コラージュの作り方とは?保育園で行うには【ねらい・製作・チラシ】

気温が下がり、子供達が室内で遊ぶ機会も増えてきた頃ではないでしょうか。季節はもうすっかり秋ということで、ここでは落ち葉のような秋ならではの素材も活用できる、コラージュの制作についてご紹介します。室内で行える遊びや工作などは沢山ありますが、コラージュは取り組みながら様々な力を養うことができるので、保育園では特におすすめな題材です。保育園で行う際に工夫すべきことも載せているので、ぜひ最後までご覧くださいね!

コラージュとは?

素材を切り貼りして新たな作品を作る表現技法

コラージュとは、雑誌や新聞の記事などから写真や絵を切り抜き、画用紙に貼り付けて新たに構成する表現技法のことです。コラージュという言葉は、のりで貼ることを意味するフランス語のcollerから来ています。大まかな作業としては素材を切り貼りするだけなので、お絵かきが苦手な子供でも楽しめそうな制作ですよね。作業内容はシンプルなものが多いですが、保育士さんが保育現場でやるべきことが実は沢山含まれているので確認していきましょう!

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コラージュの保育におけるねらい

素材を切り貼りする工程を楽しむこと

コラージュは、主に素材を切って貼ることを楽しむ工作です。しかしその他にも、ハサミを使わずに手で素材をちぎることや、ペンで色をつけることなど様々な工程があります。コラージュでの作品制作を通して、子供達は新鮮な工程の一つ一つをきっと楽しんで行うはずですよ。子供が難しい工程の壁にぶつかってしまったときには、工程を楽しむための手助けを適度に行うようにしましょう。子供によっては補助をかなり嫌がる場合があるので、そんなときは先生方も子供と一緒に作品制作を行ってみてくださいね。

完成のイメージを膨らませながら作品を生み出すこと

お絵かきと違ってコラージュは、元からある写真や絵を用いて制作しますが、真っ白な画用紙に一から構成していくという部分はどちらも共通しています。何も考えずに作業することもたまには面白いかもしれません。ですが完成のイメージを持つことで、それに向かって構成する楽しさを味わうことができますよ。徐々に素材が揃っていき、完成のイメージに近づいていく様子を見ると、作りながら子供達はワクワクすることでしょう。作業に入る前にぜひ完成図を想像してみてくださいね!

作品完成後の達成感や満足感を味わうこと

作品完成後に子供達自身が「できた」という強い達成感を得られるのは、工作における醍醐味といえます。その達成感は、シンプルながらも様々な工程を踏むコラージュの制作活動においても味わえることでしょう。また、コラージュ作品は、作る人の内面を反映しやすいものとなっています。コラージュ療法という心理学の分野におけるコラージュでは、そのような自己の作品を振り返る活動を通して満足感を獲得していくようですよ。

コラージュの保育における効果

手や指先の感覚が育つ

コラージュの制作では、土台となる用紙に貼り付ける前に使用したいパーツを切り取る作業を行います。ハサミで切ったり、手でちぎったりすることで、手や指先の動かし方や感覚が徐々に子供達に身についていきますよ。また、切り取った細かなパーツを貼り付ける作業でも、手先の器用さは重要になります。様々な道具や方法を用いて素材と向き合っていく中で、自らの手の可能性に気付いたり、用途によって力加減を調整できるようになったりするでしょう。

想像力・創造力・表現力が育つ

コラージュ制作における想像力とは、選んだパーツの色や形から作品の完成像をイメージする力のこと。そしてその理想の完成像に向かって、パーツの配置や貼り付け方等をどのようにしていくか考える力は創造力になります。また、実際にパーツを画用紙上に構成していく段階では、表したいものによって表現を工夫する力、すなわち表現力が重要になります。このように様々な力が求められる作業を通して、子供達の能力の育成が十分に期待できますよ!

自我が発達する

お絵かきと比較してコラージュは、パーツや配置を選ぶ等の選択という作業がかなり重要になります。お絵かきでは描くことで表現していたものを、コラージュでは選ぶことを通して表現していく。手段こそ異なるものの、どちらも自己の内面を大きく反映しやすいという点は共通しています。コラージュでは、このように選ぶことを通して自己主張を行うことができるので、制作を行う中で子供達の自我が芽生えていく効果が期待できますよ!

保育園でコラージュを年齢別に行う際のポイント

【乳児向け】素材ボックスを用意しておく

乳児のように年齢が低く、まだ自らの手やハサミなどの道具に使い慣れていない子供達に切り取る作業を行わせるのはかなり危険です。ハサミを使えない場合には、子供にチラシや雑誌などの中から好きなアイテムを選ばせ、先生が代わりに切り取ってあげるようにしましょう。また、あらかじめ切り抜いておいた素材を入れた素材ボックスを用意し、その中から子供達に選ばせると効率的に制作ができますよ。素材ボックスを作る際には、なるべくサイズや色などの種類がさまざまな素材を用意して、子供が選択できる幅を広げてあげるといいですね。

【幼児向け】素材を各自で用意させる

手や道具をある程度思い通り使えるようになってきた幼児には、各自で素材の用意をさせましょう。事前に指示を出し、自宅から素材を探して持ってきてもらうことで、選択の幅がさらに広がり、より子供の個性や考えを作品に表現することができますよ。また、ハサミを使えない子供にも、各自でパーツを切り取る作業をさせ、徐々に使い慣れさせていきましょう。先生は子供の近くでしっかりと見守り、単純な形をした大きめのパーツから作業に入らせ、様子を見ながら難易度を調節するようにしてくださいね。

保育園で行うコラージュ製作のアイデア集

コラージュの基本的な作り方

これまでの項目でも何度か触れてはきましたが、改めてもう一度、コラージュの基本的な制作工程をおさらいしていきます。

①雑誌の記事や新聞の広告などから写真やイラストを切り抜く

②切り抜いた素材を画用紙上に工夫して並べ、のりで貼り付ける

作品制作自体は、上記のようなシンプルな工程で簡単に行うことができます。ベースとなる作り方が単純であるということは、すなわち少しの工夫次第で楽しみ方や効果を自由に変えられるということ。どんな工夫の仕方があるのか、7つほどアイデアをご紹介していきます!

