子供の噛みつきの原因とは?【処置・対応・保育園・予防法・愛情不足・やめさせる】

1~2歳になるとよく見られるようになる噛みつき。保育園で子供がお友達を噛んでしまうトラブルが起きてしまった、何かものへの噛み癖がある子供がいるなど、子供の噛みつきについて悩んでいる保育士さんは多いのではないでしょうか?この記事では、子供の噛みつきの原因を説明し、さらには予防策や対処法についても紹介しています。保育園でのトラブルを減らしたい保育士さんはもちろん、自分の子供の噛みつきに困っているお父さんお母さんもぜひ参考にしてみてくださいね。

子供の噛みつきの原因は?

身体発達のメカニズムとの関係

まず始めに、子供の噛みつきが起きる原因について説明します。噛みつきの原因の一つ目は、子供の身体発達のメカニズムとの関係です。人間の身体は上から下へと発達していきます。子供の噛みつきが起こりやすい時期は1~2歳の時期。この頃は身体発達のメカニズム上、手よりも口の方が発達が進んでいます。そのため、自分の意思を伝えたいときに、とっさに噛みついてしまうことがあるのです。

歯茎がむずがゆい

二つ目は、歯茎がむずがゆいことです。子供の乳歯は生後6ヶ月ごろから生え始めます。歯が生えてきたことにより、歯茎がムズムズと痒くなり、ものを噛んでむずかゆさを紛らわせようとする様子が見られるようになります。このことが理由でものを噛んでいる場合は、噛む感触が心地よくて行うものなので、あまり心配する必要はないでしょう。乳歯が生え揃う1歳ごろには噛み癖は自然になくなっていきます。

言葉に代わる自己表現

三つ目は、噛みつきを言葉に代わる自己表現として使ってしまうことです。噛みつきのピークである1~2歳は自我が芽生え始める時期。「これはいやだ!」「こっちがいい!」などと思っても、それを伝えるだけの言語能力はまだありません。そのため、言葉を使わずに自分の意思を伝えようと噛みついてしまうことがあるのです。トラブルが起きそうなときには大人が間に入り、お友達同士の気持ちを代弁してあげると良いでしょう。

他人との関わり方がわからない

四つ目は、他人との関わり方がわからないことです。子供のころはまだ他人との関わり方がわかっておらず、あいさつや楽しい気持ちの表現としてお友達に噛みついてしまうことがあります。他にも、興奮しているけれどどうしたらいいかわからない、犬や猫と同じようにじゃれているつもりで噛みつく、といったケースが考えられます。子供の噛みつきは必ずしも不満が原因という訳ではありません。

甘えたい気持ちの表現

五つ目は、甘えたい気持ちの表現です。お父さんお母さんに対して噛みついてしまう場合はこのことが原因であると考えられるでしょう。特に、弟や妹が生まれてお父さんお母さんが赤ちゃんにつきっきりになっているときや、仕事や家事に忙しく、あまり自分のことを見てくれていないと感じたときによく見られます。噛むことで親が痛がり、自分の方を見てくれるという反応を求めて噛んでいることが多くあります。

心身の不安定

六つ目は、心身の不安定です。子供は体調や環境の変化によって不安定になり、人に噛みついてしまうことがあります。発熱や頭痛といった体調不良や引っ越し、お母さんの妊娠など子供が不安定になってしまう要因はさまざま。子供の噛みつきが多く見られるようになったときは、体調だけでなく、その子の家庭環境にも目を向けてみると良いでしょう。不安定になってしまっている要因が見えてくるかもしれません。

攻撃手段

七つ目は、噛みつきを攻撃手段として使ってしまうことです。子供同士のケンカの最中には、お友達を叩いたり蹴ったりといった攻撃をしてしまうことがあります。噛みつきもその攻撃手段の一つ。まだ言葉での攻撃ができずに噛みつきという攻撃手段を取ってしまうことがあるようです。子供の噛みつきが見られるのは主に3歳までですが、攻撃による噛みつきは3歳以降でも見られることがあります。言葉がある程度発達してきた3歳以降で噛みつきが見られた場合は要注意です。

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子供の噛みつきの予防策

噛んでも大丈夫なおもちゃを与える

ここからは、子供の噛みつきへの予防策を紹介します。一つ目は、噛んでも大丈夫なおもちゃを与えることです。この方法は、歯茎のむずがゆさが原因の噛みつきに効果的。むずがゆさを紛らわせることができます。歯固めなどの噛んでも安全なおもちゃを渡してみましょう。子供が噛むことで壊れてしまうようなおもちゃを与えるのはNG。破損し、部品を誤って飲んでしまうことがあり大変危険です。噛んではいけないものに噛みついていたときは、噛んでも大丈夫なもので気をそらしてあげましょう。

子供たちから目を離さない

一秒も欠かさず見ていることは難しいですが、できるだけ子供たちから目を離さないようにしましょう。そうすることで、子供の噛みつきを未然に防ぐことができます。噛みつきそうなときは話しかけるなどして、気をそらしてあげましょう。また、日頃から子供たちの様子を観察することで、どのようなタイミングで噛みつきが起きるのか、子供たちの表情や行動から推測できるようになります。その子がなぜ噛みついてしまうのか、理由も見えてきますよ。

