認可保育園ってどんな保育園なの?【料金・基準・認可外保育園との違いなど】

保育士の皆さんは、認可保育園についてご存知ですか。認可保育園とは、国の基準をクリアして各自治体から認可された保育園のこと。似たような施設で、認可外保育園というものもあります。この2つは、基準や設備などが大きく異なるのです。では、認可保育園と認可外保育園の違いは一体どう違うのでしょうか。今回は、認可保育園の具体的な内容や認可外保育園との違い、就職するときのポイントなどについて解説しています。就職や転職を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

認可保育園とは?

国の基準をクリアして各自治体から認可された園

認可保育園とは、以下の児童福祉法に基づいて設置された園のことです。

  • 国(厚生労働省)が定めた基準(施設の広さや設備、職員数、管理体制など)をクリアした施設
  • 都道府県知事や政令指定都市、中核市が設置を認可した保育園

基本的には国の基準が大原則です。しかし、都道府県や自治体ごとにさらに厳しい条件をつけていることもあります。もし保育園を経営しようということがあれば各自治体の定める基準を調べると良いでしょう。

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認可保育園の料金

認可保育園は安くて無償化で補助される

認可保育園の費用は居住地や世帯所得、子どもの年齢などによって大きく差が出ます。しかし、基本的には認可保育園は安くて無償化で補助されている傾向があります。認可保育園では園でかかるお金がかなり国や自治体からの補助金で賄われていることが多く、運営が問題なく安定している園が多いことが特徴的。補助金の利用ができるので、保育料も定額なところは保護者の方が嬉しいポイントですね。

認可保育園のクリア基準は5つ

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対象

まずは、認可保育園の対象の子どもから見ていきましょう。認可保育園の対象の子どもは、0歳から小学校入学前の子どもたちです。また、2歳未満の子どもを1割以上配置すること、3歳未満の子ども2割以上といったことも決められています。厚生労働省の資料では保育施設で預かっている子どもたちは0歳から2歳の子どもが130705人、3歳以上の子どもは89619人、年齢不明の子どもが529人です。 (出典:「平成29年度認可外保育施設の現況取りまとめ」)
0歳から2歳の子どもを預けたい方が多いことがわかりますね。

配置基準

認可保育園の配置基準は以下の通りです。

  • 乳児 おおむね3人につき保育士さん1人以上
  • 1歳児および2歳児 おおむね6人につき保育士さん1人以上
  • 3歳児 おおむね20人につき保育士さん1人以上
  • 4歳児以上 おおむね30人につき保育士さん1人以上

保育時間が11時間を超える場合は、保育されている児童が1人の場合を除いて2人以上の保育士さんが必須になります。

資格

認可保育園の基準は資格にもあります。認定保育園は一定数以上の資格者が園内にいることが必要なのです。まず、保育士の設置は絶対に必須。また、特例で保健師か看護師も1名まで必要です。認定保育園で雇う看護師は、保育園全体を健康の面からサポートしてくれる役割がありますよ。また自分の園で調理も行う認定保育園の場合は調理師の資格がある方を置くことも必要です。

設備

設備の条件もこと細かく決められています。まず、認可保育園に必要な設備は預かる年齢によって変わることがあります。満2歳以上の子どもを預かる場合には保育室や遊戯室、屋外遊戯場、調理室、トイレが園の設備として必要です。保育室の面積は0歳児と1歳児は一人当たり3.3平方メートルが必要。2歳児以上は一人あたり1.98平方メートルと決まっています。2歳児以上だと1人あたり3.32平方メートル以上の屋外遊技場が必要です。

給食

認定保育園では給食が出ますよね。給食は、自分の園で調理するかまたは委託をする必要があります。委託の場合は調理師を置かなくても問題ありません。また、自分の園で調理する場合は献立を考えるときに調理師だけでなく栄養士を雇うことも必要です。献立の考案や作成、調理、食育教育、調理師との連携、アレルギー児等への対応などといった事を行うために栄養士は必要なのです。

