保育園でできる熱中症対策を解説!【保育園・熱中症・対策・外遊び・飲み物】

最近は気温が少しずつ上がっており、数ヶ月経てばあっという間に夏がやってきますね。夏はプールや七夕など楽しい行事がたくさんありますが、怖いのが熱中症です。保育士のなかには、子どもたちが熱中症にならないか心配な人もいるのではないでしょうか。今回はそんな保育士さんに向けて、保育園での熱中症対策についてご紹介します。保育園で熱中症になりやすい場面や対処法などを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

熱中症とは?

高い気温により頭痛やけいれんなどの症状を起こす病気

熱中症とは、高い気温により体温が上昇し、様々な症状を引き起こす病気です。主な症状としては、脱水症状や頭痛のような軽・中度のものから、けいれんや呼吸困難など重度なものまであります。熱中症は命に関わることもある病気ですので、暑い日は十分注意しましょう。普段から水分補給をしっかりして、涼しい場所で休憩をとるようにしてくださいね。また、外だけでなく、高温多湿な室内でも熱中症になる可能性があります。保育園のすべての教室にエアコンがあるわけではないので、毎日の保育環境のなかに熱中症のリスクがないかよく確認しましょう。

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なぜ保育園の子どもは熱中症になりやすいのか

体温調節機能が未成熟

なぜ保育園の子どもは熱中症になりやすいのでしょうか。その理由の1つめは、子どもたちは体温調節機能が未成熟なためです。体温調節は、脳の視床下部にある体温調節中枢により行われますが、保育園の年代の子どもは視床下部の発達が未熟です。そのため、体温調節機能が十分に働かず、熱中症になりやすいといわれています。園では、子どもが自力で体温調節をしなければならない環境をできるだけ除外し、子どもにとって快適な空間を作ってあげましょう。

直射日光への露出が多い

2つめの理由は、子どもは直射日光への露出が多いためです。とくに子どもは大人よりも背が低いため、地面に反射した日光の熱を受けやすいです。このような照り返しの影響により、子どもは熱中症になりやすいといわれていますよ。例えば、気温が30度の場合、なんと直射日光が当たるアスファルトの温度は50度を超えるといわれています。身長が低い分、その熱を多く受けるため、子どもの体感温度は大人よりも高くなってしまいます。

子ども自身の予防意識があまりない

3つめの理由は、子ども自身の予防意識があまりないためです。保育園の子どものなかに、熱中症がどういう病気でどれほど危険なものなのか知っている子どもは少ないです。そのため、熱中症を予防しようという意識が自分自身になく、暑い日に無理をしてしまうことがありますよ。また、子ども自身は遊びに夢中で体調の変化に気づかないことがあります。そのため、保護者や保育士が子どもをよく観察し、いち早く体調の変化に気づけるようにする必要があります。

保育園で熱中症になりやすい場面

外遊びやお散歩

保育園で熱中症になりやすい場面の1つめは、外遊びやお散歩のときです。暑い日は、外にいるだけで熱中症になるリスクが上がります。その中で遊びや散歩といった運動をすると、必要な水分量はさらに増えるでしょう。子どもは自分で体温調節することが難しいので、外で活動するときは水分補給と休憩を徹底させるようにしてください。また、子どもは急激な気温変化についていくことが出来ません。そのため暑い外からエアコンが効いた涼しい室内に移動するタイミングも注意が必要ですよ。

高温多湿な室内

保育園で熱中症になりやすい場面の2つめは、高温多湿な室内です。エアコンが効いていなかったり、風通しが悪かったりすると、室内の気温は外よりも高くなることがあるため注意しましょう。外では日陰で涼むことが出来ますが、気温が高くなった室内ではそのようなことは出来ません。そのため、実は外よりも室内のほうが熱中症になるリスクは高いといえるでしょう。できるだけ室内を涼しく保てるよう、エアコンや扇風機をつけたり、こまめに換気をしたりしてくださいね。

【軽度】熱中症の症状と対処法

脱水症状や疲労感など

熱中症の初期段階では、汗をかくことで身体の水分が失われ、疲労感を感じやすくなります。息切れや気だるさを感じた場合は、熱中症のおそれがあるので注意しましょう。また、熱中症の初期段階では軽いめまいや立ちくらみ、頭痛といった症状もみられるようになります。少し貧血気味だなと感じた場合は、無理して活動せずに涼しい場所で安静するようにしましょう。身体に異変を感じたのにも関わらず無理して動いてしまうと、熱中症の症状を悪化させることになってしまいます。

水分補給と適度な休憩

疲労感やめまい、頭痛のような症状が見られた場合は、まずは十分な水分補給をしましょう。水分補給の際は、水の中に食塩を入れたり、スポーツドリンクを用意したりするとよいですよ。汗をたくさんかくと、水分と同時に塩分も失われます。塩分は血流の促進に効果のある栄養素ですので、水分補給の際に同時に摂取しましょう。また、涼しい場所で適度な休憩をとることも大切です。身体に異変を感じたらすぐに安静にし、症状が治まるのを待ちましょう。

【中度】熱中症の症状と対処法

体温の上昇や集中力低下など

中度の熱中症になると、体温は37.5を簡単に超え、38.5度くらいまで上がります。体温が上昇すると、脳に血流が回りにくくなり、集中力や注意力が低下してしまいます。また、ひどい頭痛や顔の青ざめなどが見られる場合も、中度の熱中症のサインですよ。子どもは体調の変化に敏感です。子どもをよく観察し、体調に異変を感じられるようでしたらすぐに休ませて重症化を避けましょう。