アイデア① チラシや雑誌

まずは先ほどの基本的な作り方にもあったように、雑誌の記事や広告のチラシなどを素材に用いる作り方です。ファッション系やグルメ系、乗り物系などなど。同じ雑誌やチラシという括りでも、載っているものの種類というのはさまざまですよね。色や形を重視して選ぶもよし、ものを統一して選ぶもよし、直感的に好きなものだけを選び取るもよし。なるべく沢山の資料を用意して、子供達にいろんな素材の選び方をさせてみましょう!

アイデア② 写真

自分や身近な人や物の写真を素材として活用する作り方です。チラシや雑誌の写真などと違って、自分自身や自分と関わりの深い人物の写真を用いることで、親しみや面白さを感じる作品に仕上げることができますよ。子供達自ら撮影した写真を素材として用いる場合には、ポーズや照明の位置など、撮影する段階から工夫することもできます。また、同じ物であっても、もとからチラシに載っていた写真と自分が撮った写真では、見た目の印象が全く異なるはずです。人の写真を素材に用いる際は、本人に使用用途などをしっかり説明したうえで許可を取り、本人が不快に感じないような仕上がりにしましょう。

アイデア③ ちぎり絵

折り紙や色画用紙など、厚みや触り心地が異なる紙をちぎって画用紙に貼り付ける作り方です。あえてハサミやカッターを使わずに手でちぎることで、ちぎった箇所の形の特徴や面白さなどを作品に活かすことができます。偶然が生み出した結果をそのまま活かすことで、味のある作品に仕上げられそうですね。また、折り紙の中でも光沢のあるものや、折り紙よりも更に薄い花紙など、様々な素材を使い分けて表現する楽しさも味わうことができます。併せて、ちぎる細かさも変えながら工夫して作品制作を楽しんでくださいね!

アイデア④ 絵の具

土台とは別の画用紙に絵の具で自由に色を塗り、好きな形に切り取って素材として用いる作り方です。絵の具の塗り方は、一見雑に見られてしまうような塗り方でも構いません。通常のお絵かきでは避けた方がよいとされるムラのある塗り方でも、コラージュ作品の素材においては、かえって良い風合いを出すものになりますよ。多少の雑さを感じる塗り方を含め、塗る方向や力加減、絵の具や水の量などを工夫して、いろんな塗り方で素材を作成してみましょう。

アイデア⑤ 落ち葉

今の時期、よく目にするものといえば、落ち葉。いろんな色や形の落ち葉を活用してコラージュ作品にすることもできます。保育園で行う場合には、園外保育の時間を使って、綺麗な状態の落ち葉をみんなで探して集めておくと、制作の時に活用しやすいですね。また、落ち葉に目や手足をつけることで、生き生きとした面白くて可愛い仕上がりにすることもできます。落ち葉以外の自然の産物も、紙のように平面的であれば、問題なく素材として活用できるはずです。ぜひ、季節ならではの素材を探し集めてみましょう!

アイデア⑥ 立体感

紙の代わりにフェルトを使った作り方です。フェルトは、紙より厚めのものが多いため、少し立体感のあるコラージュ作品にすることができますよ。年長ほどの大きな子供達のクラスで制作する際には、ビーズのような細かい素材も加えることでさらに立体感や面白さをプラスできそうですね。他にもレースやリボンのようなさまざまな素材を試してみましょう。またコラージュ制作には、画用紙に自由に貼り付けたマスキングテープを好きな形に切り取って素材に使う方法もあります。マスキングテープは平面的ですが、根元のみを接着して先端を浮かせるなど、素材の貼り方を工夫ことで立体感を加えることができますよ。平面的ということに囚われすぎず、自由な発想でコラージュと向き合ってみることも大切ですね!

アイデア⑦ お題を変える

用いる素材だけでなく、作るもののお題自体を変えながら作業していく方法も、新鮮味があって面白いです。例えば、お母さんの顔を作ろうやチューリップの花を作ろうなど、取り組むクラスで予め共通のお題を設定するやり方。同じお題に向かって制作をしていても、表現の仕方やこだわりポイントなどは人それぞれ全く違います。個性や考え方の異なる子供達が集まる保育園という場だからこそ、お題を変えて取り組むことで、互いの作品の鑑賞まで楽しむことができますよ。鑑賞を通して違いを楽しむことは、自宅で個人作業を行うだけでは体験することのできない、まさに保育園ならではの楽しみ方といえるでしょう。ぜひ、共通のお題を与えたり、各自でお題を設定させたりと様々な取り組み方で行ってみてください!

まとめ

コラージュで切り貼りの作業を楽しもう

いかがでしたか?コラージュは、身近にある少ないものだけで簡単にできる、お手軽な遊びです。だからこそ、ほんの少し材料や切り方、貼り方などを変えるだけで、作品の印象は大きく変わっていきます。せっかく保育園で行うのならば、1つ前の項目でも述べたように鑑賞までを含めて楽しみ方を考えていくとよいですね。パーツの切り取り作業や使用する素材の細かさなど、子供の発達段階に応じて調整しながら行うことも意識して、コラージュ作品を作りましょう!

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