こだわり行動とは?発達障害との関係や具体例を紹介!【やめさせる・自閉症・知的障害・対応・種類・大人】

療育の現場では耳にすることが多い、こだわり行動。皆さんはこだわり行動についてどのくらい知っていますか?「聞いたことがあるけど、それって悪いことなの?」「発達障害の子に現れる行動のこと?」など、疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。この記事では、こだわり行動について、その特徴や具体例、対応方法などを紹介していきます。子供のこだわり行動が気になる人はもちろん、子供と関わる機会がある保護者の方や保育士さんもぜひ参考にしてみてください。

こだわり行動とは?

特定のものに対する強いこだわりに基づいた行動

まず初めに、こだわり行動とは何かについて説明します。こだわり行動とは、特定のものに対する強いこだわりに基づいた行動のことです。誰しも、自分の好きなこと、好きな物に対してこだわりを持つことがありますよね。こだわりが一般的な場合にはこだわり行動とは呼ばれません。こだわる事柄が極端に多かったり、こだわりの程度が強い場合をこだわり行動と言います。こだわり行動がみられると、日常生活に支障が出ることもあります。子供のうちから正しい対処法を知っておくことで改善することも可能ですよ。

発達障害を持つ子供に現れやすい特徴

こだわり行動は、発達障害を持つ子供に現れやすい特徴です。多動性障害や自閉症スペクトラム障害の診断基準にも含まれています。子供がこだわり行動をとるのは、親の育て方が原因であると考える人もいるかもしれません。しかし、発達障害に基づくこだわり行動は脳の発達異常からくる行動です。決して親のしつけのせいではないので、あまり思い詰めないようにしましょう。発達障害を持つ子供がこだわり行動を行うのは、安心感を得るためだとも言われています。医療機関の診断を受けて、療育を行うことで改善することもできますよ。

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こだわり行動の特徴

新しいことや変化に対して拒否反応を示す

ここからはこだわり行動にみられる特徴を紹介していきます。こだわり行動の特徴としては、新しいことや変化に対して拒否反応を示す、ということが挙げられるでしょう。こだわり行動をする子供の多くが、変化を嫌う傾向にあります。普段していることができなくなったり、初めての場所や環境に行った時に、極端に嫌がる素振りを見せたりすることがありますよ。子供が見せる拒否反応には様々なものがあります。癇癪を起こして泣き止まなくなってしまう子もいれば、興奮して落ち着かなくなってしまう子もいるでしょう。他の子よりも変化に敏感だな、と感じたら注意してみてもいいかもしれません。

同じ行動パターンを繰り返す

同じ行動パターンを繰り返すのも、こだわり行動の特徴です。1日の流れが自分の中で決まっていて、毎日同じルーティンで過ごさないと落ち着かない、毎回決まった方法で遊ぶ、などが例として挙げられるでしょう。毎日規則正しい生活を送っていたり、お気に入りの遊び方があるのは一般的なことです。一方で、時には予定通りに行かなかったりイレギュラーなことが起こったりするものですよね。そのような時に、上手く適応して対処できるかどうかが、こだわり行動か否かの違いです。同じように行っていることができなくなった時に極端に不安になる様子がみられるのが、こだわり行動の特徴ですよ。

極端な好き嫌いがある

こだわり行動では、極端な好き嫌いがある場合も多いです。こだわり行動をする子供は、自分の好きなものや好きなことに対しては執着する一方で、それ以外のものに関しては一切興味を示しません。一般的に、小学校入学前までの子供は様々なことに興味を持ちます。次第に自分の好き嫌いははっきりしていきますが、多くの子供は自分の興味がないことに関してもある程度は取り組むことができるでしょう。一方で、こだわり行動をする子どもは、自分が興味のないことには一切取り組まない場合もあります。好きなことに関しての知識やスキルは秀でる一方で、それ以外のことに関わるのが難しいのがこだわり行動をする子供の特徴です。