涼しい場所へ移動し身体を冷やす

中度の熱中症の症状が見られたら、すぐに涼しい場所に移動し、身体を冷やしましょう。涼しい場所は、エアコンが効いた部屋や風通しの良い部屋が望ましいです。ですが、極端に気温が低い部屋に移動すると、子どもは気温の急激な変化に耐えられず、逆に症状が悪化してしまうこともあります。エアコンは25~28度に設定し、室内を冷やし過ぎないように注意しましょう。また、身体を冷やすときは氷や保冷剤を利用すると、より効率的に冷やすことが出来るためおすすめですよ。

【重度】熱中症の症状と対処法

けいれんや呼吸困難など

重度の熱中症では、身体がけいれんしたり、呼吸困難になったりします。他にも、意識がもうろうとして真っ直ぐ歩くことが難しくなり、意識不明になることもありますよ。このように、熱中症は重症化するととても危険な症状を引き起こし、命に関わる病気になります。なかには、少しくらいの熱中症なら大丈夫だと思っている人もいるでしょう。しかし、軽度の熱中症で無理をして活動すると、あっという間に症状は悪化し、命を落としてしまうこともあります。熱中症は、身近な原因で起こりやすく、簡単に重症化してしまう恐ろしい病気です。

ただちに救急車を呼ぶ

けいれんや呼吸困難などのような症状は、水分補給や休憩等の処置では改善することが難しいです。医師による診断と処置が必要ですので、ただちに救急車を呼びましょう。救急車を待つ間は、患者を涼しい場所に移動し、楽な姿勢にさせてあげてください。そして衣服を緩め、氷や保冷剤などで身体を冷やしてあげましょう。救急車を待つ間の応急処置によって、命が助かることは多くあります。たとえ患者が意識を失っていても、救急車が来るまでは最善の処置を施しつづけましょう。

保育園でできる熱中症対策

こまめに水分補給をする

保育園で出来る熱中症対策の1つめは、こまめに水分補給をすることです。こまめな水分補給は、汗による脱水症状を防ぐ効果がありますよ。熱中症の原因には水分不足が含まれますので、水分を補給することはとても重要な熱中症対策です。水分補給の際は、食塩水やスポーツドリンクなどを用意すると効果的に補給することが出来ます。また、ペットボトルを冷凍庫で凍らせておくと、保冷剤としても活用できるのでおすすめですよ。

暑い日は外出せず室内遊びをする

保育園で出来る熱中症対策の2つめは、暑い日は無理に外出せず室内遊びをすることです。暑い日に外で活動すると、日差しや照り返しにより子どもは熱中症になりやすくなります。そのため、日差しが強く気温が高い日は、無理に外出しないようにしましょう。室内遊びは、製作遊びや折り紙、お絵描きなどがおすすめです。少し身体を動かしたければ、電車ごっこや手押しずもうなどがおすすめですよ。室内遊びの際は、室内を適度な涼しさに保ち、汗をかきすぎないように注意しましょう。

熱中症対策のマニュアルを園内で共有する

保育園で出来る熱中症対策の3つめは、熱中症対策マニュアルを園内で共有することです。これは、熱中症が増える夏に向けて、春頃から準備すると良いでしょう。マニュアルを作る際は、園内で熱中症になった人がいたら何をすればいいのかを具体的に考えるとよいですよ。また、熱中症になるリスクが高い場面を想定し、夏場は想定する場面を出来るだけ避けれるようにしましょう。熱中症は、園全体で予防することでリスクを大幅に低減することが出来ます。

保護者へ熱中症予防の声がけをする

保育園で出来る熱中症対策の4つめは、保護者へ熱中症予防の声がけをすることです。熱中症から子どもを守るためには、園内の取り組みだけでなく保護者の取り組みも不可欠です。家にいるときや外出時に熱中症対策をしっかりするように声がけましょう。声がけの方法としては、登園やお迎え時に口頭で伝えたり、お便りなどを配布したりするとよいです。保護者と園で協力し、子どもの安全を守っていきましょう。

子どもに熱中症についてわかりやすく教える

保育園で出来る熱中症対策の5つめは、子どもに熱中症についてわかりやすく教えることです。いくら園が熱中症に注意していても、本人の予防意識がない限り、熱中症のリスクを0にすることは難しいです。子ども自身で予防が出来るように、熱中症についてわかりやすく教えましょう。熱中症はとても危険なものです。そのことを分かってもらえば、子どもは熱中症を予防しないといけないという意識を持つようになるでしょう。

まとめ

熱中症について知り適切な対策を取ろう

いかがでしたでしょうか?今回は、保育園での熱中症対策に焦点をあてて解説しました。保育園の子どもは、大人よりも熱中症にかかるリスクが高く、重症化もしやすいです。そのため、保育園では園全体で熱中症対策をし、子どもの安全を守る必要があります。直射日光を避け、室内を適度な涼しさに保って安全な環境を作りましょう。また、こまめな水分補給や休憩をしっかりし、日頃から熱中症を予防する取り組みを怠らないようにしましょうね。園全体で熱中症対策をし、楽しく夏場を乗り切りましょう!

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