ピグマリオン効果とは?保育現場での使い方を詳しく解説!【由来・実験・活用例・注意点】

「同僚や子どものやる気を引き出したいけれど、どう声をかけたらいいんだろう」と悩んだ事はありませんか?そんなときヒントになるのがピグマリオン効果です。ピグマリオン効果とは、他者から期待されると本当にその期待通りの成果を出してしまうという心理効果のこと。とはいえ、ただ期待すればいいというわけではありません。そこで今回は、保育や仕事の現場ですぐに活かせるピグマリオン効果の活用法を分かりやすく解説していきます。

ピグマリオン効果とは?

期待されると期待通りの結果を出す心理効果

ピグマリオン効果とは、期待されると期待通りの結果を出す心理効果です。なぜそういった効果があるのかと言うと、人間は他者からの期待を感じ取ると「それに応えたい」という意欲が湧き、無意識に行動や努力の質を高めるからです。例えば、学校や職場で「君ならできる」と信頼して仕事を任された人が、自信をつけて予想以上の成果を上げることがありますよ。しかし、一部ではピグマリオン効果には再現性はないという批判的な意見もあり、現在でも議論が行われているようです。

ロバート・ローゼンタールによって発見された

ピグマリオン効果は、ロバート・ローゼンタールによって発見されました。彼は1960年代に小学校の教育現場で、ある実験を行いました。それは、教師が「この子は今後、成績が急激に伸びる」という期待を持って生徒に接すると、数ヶ月後、本当にその生徒たちの成績が向上したというものです。彼の論文による主張では、期待のこもった眼差しを向けた点と、それに気づいて意識した子どもによって効果が出たとされています。

ギリシア神話の登場人物に由来して名付けられた

ピグマリオン効果という名前は、ギリシア神話の登場人物に由来して名付けられました。その登場人物とはキプロスの王であり彫刻家であったピグマリオンです。彼の物語を簡単に説明すると以下の通りです。

ある時彼は、自らの手で理想の女性の像を彫りました。現実の女性に失望していた彼は、その像の女性に恋をしてしまったのです。以降、像に話しかけたり食事を用意したりと「人間になってほしい」と願いました。そんな姿を見ていた女神が、像に命を吹き込み本当に人間になりました。

参考:Wikipedia|ピグマリオン効果

このように、他者に対して強く期待をかけたり信じて願い続けたりすると期待が現実のものになるという現象から、ピグマリオン効果と命名されました。

保育士くらぶ

ピグマリオン効果の活用例

職場で活用する

ピグマリオン効果の1つ目の活用例は、職場での活用です。なぜなら、上司が部下に対して肯定的な期待と信頼を寄せることで、部下の仕事に対する自信が育ち、自発的な成長へとつながるからです。例えば、新人保育士に初めて行事の担当を任せる際「君ならできるよ、楽しみにしているね」と声をかけます。すると新人保育士は「期待に応えたい!」と意欲を持ち、主体的に指導案を考え、行事を成功させることがありますよ。このように職場において、上司が部下の可能性を信じて適切な期待をかけることは、全体の業務の質を向上させるためにも有効です。

子育てに活用する

ピグマリオン効果の2つ目の活用例は、子育てへの活用です。親が子どもに対して「この子は成長できる」と心から信じて肯定的な期待をかけることで、子どものやる気が生まれ、自発的に行動する力が育まれます。身近な例では、子どもが新しい習い事や勉強で行き詰まっているとき「〇〇なら焦らず練習すればきっとできるようになるよ」と声をかけます。すると子どもは、その信頼を感じ取って「自分はできるんだ!」と自信を持ち、目標を達成できるようになります。子育てにおいて、子どもの可能性を信じて適切な期待を寄せることは、子どもの自己肯定感を高め、能力を引き出すうえで効果的ですよ。

ピグマリオン効果の使い方

裁量を与える

ピグマリオン効果の1つ目の使い方は、裁量を与えることです。相手に裁量を与えると、信頼と期待をしているという気持ちが言葉以上に伝わります。具体的には、

子どもの場合:「おもちゃを箱に戻すのと、絵本を棚に並べるの、どっちから先にやってみる?」

職員の場合:「テーマだけ決めたら、あとの構成や配置はあなたの感性に任せるね。楽しみにしているよ。」

任された側は、期待と責任を感じて主体的に考えるようになり、指示待ちのとき以上の行動力や創造性を発揮するようになりますよ。このように、ピグマリオン効果を活用するためには、言葉だけでなく、裁量を与えるという実践的な形で信頼を示すことが大切です。