子供たちの密集を避ける

子供たちの遊ぶ場所のスペースが十分でないと、子供同士の体がぶつかったりおもちゃの奪い合いが起きたりして満足のいく遊び方ができず、不安定になりやすくなります。子供たちの人数に合わせた場所を用意してあげましょう。広さを確保するだけでなく、パーテーションや棚を使って子供が一人でリラックスできる環境を作ることも効果的です。子供たちが思いっきり遊べる環境を作り、ストレスをためないようにできると良いですね。

手が届く場所に職員を配置する

子供たちに手が届く場所に職員を配置することで、噛みつきそうなときに子供たちを止めることができます。職員同士で連携を取り合い、トラブルを未然に防げるようにしましょう。特に、朝や午睡前、昼食前などは集団行動の始まりであったり、眠かったりおなかが空いていたりで子供たちが不安定になりやすい時間帯。その時間帯は職員の数を増やすといった工夫をすることで、より多くの子供たちに気を配ることがでます。

子供とのコミュニケーションを増やす

子供たちが不安定な状態にならないように、子供とのコミュニケーションを増やしましょう。特に、弟や妹が生まれたときは子供が寂しさを感じやすくなっています。意識的にコミュニケーションの時間を取ると良いでしょう。仕事や家事で忙しく、あまり時間を取ることができないこともあります。しかし、スキンシップは量より質が大切です。多忙な日々の中でも、子供に愛情を伝えてあげられるようにしましょう。

子供の噛みつきへの対処

ケガの手当

もし保育園で子供の噛みつきが起きてしまったら、まず始めにすべきことはケガの手当です。噛んだ場所を洗い流し、患部を冷やすことで、炎症反応を抑えましょう。冷やすときは氷のうや氷と水を入れたビニール袋、保冷剤を必ずタオルにくるんで使います。子供はじっとしているのが苦手ですが、最低でも5分は冷やしましょう。できるようであれば、皮膚の感覚がなくなるくらいまで冷やすのがベストです。その後、園での薬の使用が可能な場合は、抗菌軟膏を塗りましょう。以上のような手当を行うのは、噛み跡があるだけの場合や出血があってもにじむ程度である場合のみです。出血が多かったり傷が深かったりする場合は、必ず医療機関を受診してください。

噛んだ子への声掛け

噛んでしまった子にはすぐに怒るのではなく、一度その子の気持ちに寄り添ってあげましょう。噛まれた子が泣いているのを見て動揺していることもあります。子供の気持ちが落ち着いてから、なぜ噛んでしまったのか聞いたり、噛まれた子は痛いんだということを伝えたりしましょう。怒るのではなく、言い聞かせることが大切。厳しい口調で叱るのは逆効果です。また、そのタイミングが忙しいときであっても、子供の対応を後回しにしてはいけません。後からでは、何のことだか子供たちはわからなくなってしまいます。

噛まれた子への声掛け

噛んでしまった子だけでなく、噛まれた子への声掛けも重要です。ケガの処置をしながら、まずは噛んでしまった子と同じように、子供の気持ちに寄り添ってあげましょう。「急に噛まれてびっくりした」という気持ちを受け入れながら、どこを噛まれてしまい、痛いのかを確認する必要があります。噛まれた子への声掛けでもう一つ重要なことは、相手の気持ちを代弁することです。「○○ちゃんは一緒に遊びたかったんだけど、うまく言えなかったんだよ」というように、噛んだ子に悪意があったわけではないことを優しく伝えてあげましょう。

噛んだ子の保護者への伝え方

噛んでしまった子の保護者へ子供が他のお友達を噛んでしまったことを伝える際は、その時の様子を詳しく伝えるようにしましょう。噛みつきの事実だけでなく、なぜ噛んでしまったのか、そのときはこのような状況だったなど噛みつきの背景を知ることで、保護者が自分の子供に寄り添いやすくなります。子供の噛みつきは園でのトラブルだけではなく、家庭でのストレスが原因のこともあります。噛んだ時の状況からでは理由がわからなかったときは、「ご家庭で何か変わった様子や困ったことはありませんでしたか?」と一度確認してみても良いかもしれません。

噛まれた子の保護者への伝え方

噛まれた子の保護者へは、傷の有無に関わらず、噛みつきが起きてしまったことをまず一番に謝罪することが必要です。その後、どのような状況や原因でトラブルが起きてしまったのか、そしてどのような対処をしたのかしっかりと説明しましょう。起きてしまったことを濁さず、誠意をもって説明することで、保護者は園に対する不信感が取り除かれ、今後も信頼して子供を預けることができます。

まとめ

噛みつきの原因を知り子供たちが安全な保育を!

いかがでしたか?今回は、子供の噛みつきの原因や予防法、さらに対処法についても紹介しました。この記事を参考にし、子供が噛みつきをしてしまう原因を知ることで、どのようにしたら改善することができるのかが見えてくるでしょう。職員全員で協力して噛みつきを防ぐとともに、子供たち一人ひとりに合わせた対策法や対処をとることが大切です。その結果、子供たちとその保護者みんなが安心して通うことのできる、安全な保育園が実現できると良いですね。

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