保育士の休憩時間は少ない?リアルな休憩事情とは【対処法・休憩のメリットなど】

保育士さんは年収と労働時間が見合ってないことが度々問題視されています。2021年11月19日に政府が保育士の給料引上げる処遇改善を行うことが発表されましたが、いずれにせよ労働環境が改善される事は現状まだまだ難しいといえます。日々、子供達を相手にする保育士さんはきちんと休める休憩時間を取る事はとても大事なこと。休憩時間がゆっくり休めないとストレスにも繋がり体調を崩してしまうかもしれません。
今回は、保育士さんの休憩時間について徹底解説します。本記事を参考にして、園の労働環境の改善に努めましょう。

保育士の休憩時間

8時間以上なら1時間休憩できる

まず、保育士さんの休憩時間についてです。労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間をしなければなりません。フルタイムで勤務する保育士さんなら、ほとんどの方が8時間以上勤務されていると思いますので1時間の休憩は必ず取れるということになりますね。しかし実際に、休憩を1時間きちんと取れている保育士さんはそう多くはいないのが残念ながら現実なのです。

規定通りに休憩できないこともアリ

規定通り休憩をとれる園の方が少ないのが現状です。午睡の時間も一見休憩時間が設けられそうですが、午睡の時間になっても眠ってくれない子やすぐ起きてしまう子、おねしょをしてしまう子もいます。乳児は特に乳幼児突然死症候群(SIDS)といって寝ている時に突然死してしまう可能性があり、監視が必要です。そのため午睡の時間でものんびりしてる暇はありません。
子供達がみんな眠っていても、お昼寝の時間を利用して事務作業をする園がほとんどです。状況的に保育士さんが休憩時間をうまく取ることはなかなか難しいでしょう。

保育士くらぶ

労働基準法が定義してる休憩の三原則

労働時間の途中に休憩を付与

休憩時間は、労働時間の途中に与えなければならないことが労働基準法で定義されています。途中とは、労働と労働の合間のこと。(労働の合間ならどのタイミングで休憩を取っても問題ありません。)業務開始前や終了後に休憩を与えるのは休憩時間として認められないため、法令違反になります。例えば、保育士さんが休憩は要らないと言って園が休憩時間を与えないのも法令違反になるので気をつけましょう。

休憩時間は一斉に

休憩時間は、一斉に与えなければならないことが労働基準法で定義されています。休憩時間を保育士によって変えることは、法律上できません。しかし、場合によっては例外もあります。保育士さんの場合は労使協定(36協定)を結ぶことで一斉付与の原則が適用されません。労使協定(36協定)とは、労働基準法第36条にもとづく労使協定を労働基準監督署長への届出することで時間外・休日労働をすることができます。しかし、労使協定(36協定)を結んでも園は保育士さんに対して適度に休憩時間を設けて労働過多にならないように努めないといけません。

休憩時間は従業員が自由に使うことができる

使用者は、労働者に対して休憩時間を自由に利用させなければならないと労働基準法で定義されています。休憩時間は、完全に業務から解放して自由に過ごす時間を労働者に与える必要性があります。しかし、保育士さんは園に子供がいるときはなかなか環境的に完全に業務から離れるのは難しいことでしょう。また本来、休憩時間の外出も基本的には労働者の自由ですが、こちらも環境下的に難しいのが現実だと思います。

休憩時間をうまく確保するには

休憩の取りやすい職場作りをしよう

保育士さんはとにかく忙しいため、他の職員に遠慮して休憩をとるのは申し訳ないと思う方も多く、無理に働いてしまう方も多いです。特に、新人であればあるほど取りにくい環境下だと思います。ベテランの方がきちんと休みを取ったり、新人にも休みをきちんと取るように促すことで休憩の取りやすい環境ができるでしょう。そのためには、まず園長がベテランの方に新人にもきちんと休みを取らせることを促すことが大事になってきます。

ICTシステムを使って作業を効率化

園児の出欠管理や保育日誌、連絡帳・お便りなどの作成・発行は、保育士さんが手作業で今までは行われていました。こういったアナログ作業を、パソコンやタブレットスマホといった端末を使って簡略化しスタッフの負担を減らすことで作業を効率化することができます。保育現場でのICT導入は政府も推進しています。作業を効率化する事で残業を減らし、休憩時間も取得しやすくなりますね。

休憩時間があるメリット

集中力を高めたりリラックスできる

適度に休憩を挟むことで集中力を高めたり、リラックス効果があります。人間の集中力を持続できる時間は平均で45分であり、限界の時間は90分と言われています。一気に休憩を取得するのも良いですが5分から10分の休憩を定期的に取ることも良いでしょう。小休憩を取ると、脳や体の疲れが和らぎ、集中力が回復といった効果があります。子供が降園した後、職場ではデスクワークが多くなると思います。長時間座ったまま仕事を続けると、血液の流れが悪くなり、集中力が切れやすくなるため適度に休憩をすることで体をリラックスさせることができるでしょう。