期待していることを示す

ピグマリオン効果の2つ目の使い方は、期待していることを示すことです。心の中で相手に強く期待をしていても、本人に伝わらなければ、自信を持って行動を起こすきっかけにつながりません。例えば、

子どもの場合:「もうすっかりお兄さん(お姉さん)だね。お片付け、どこまでできるか楽しみだな」

職員の場合:「あなたの丁寧な保護者対応は園の強みだから、本当に頼りにしているよ」

といった声をかけます。言われた相手は期待を明確に感じることで、自己肯定感を高め、その期待に応えようと主体的に動けるようになります。つまり、ピグマリオン効果を活用するためには、期待を言葉にして示すことが大切なのです。

肯定的な態度を示す

ピグマリオン効果の3つ目の使い方は、肯定的な態度を示すことです。いくら言葉で期待を伝えていても、表情や視線、普段の仕草といった態度が否定的であれば、相手は本心を見抜いて萎縮してしまいます。子どもが失敗してしまったときや、後輩が不慣れな業務でミスをした際は、決して眉をひそめたりため息をついたりせず「大丈夫だよ」という受容的な態度で接しましょう。肯定的な態度を感じることで、相手は「失敗しても見捨てられない」と感じ、萎縮することなく次のステップへ向けて自発的に努力を重ねられるようになります。ピグマリオン効果を活用したいと考えている方は、肯定的な態度を日頃から心がけましょう。

結果だけでなく過程も評価する

ピグマリオン効果の4つ目の使い方は、結果だけでなく過程も評価することです。成功や失敗という結果だけに目を向けて期待をかけると、人は「失敗したらガッカリされる」とプレッシャーを感じてしまいます。一方、頑張った姿や工夫した過程を認めると「次もやってみよう」という意欲や自信につながりますよ。例えば、

子どもの場合:「あきらめずに何度も鉄棒を練習していたね。すごく格好いいと思ったよ」

職員の場合:「失敗を恐れずに新しい活動にチャレンジしたことが、まず素晴らしいと思う。その挑戦する姿勢が良い刺激になってるよ」

ピグマリオン効果を活用するときは、目に見える成果だけに囚われず、過程を丁寧に評価することが大切です。

結果を出せないときはヒントを出す

ピグマリオン効果の5つ目の使い方は、相手が結果を出せずに行き詰まっているときに、適切なヒントを出すことです。ただ「あなたならできる」と期待をかけるだけでは、必ず期待通りになるとは限りません。相手が行き詰まっている場合は乗り越えるためのヒントを少しだけ提示してあげましょう。例えば、

子どもの場合:パズルを完成させられずに諦めそうなとき、代わりにやってしまうのではなく「この青いピースはどこに入るかな?」と小さなヒントを出す

職員の場合:後輩が企画書で行き詰まっている際、すべてに指示をせず「去年の資料のここを参考にしてみるとアイデアが広がるかもよ」とヒントを添える

このように、相手が壁にぶつかったときに絶妙なヒントを出し、優しくサポートすることが重要です。

ピグマリオン効果の注意点

プレッシャーでメンタル不調に陥る可能性がある

ピグマリオン効果の注意点は、期待されることによるプレッシャーで、相手がメンタル不調に陥る可能性がある点です。「その期待に応えなければいけない」「失敗したら見捨てられてしまう」と、相手が過剰に思い詰めてしまうと、心に大きな負担やストレスがかかってしまいます。「君なら絶対にできるよ!」と実力以上の責任を背負わせたりするケースがこれに当たりますよ。言われた側は、期待を裏切る恐怖から本音を言えなくなり、強い不安や無力感を抱いてメンタルを崩してしまったりするのです。ピグマリオン効果を逆効果にしないためには、相手の現在の心の状態や能力を見極め、逃げ道のない過度なプレッシャーにならないようにする必要があります。

褒めすぎると逆効果になる

ピグマリオン効果を活用する際の2つ目の注意点は、過剰に褒めすぎると、かえって逆効果になるという点です。なぜなら、根拠のないお世辞や大げさな褒め言葉を頻繁に浴びせられると、手を抜いたり、人を見下すようになってしまう可能性があるからです。例えば、

