ギフテッド2Eとは?育て方や子供が抱える悩みも解説【学校・育て方・特徴】

皆さんは、ギフテッドという言葉を聞いたことがありますか?ギフテッドは、英才型と2E型の2種類に分類する事ができます。この記事では、2種類のギフテッドの中でもギフテッド2Eについて詳しく説明していきます。ギフテッド2Eとは、生まれつき高い知性や才能を持ちながら、同時に発達障害も併せ持つ人々を指す言葉です。ギフテッド2Eの診断方法や特徴、育て方について詳しく解説しているので、是非参考にしてくださいね。

ギフテッド2Eとは?

ギフテッドと発達障がいの2つの特徴を併せ持つ人のこと

ギフテッド2Eとは、twice-exceptional(二重に特別)という意味で、ギフテッドと発達障がいの2つの特徴をあわせ持つ人のことを指します。ギフテッドと発達障がいのそれぞれの特徴は以下のとおりです。

ギフテッド:生まれつき高い知能や才能を備えている
発達障がい:脳機能に障がいがあり、得意なことと苦手なことの差が大きい

つまりギフテッド2Eとは、ある分野で優れた才能を持っているけど、その他に多くの苦手な分野がある人のことを言います。

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ギフテッド2Eの種類

ギフテッド+ADHD(注意欠陥多動症)

ADHDの特性は、多動性や衝動性です。ADHDの方は、集中力やモチベーションを維持するのが難しく、人の会話や指示を聞いていなかったり大切なことを忘れてしまったりといった行動が見られます。ADHDとギフテッドをあわせ持つこどもは、総合的な知能指数は高いが、能力の凸凹が激しいという特徴があります。この特徴を持っている子供は、授業を退屈に感じたり話を合わせるのがつらいと感じてしまう事があるでしょう。そのような場合は、無理に学校に通わせずホームスクーリングも考えてあげてください。

ギフテッド+ASD(自閉スペクトラム症)

ASDを併せ持っている子供は、こだわりが強かったりコミュニケーションが苦手だったりといった特性を持っています。他にもマルチタスクや複雑な作業が苦手であるという子供もいます。一方でASDを併せ持っている子供は、特定の分野に強いこだわりを持ち、自分が興味を持っている分野については徹底的に追求できる集中力があります。ですが、このような特徴を持つ子供は出来ない面に集中されがちでギフテッドには気づかれない場合もあるので注意してみてあげてください。このような特徴が原因で、周囲の雰囲気を読むのが苦手で人間関係がうまくいかず、学校だけでなく社会に出た後もなじめずに困ってしまうことがあります。ASDを併せ持つ子供は、特定の分野への集中力が高いので、研究職や専門職が向いているでしょう。

ギフテッド+LD(学習障害)

LDとは知能指数には問題はないが、読字や書字、計算といった特定の処理だけが苦手という特徴があります。LDは以下の3つにわけることができます。

読字障がい(ディスレクシア):読むことに困難がある障がい
書字表出障がい(ディスグラフィア):書くことに困難がある障がい
算数障がい(ディスカリキュリア):計算することに困難がある障がい

書字表出障がいであれば、書くことが苦手

ギフテッド2Eの診断方法

ウェクスラー式知能検査

ギフテッドを診断する方法は確定されていませんが、発達障がいと同じ診断方法によって、どこが苦手で、どこが発達しているのかを知ることができます。1つ目の診断方法は、ウェクスラー式知能検査です。この検査法は、子供の知能指数や発達障害の有無を判断する際に、世界的に用いられている検査方法です。以下の項目を測定することで、どの面が苦手でどの面が発達しているのかを細かく測定することができます。

測定項目 ①総合的なIQ
②言語理解
③知覚推理
④ワーキングメモリー
⑤処理速度

RITモデル

RITモデルとは、学習障害が見られる子供にどのような支援が必要なのかや何が得意で何が苦手なのかを知ることができる方法です。RITモデルは以下の3段階の教育的介入があります。

第一段階:すべての子供に質の高い指導を行う
第二段階:少人数で補足的な支援を追加する
第三段階:個別支援

RITモデルは、上に挙げたような流れで少しずつ支援をしながら子供の苦手分野や得意分野、子供に必要な支援を客観的に判断するのです。問題点として、この検査法は日本ではあまり行われておらず、主にアメリカで用いられているため日本では受けづらいという点があげられます。

総合的判断

総合的判断とは、名前のとおりあらゆる項目で総合的にギフテッドであるかどうかを判断する方法です。IQの数値が130に達していなかったとしても、ある特定の分野で非常に優れた能力を見せる子供はギフテッドの可能性が大いにあります。総合的判断で調査する項目は以下のとおりです。

調査項目 ①抽象的思考
②概念形成
③語彙力の豊富さ
④数理能力
⑤想像力
⑥芸術的な能力

その他にも両親や教師への質問、子供の日常行動の観察記録や学力テスト、ある特定の分野の受賞歴などでも判断します。

ギフテッド2Eの特徴

才能には気づかれるが障がいには気づかれない

ギフテッド2Eの子供は、周りの人に特定の分野の才能に気づかれるのに、発達障がいの部分にはきづかれない場合があります。なぜこのようなことが起こるのかというと、ギフテッドの才能の部分が大きく目立つからです。ADHDなどは比較的気づかれにくい障がいのため、才能が大きければ大きいほど気付かれにくいのです。このような事態を避けるためには、以下のような点に注意して見分けてあげるようにしましょう。