離職防止につながる

保育士不足が社会問題化する昨今。その原因の一端は保育士の離職率の高さだともいわれています。保育士等における現状の調査結果、保育士の離職率は10.3%という結果になりました。保育士の離職率の高さの原因としてあげられるのは、給与の低さや、労働環境の悪さなどです。休憩を入れて労働環境を改善することで離職防止につながります。また、休憩中にコミュニケーションを職員同士で取ることによって更に離職防止に取り組むことができますよ。

休憩を取るのが難しい人の対処法

時短勤務を検討する

休憩を取るのが難しい方は、時短勤務を打診したり、求人を探してみたりいいかもしれません。時短勤務では、1日の勤務時間を原則6時間になるため短時間で勤務が終えられます。非正規雇用のパートやアルバイトの保育士さんの中には、時短の勤務形態の方もいらっしゃいます。早朝保育や延長保育などの時間帯に、パートやアルバイトの保育士さんを配置する保育園はけっこう存在するみたいです。このように、時間外保育の時間を担当する勤務の場合、3~4時間だけの短時間のシフトも組まれるようです。

時短勤務の求人にも落とし穴が…

時短勤務の求人の探し方として、インターネット上のサイトで探すことが一般的だと思います。中には、高給や好待遇を謳う求人もたくさんあります。しかし、そうした求人に惹かれて入職したものの、実際は掲載されていた条件とは異なっていた例もあるのが事実。求人内容に虚偽の記載があることもしばしば…。入職してから条件と違うという状況に陥ることを避けるために、園見学の際にしっかり確認しておくことも大切です。例を出すと、時短勤務と記載してあっても実際に働いた時に時短勤務終了後、残業を打診されることもあるのです。その点を園見学で必ず確認するようにしましょう。

保育士の勤務時間

固定時間勤務の場合

9:00~17:00や10:00~18:00のように時間帯を決めて勤務する固定時間勤務。この勤務形態は、お子さんがいる又は家庭を持っている保育士に人気です。家事と仕事の両立のために、決まった時間に出退勤ができる固定時間勤務だと働きやすくなりますね。特に、中番(9:00~18:00など)のシフトが人気のようです。朝早く起きるのが苦手な場合は12:00~閉園など開始時間の遅い昼過ぎのシフトでの勤務の方もいらっしゃいます。決まった時間に勤務希望の方は多く、求人の条件に固定時間勤務を採用している園もたくさんありますよ。

シフト制の場合

シフト制の勤務を希望する保育士さんは、比較的時間の融通が利く独身の保育士さんが多いようです。早番・中番・遅番の3交代のシフトを採用している園が多いですが、4交代・5交代のシフト体制の園もあります。多いところでは、7交代というようなところもあるようです。公立の園では、早朝保育・延長保育を実施していないところもあります。保育時間が比較的短いため、2交代制(早番・遅番)を採用している園が多いですね。

早朝・深夜勤務の場合

園や施設によっては、24時間預かり対応を行っているところや、深夜まで夜間保育を行っているところもあります。夜間働いている保護者の方のために24時間開設している園や病院内保育園などは、勤務時間が夜間になるので、一般の園とは異なるシフト制です。シフトのパターンが増えると、日中の時間をメインに働きたい保育士さんが多くなり、朝早い時間帯と夜遅めの時間帯の人手が少なくなりがち。そうした人手の少ない時間帯にパートの保育士さんが配置されます。人手の少ない時間帯は、日中の時間帯より時給が高いのが嬉しいポイントですね。

公立か私立で勤務時間が異なることも

園によって差異はありますが、勤務時間は基本的に原則8時間。公立の保育園や幼稚園で働く保育士さんや幼稚園教諭は公務員なので、勤務時間はほぼ8時間です。一方で、私立の保育園や幼稚園で働く保育士さんは、園児が帰った後に会議や製作物の作成、イベントや行事の準備などがあり、長時間労働になりがち。また、幼稚園は保育時間が短いので交代制ではなく、職員全員が8時間働くといった園も多いようですが実際に8時間で仕事を終えてる園は少ないです…。

そんな保育士さん達の長時間労働を少しでも解消するために前述で記載した休憩時間を確保する方法を試してみてはいかがでしょうか。

まとめ

休憩時間を有意義に使おう!

本記事では、保育士さんの休憩時間について取り上げてみました。いかがでしたでしょうか。日々忙しい保育士さん。休憩をなかなか取りにくい環境下であると思いますが、休憩を取ることで集中力を高めリラックス効果があったり、離職防止につながります。
また、保育士さんは休憩が取りづらく働くのが辛くなってきたときは時短勤務を打診したり、転職を考えてみるのもいいかもしれません。休憩時間を有効に使い、リフレッシュして働ける環境にするためにもまずは園長やベテランの方が休憩の取りやすい雰囲気を作りましょう!

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