認可保育園と認証保育園の違い

料金の違い

料金については認可保育園の方が安く、また3才からなら保育料無償化により無償になります。一方、認可外の保育園は基本的に国や自治体から補助金が出ていませんので比較的料金が割高になることが多いのが特徴的。保育料無償化に関しても月額の補助額が定められています。認可保育園に入るには各家庭の点数をもとに決まるので選考から落ちてしまうことも多いです。

環境の違い

子ども達が長時間過ごす上で保育園の環境のチェックはとても重要。認可保育園は国や自治体の求める基準をクリアしているので、園庭や保育室などの設備が保証されています。認可外保育園の場合、基準に満たない設備などを各自の園がいろんな形で補填していることが多いです。そのため、園庭や保育室などの設備が必ずしも保証されているとは限らない点が環境の違いと言えるでしょう。

設置基準の違い

認可外保育園は、国の定める基準を満たしていません。それに比べると、認可保育園は認可基準には定員数や職員数や職員の所有している資格、園児一人当たりの設備面積など細かい指定があります。場合によっては国の基準以上に厳しい設置基準を要求してくることもありますよ。一応、認可外保育園は認可外保育施設指導監督基準によって、職員の数や設備、環境に関しての基準が設けられているものの認可保育園に比べるとゆるいものです。

方針の違い

公立の認可保育園は、各自治体で決められた保育方針で運営しています。また、私立の認可保育園は独自に保育方針を決めて、その方針に合わせてカリキュラムを運営しているようですよ。一方で、認可外保育園は色んな法人によって運営されています。運営によって保育理念や方針が大きく変化。オリジナリティのある保育で、保育方針がしっかり決められている認可保育園に比べて認可外保育園はその点が自由です。そのため、のびのびと保育ができ、ひとりひとり子どもとゆっくり向き合う時間があるといった点にも違いがありますね。

資格の違い

認可保育園で保育士になるためには、保育士の資格が必要です。一方で、認可外保育園では保育士の資格がいりません。無資格で保育士として働くことができるのです。認可外保育園は、職員の1/3が保育士であれば良いと定められています。そのため、無資格の方にも保育士になれるチャンスがありますよ。しかし、保育士の資格は持っていた方が就職や転職活動、待遇は有利といえるでしょう。

待遇の違い

最後に待遇の違いについて見ていきましょう。国や自治体から補助金の出ていないので小さな組織の認可外保育園の場合、やや給料が低いこともあるようです。それに比べて認可保育園は国からの補助金も出ているので運営が安定しています。そのため、福利厚生や給与の面でも充実していることが多いようですよ。認可外保育園は、24時間保育の受け皿になっているところも多いです。そのため、認可保育園よりも勤務時間が長い傾向があります。就労が安定しているかといったところにも待遇に違いがありますね。

認可保育園と認証保育園の違い

基準が違う

認証保育園とは国の定める認可基準には届きませんが、保育園の設置されている自治体が個別で定めた基準をクリアしている保育園のこと。各自治体によって呼び方が違います。比べて認可保育園は前述でも書いたように細かく基準の指定があり、国の基準以上に厳しい設置基準を要求してくることもあります。認証保育園の方が、多様化する保育ニーズ応えることができる新しい方式を取り入れていますよ。

料金が違う

認証保育園は、自治体が独自に基準を設けています。クリアすると補助金を交付したりする制度もありますよ。対して認可保育園は、国が定める上限の範囲内で各自治体が設定しており、国から支給される運営費によって園を運営しています。そのため、保育料を自由に設定することはできないようですね。また、保育料の回収の仕方にも違いがありますよ。認可保育園は区市町村が徴収します。認証保育園は保育園自身が徴収します。保育料は認証保育所で自由に設定できますので、その点が認可保育園より自由ですね。

定員の違う

認証保育園は、A型とB型と分かれています。A型とB型で定員数が変わってきます。認証保育園A型の定員は20人から120人。認証保育園B型は、保育室制度からの移行を中心とし、小規模で家庭的な保育を目指しています。認証保育園B型の定員は6人から29人です。それに比べると認可保育所の定員は60人以上預けることができ、場所によっては認証保育園A型よりも定員数が多いこともありますよ。

