使う運動としてお絵描きを始めると良いでしょう。初めは殴り書きをしていたり、筆圧によってクレヨンが折れてしまうこともあるかもしれませんが、自由にお絵描きする姿を見守ってあげましょう。だんだんとクレヨンを使い慣れてくると、線や円といったさまざまな形を描けるようになっていきます。
2歳は好きなものを自由に描かせる
2歳になると、たくさんお話ができるようになり運動能力も発達してきます。クレヨンを使って手の動きを目で追いながら描くことができるようになるでしょう。自分なりに描きたいものを想像して描けるようになります。「〜を描いているの」と教えてくれても、何を描いているのかわからない時もありますよね。それでも、子供の描いた絵を否定せず描けたことをたくさん褒めてあげましょう。特定の1色しか使っていなくても、他の色を使わせる必要はありません。
3歳には絵についてたくさん質問する
3歳になると、大人の真似をしたり表現力がついてきます。頭の中のイメージや見たものなど、自分が描きたいものを描いている姿を見ることができるでしょう。色の違いに意識して描けるようになり、誰がみても何を描いたか想像できるような絵になってきます。この時期は、子供が自分で書いた絵に名前をつける”命名期”でもあります。「この絵は何を描いたの?」といった絵についての質問をたくさんしてあげましょう。子供が好きに表現した絵を認めてあげてください。
4~5歳では褒めて”気づき”へ導く
4~5歳になると、指先も器用に使えることができるようになり、より複雑な絵を描けるようになってきます。例えば、手や足を描いたり、花や動物といったモノと特徴を捉えた絵になってきます。人物画も増えてくるので、家族の顔の特徴などを一緒に考え”気づき”へと導くと良いですね。レントゲン画法と呼ばれる、家の中に人がいたり乗り物に人が描かれているような絵を描くこともあるでしょう。小さなことであっても十分に褒めてあげることで、絵を描く楽しさを実感できます。
まとめ
クレヨンを通して子供の個性を育てよう
クレヨンは、色鉛筆や絵の具とは違った独特の感触があり、お絵描きを通して子供の感性を育み、発達の促進につながります。大切なことは、見守ることです。大人がつい手を出してしまうことで、子供が興味を失ってしまうこともありますよね。上手い下手にこだわらず、子供が自由に描いた絵をたくさん褒めてあげましょう。クレヨンの誤飲やアレンジした遊びを通しての怪我に注意をしながら、クレヨンを使ったさまざまな遊びを子供達と一緒に楽しみましょう。
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