・読書や計算は苦手だが、ある分野において優れた知識を持っている
・成績は優秀だが、授業中に集中できない

障がいには気づかれるが才能には気づかれない

上記とは逆で、障がいには気づかれるが才能には気づかれないという場合もあります。以下の3つの理由から才能には気づかれず見過ごされがちだと言われています。

①障がいのほうが目立ってしまう:注意や多動性、学習困難などの障がいが目立ち、周囲の関心がそちらに向いてしまう
②子供が才能を隠してしまう:障がいによって子供が自信をなくし、自分の才能を隠してしまう
③周囲の理解が不足している:周囲がギフテッド2Eについて理解していないと、才能に気づかれにくい

このような事態を避けるために、以下のような点に注目してあげるようにしましょう。

・子供の発想やアイデアに注目してあげる
・集中力や記憶力などの潜在的な能力に注目してあげる

才能にも障害にも気づかれない

まれに、才能にも障害にも気づかれない場合もあります。このように才能にも障害にも気づかれないのには以下のような理由があります。

障がいと才能の症状が似ている:例えば、集中力が持続しないという症状はADHDだけでなく、ギフテッドの子供にも見られます
周りの期待に応えようとしてしまう:周りの人たちに合わせて障がいも才能も隠してしまう事もあります

ギフテッド2Eの子供は、才能と障がいという2つの側面を持つため、周囲の理解と適切なサポートが不可欠です。どちらの特徴にもいち早く気づいてあげるようにしましょう。

ギフテッド2Eの子供が抱えている問題

学校を楽しむことができない

ギフテッド2Eの子供が抱えている1つ目の問題は、学校を楽しむことができないという点です。ギフテッドの子供は探求心が高いため、どんなことにも疑問を持ちます。そのため、学校の授業の内容では探求心が満たされず、ストレスを感じてしまうこともあるでしょう。他にも、守ることが当たり前の常識や規則に疑問を持ってしまうこともあります。疑問に思って大人に聞いても、納得のいく答えがもらえず学校を楽しめなくなってしまうのです。

周りの友達に合わせるのが苦手

ギフテッド2Eの子供が抱えている2つ目の問題は、周りの友達と合わせるのが苦手という点があります。なぜなら、ギフテッド2Eの子供は周りの子供と比べて思考速度が速く、話を理解してもらえないことが多いからです。このような特徴から、友達ができにくかったり、いじめられてしまったりと孤独感を感じてしまう子供も少なくありません。さらに、ギフテッド2Eについて理解していない先生も多いため、学校生活になじめず不登校になるという問題もあるのです。

才能を伸ばすことができない

ギフテッド2Eの子供が抱えている3つ目の問題は、環境によっては才能を伸ばしにくいという点があげられます。なぜなら、子供の発達を見るのに学力ばかりが注目されがちだからです。このようなとき、学問以外の才能をもってるギフテッド2Eの子供は才能を見つけてもらえない場合があるのです。学力ばかりに目が行くと苦手な部分ばかりが周りの人に知られて自信をなくしてしまうでしょう。このようなことを避けるためにも、学力ばかりを見ずに様々な点から才能を見つけてあげなければいけません。

ギフテッド2Eの子供の育て方

得意分野をのばす

ギフテッド2Eの子供を育てる際は得意分野を伸ばしてあげることが最も重要です。なぜなら、これまでもあげた通り、得意と不得意の差が激しく苦手なことばかりに注目されがちだからです。苦手なことがある場合、周りの人は苦手なことを克服するための行動ばかりをとってしまいがちですよね。生まれつきの特性でどうしても苦手なことなのに、無理にやらせてしまうと子供は大きなプレッシャーを感じてしまいます。このようなことを避けるためにも、ギフテッド2Eの子供を指導する際には得意なことに注目してあげましょう。

子供に負担のない程度に苦手なものを減らす

上記で挙げた通り、ギフテッド2Eの子供を育てる際には得意分野を伸ばすことが重要です。しかし、それは苦手分野を放置しておいても良いというわけではありません。なぜなら、子供が社会に出た時にうまくやっていけなかったり、浮いてしまったりと生き辛さを感じてしまうことは避けるべきだからです。子供によって抱えている困りごとは様々ですが、特性をしっかりと見極めてあげないといけません。その上で、スクールカウンセラーや医師と相談しながら、負担にならない程度に苦手を減らすための支援策を見つけてあげましょう。

子供が得意不得意を理解できるように普段から声掛けをする

子供自身が得意、不得意を理解するということも重要です。なぜなら、ギフテッド2Eの子供は周りとの違いを不得意なことの面で把握する場合が多いからです。子供が自分には不得意なことだけでなく得意な事があると自覚できるような声掛けが重要なのです。特に、家庭や教育の場面では、子供が自信を無くしてしまわないように具体的に褒めてあげるように意識しましょう。このように、子供が得意、不得意を理解し自己肯定感を育むことが大切です。

ギフテッド2Eの子供が抱える問題

環境によっては生きづらさを感じてしまう

ギフテッド2Eの子供は、環境によっては生き辛さを感じてしまうという問題があります。なぜなら、ギフテッド2Eの子供はすごい能力を持っているのに、周りの人には理解してもらえないからです。例えば、以下のような点で生きづらさを感じるようです。

・授業が簡単すぎて飽きる
・周りの友達と合わせるのが苦手
・自分の気持ちを伝えるが、うまく伝わらない

まとめ

ギフテッド2Eの特徴を知って子供の悩みを理解しよう

今回は、ギフテッド2Eの子供について詳しく解説していきました。ギフテッド2Eの子供は高い知性と同時に発達障がいを併せ持つ特別な存在です。しかし、周囲との違いから学校生活や人間関係で生き辛さを感じやすいという課題があるのです。ギフテッド2Eの子供は、周りの理解とサポートがあれば、きっと周りの人となじめるでしょう。この記事を参考にして、ギフテッド2Eの子供の特徴を理解してあげるようにしてくださいね。

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