特定のものに強い興味関心を示す

こだわり行動をする子どもは、特定のものに強い興味関心を示すことがあります。保育園に通っている年代の子供は、多くの場合、興味関心の幅が広いですよね。普段の生活でも、あちこちに意識がいって、1つのことに集中するのが難しいのもよくあることです。一方で、こだわり行動をする子どもの場合は、ある特定の事柄に大きな興味関心を抱きます。興味関心を抱いた対象については高い集中力を発揮するため、子供ながらに高いスキルや詳しい知識を持っていることも珍しくないですよ。

行動の切り替えに時間がかかる

行動の切り替えに時間がかかるのも、こだわり行動をする子供の特徴です。こだわり行動をする子は、1つの物事に高い集中力を持って取り組むことも多いです。そのため、次の行動になかなかスムーズに移れない、ということが起きやすいですよ。特に、予定されていなかった行動を求められたり、次の行動が興味がないことだったりするときは注意が必要です。集団生活や、外出時での予定変更の際などに、こだわり行動が出やすいと言えるでしょう。

こだわり行動の例

毎日同じ服を着ようとする

毎日同じ服を着るのは、こだわり行動の一例です。お気に入りの服を毎日着ようとするのは、一般的な子供にもよくある行動です。しかし、幼稚園の制服を着なければならないときや、TPOに合わせた服を着なければならないときもありますよね。そのようなときにも、全く聞く耳を持たない場合はこだわり行動だと言えるかもしれません。また、同じ服を着れないとわかったときに、ひどく不安そうな様子になることもあるでしょう。毎日同じ服を着ようとするのが全てこだわり行動だとは言えませんが、こだわり行動の一例としては知っておくのがおすすめです。

偏食が激しい

こだわり行動としては、偏食が激しいというのも挙げられます。こだわり行動の特徴として、好き嫌いが激しいというのがあると説明しましたよね。こだわり行動をする子供の場合、食べ物の好みにもはっきりとした好き嫌いがあることが多いです。もちろん、誰にでも食べ物の好き嫌いはあるでしょう。好き嫌いが全くない子どもの方が珍しいですよね。しかし多くの場合、アレルギーなどでない限りはしつけや年齢を重ねることによって改善されていくものです。一方で、こだわり行動の偏食は、改善が難しい場合もあります。発達障害の子は、特定の食べ物の色や匂いに強い嫌悪を感じている場合があり、それは特性によるものだと考えられるでしょう。

同じ質問を繰り返す

同じ質問を繰り返すのも、こだわり行動の一例です。同じ質問を繰り返しているからといって、必ずしも答えがわかっていないわけではありません。こだわり行動の場合は、同じ答えが返ってくることを期待して同じ質問をしていることがほとんどです。発達障害の子供の中には、こだわり行動をすることで安心感を求めている場合があります。同じ質問を繰り返す場合にも、自分の問いかけに相手がいつも通り答えてくれることで安心感を得ようとしていると言えるでしょう。

おもちゃを並べ続ける

こだわり行動をする子供の中には、おもちゃを並べ続けるという遊び方をする子もいます。子供のおもちゃには様々な遊び方がありますよね。例えばミニカーを走らせてレイサーごっこをしたり、積み木を積み上げて家を作ったりすることができるでしょう。お気に入りのおもちゃで繰り返し遊ぶ子供は多いですが、ひたすら並べ続けるような行動がみられたら、注意が必要かもしれません。自分の中で決めたルールに従って並べるのが好きなので、並びを変えようとすると抵抗するのも特徴だと言えるでしょう。

なぜこだわり行動をするのか?