子どもの場合:「自分は〇〇より褒められてすごいんだ!」

職員の場合:「前褒めてもらったし今日はこれくらいでいいや」

このように、褒められすぎてしまうと現状に満足し、自ら成長を止めてしまうことがありますよ。保育現場においてピグマリオン効果を正しく機能させるためには、むやみに褒め続けるのではなく、褒める場面とそうでない場面のバランスを見極めることが大切です。

周囲から注目されたくない人には1対1で伝える

ピグマリオン効果を活用する際の3つ目の注意点は、周囲から注目されたくない人には1対1で伝えることです。人前で目立つことが苦手な人の場合、みんなの前で大々的に期待をかけられると、恐怖心が勝って心を閉ざしてしまうことがあります。例えば人前で「今回も期待しているよ!」と伝えると「周りから浮くのでは」と強いストレスを感じ、あえて行動をセーブしてしまうことがありますよ。 ピグマリオン効果を最大限に発揮させるためには、相手の性格をしっかりと見極め、どのように伝えるべきかを考えましょう。

不公平感や不信感などを感じる可能性がある

ピグマリオン効果を活用する際の4つ目の注意点は、不公平感や不信感などを感じる可能性がある点です。なぜなら、特定の子どもや後輩だけを褒めていると、周りからは、その人だけを贔屓しているように見えてしまうからです。贔屓だと感じた周りの人たちは「自分たちは期待されていない」と不信感を募らせ、組織やクラスの雰囲気が悪化してしまう可能性もありますよ。ピグマリオン効果を活用したい場合は、特定の人に偏るのではなく、すべての子どもや職員に対して一人ひとりの異なる良さや可能性を平等に見出し、期待の眼差しを向け続けることが重要です。

ピグマリオン効果に似たその他の心理効果

ハロー効果

ピグマリオン効果に似た効果をもつ1つ目の心理効果は、ハロー効果です。ハロー効果とは、人が持つ目に見える特性によって全体を評価してしまう心理効果です。例えば、

・いつも元気に挨拶ができる人に対して「この人はきっと何でもできるしっかり者だ」という評価をして、より高い期待をかける

・しゃべるのが苦手で大人しい人に対して「この人に任せても効率が悪いのでは」と言う評価をして、無意識に期待の薄い態度を取ってしまう

というケースがハロー効果に当たります。 どちらも思い込み(先入観)がベースとなり、相手の評価や行動を大きく歪ませてしまうという点が類似しています。

ホーソン効果

ピグマリオン効果に似た効果をもつ2つ目の心理効果は、ホーソン効果です。ホーソン効果とは、他者から注目されたり、見守られていると感じたりして「期待に応えたい、良い姿を見せたい」という心理が働き、モチベーションが高まる心理効果。これは周囲の視線や関心が相手の力を引き出すという点で、ピグマリオン効果と共通しています。 一見「これは一緒なんじゃないか?」と思いますよね。ピグマリオン効果とホーソン効果の違いは、やる気に火をつける原因にあります。ピグマリオン効果は相手への期待がきっかけなのに対して、ホーソン効果は相手への注目や関心がきっかけです。

ゴーレム効果

似た効果をもつ3つ目の心理効果は、ゴーレム効果です。ゴーレム効果とは、周囲から「この人はできない」とネガティブな評価を向けられると、本当にその通りにパフォーマンスが下がってしまう心理効果です。例えば、普段から落ち着きのない人に対して「どうせ今日もトラブルを起こすだろう」と諦めの視線を向けると、本当に失敗を繰り返すという悪循環に陥ることがあります。ゴーレム効果とピグマリオン効果の最大の違いは、相手に向ける期待の向きと、それによって引き起こされる結果です。

まとめ

保育や仕事にピグマリオン効果を活用しよう!

今回は、ピグマリオン効果について解説しました。ピグマリオン効果は、信頼や期待の眼差しによって、子どもや後輩の可能性を最大限に引き出す強力な心理効果です。裁量の付与や肯定的な態度、過程の評価や適切なヒント等を意識し、過度なプレッシャーや周囲の視線に配慮して活用することが大切ですよ。また、ハロー効果などの先入観に注意し、真逆のゴーレム効果で相手の意欲を奪わないよう、一人ひとりの可能性を公平に信じ続ける姿勢が成長を支えます。この記事を参考に、是非ピグマリオン効果を活用してみてくださいね。

おしえて!保育求人ガイド

ABOUTこの記事をかいた人

おしえて!保育求人ガイドは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。おしえて!保育求人ガイドでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/