同じ行動を繰り返すことで安心するから

ここまでこだわり行動の特徴や具体例について紹介してきましたが、こだわり行動が生じる原因はなんでしょうか。1つ考えられるのは、こだわり行動をする子供は同じ行動を繰り返すことで安心感を得ようとしていると、いうことです。同じ行動を繰り返すということは、予測不可能な出来事が生じにくいということですよね。こうしたらこうなる、というのがあらかじめわかっているため、不安になることが少ないと言えるでしょう。

その行動が身についてしまっているから

子供がこだわり行動をするのは、単にその行動が身についてしまっているから、ということが考えられます。例えば、毎朝同じものを食べて同じ服を着て同じおもちゃで遊ぶ、ということが習慣化してしまっていたら、何も考えることなく毎日同じ行動を繰り返すことになるでしょう。特に意識することなく同じ行動を繰り返している場合、それが身についてしまうような生活習慣が原因であることもあります。改善したい場合は、少しずつ別の行動の選択肢を示してあげるのが良いでしょう。

こだわり行動はやめさせる方が良い?

生活に支障が出る場合は改善を考えた方が良い

子供がこだわり行動をしていると、不安になる保護者の方も多いですよね。「発達障害だったらどうしよう」「どうやったら治るんだろう」と考えることもあるのではないでしょうか。しかし、こだわり行動の特徴がみられたからといってすぐに改善を図る必要はありません。決まった通りに物事を進めることが得意であったり、好きなことに対して高い集中力を発揮できるのは長所であるとも言えるからです。一方で、日常生活に支障が出るようであれば改善を考えることも必要です。専門機関を受診して発達障害の判断を仰いだり、場合によっては療育に通ったりするのもおすすめですよ。

こだわり行動への対応方法

前もって予定を伝えるようにする

こだわり行動をする子供には、予定を前もって伝えるようにしましょう。こだわり行動をする子供は、予定にない出来事が起こるのを嫌います。そのため、今日の予定を事前に伝えておくことで、その通りに行動しやすくなりますよ。子供も、事前に予定がわかっていることで不安要素を減らすことができます。1週間、1ヶ月先の予定を伝えても覚えていられないことが多いので、まずは半日の予定から伝えるようにしましょう。慣れてきたらその日1日や次の日の予定を伝えるようにするのがおすすめですよ。

段階的な変化を意識する

段階的な変化を意識することで、こだわり行動が改善する場合もあります。こだわり行動をする子供は、変化や新しいことに対する拒否反応を示すと説明しましたよね。一方で、こだわり行動を改善しようと思えばある程度の変化を受け入れてもらう必要があります。ここでポイントとなるのが、変化をなるべく小さくするということです。例えば、遊びの時間からお昼寝の時間に行動を切り替えて欲しいとします。いきなり布団に入って寝るというのは、遊んでいた子供からすれば大きな変化ですよね。そのため、まずはお昼寝に関連する絵本の読み聞かせをする、一緒に布団を敷く、ベッドに入るというように段階を踏んでお昼寝ができるようにします。少しずつ行動を変化させていくことで、変化に対する抵抗を少なくすることができますよ。

子供の興味を引く対象物を増やす

こだわり行動を改善したいと思ったら、子供の興味を惹く対象物を増やすのもおすすめです。特に、こだわり行動の原因が習慣化にある時に有効ですよ。子供が結果的に同じものを選んだとしても、「こういうものもあるよ」「こういう選択肢もあるよ」と提示することで、興味の幅が広がることもあるでしょう。大切なのは、いつもと違う選択肢を選ぶことを強要しないことです。おもちゃの種類を増やしてみる、新しい絵本を買ってみる、行ったことのない場所に出かけてみる、などをすることでこだわり行動の改善がみられることもありますよ。

まとめ

こだわり行動をする子には段階的なアプローチを取ろう

ここまで、こだわり行動について、発達障害との関連性や行動の特徴、対処方法について紹介してきました。こだわり行動には様々な具体例があり、中には判断しにくいような行動もあるでしょう。物事を予定通りに進めたいという特性がたまたま強く現れているというケースもあります。こだわり行動だと思われる行動をするからといって、必ずしも発達障害であるとは限りません。気になる行動がみられる場合は、専門機関を受診するのもおすすめです。早期から療育を受けることで、こだわり行動の改善がみられることもありますよ。こだわり行動について理解して、正しい対応をとりましょう。

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