0歳児保育の有無

認可保育園では0歳児の枠がない保育所があります。一方で認証保育園では、0歳児保育を必ず実施しています。0歳児保育を必ず実施することにより、保護者の方のニーズに頑張って応えようという動きがありますよ。0歳児保育が必ずある点は、保護者の方には嬉しい動きですね。しかし、保育士さんにとってはその分負担がかかってしまいます。その点を考えて就職や転職活動を行うといいでしょう。

認可保育園のメリット

働きやすい環境が整っている

認可保育園は働きやすい環境が整っています。厚生労働省から補助金の支給があり、施設管理費や人件費などが補助金で賄われるため、園の運営状況が安定しやすいです。また、人材育成に力を入れている保育園も多いのが特徴的。職員の配置基準や開所時間などが厳格に定められている認可保育園は、人手不足や残業過多に陥りにくいです。こういった3つの点が保育士さんが働きやすい環境が整っているといえるでしょう。

認可保育園のデメリット

行事やイベントが多くて準備が大変

行事やイベントが多いことは、子どもたちにとっては新鮮な体験ができて良いですが、保育士さんにとっては準備が大変でデメリットに感じるでしょう。認可保育園は、広い園庭などの施設が整っていることが多く、季節ごとの園行事が多い傾向です。また、認可保育園は園児の数も多いのでその分準備が大掛かりなものになるでしょう。その分仕事量が多くなってしまうので、楽しいイベントですが時には苦に感じてしまうこともあるかもしれませんね。

認可保育園と待機児童問題

待機児童解消へ向けて認可保育園を増やそうとしてる

2019年から保育料無償化と共に子育て安心プランの一環として、認可外保育園を認可させる支援をはじめました。これは認可化移行計画中(5年が上限)に認可を目指すというもので、保育士資格の人数によって補助単価が変わります。しかし、現実として保育の質の低下につながる保育士の給与の問題は何も解決しないという批判もあり、なかなか難しい問題。このように待機児童解消に向けて、認可保育園の設置基準を緩めて保育園の開設を増やそうという動きがあります。

認可保育園に向いている人はどんな人?

働きやすい環境を探している方

認可保育園には人材に余裕があるケースが多く、保育時間にも制限があります。人材の育成に力を入れている園が多いです。人材の育成に力を入れている園だと自分のスキルアップにも繋がるでしょう。運営するお金の多くが補助金に支援されているため、保育士の雇用状態が常に安定しておりその点も安全に働けるところですね。働きやすい環境を探している方には認可保育園はぴったりな環境だと言えます。

認可保育園に就職する時のポイント

自分が働きやすい環境かを見極める

勤務時間や給与、福利厚生、園児の数などといった点が自分と合っていて働きやすいかを確認しましょう。勤務時間は保護者からの要求があれば、延長保育がある可能性もあります。また、認可保育園は園児の数が多くてバタバタしていてのびのびとした保育は難しいところもあるかもしれません。しかし、給与や福利厚生はしっかりしたところが多いです。といったように良い面も悪い面もあるので自分に合うかどうかを見極めてみてください。

園見学に行く

保育士さんの就職や転職活動で園見学に行くことはとても大事なことです。必ず行ってから自分の働きたい園を選ぶようにしましょう。園見学では、施設や園の雰囲気、保育園にいる園児たちの姿、働いている保育士さんを実際に間近で見ることができます。園見学に行ってないと、実際に働いてみてから理想と違ったといったこともあるかもしれません。自分が実際に働いた時のイメージも園見学に行くことでしやすいです。必ず園見学に行くようにしましょう。

就職のハードルは高いので入念な準備を

前述で書きましたが、認可保育園は比較的働きやすい環境であることが多いです。その分、人気が高く高倍率であることが予想されます。就職や転職のハードルは高くなってしまいますので入念に準備してから就職や転職活動を行いましょう。前述で記載した園見学はもちろん。面接での受け答えの準備や履歴書の書き方など隅々まで徹底して就職や転職の準備をしましょう。

保育方針が自分と合っているか確認する

働きやすい環境だけでなく、保育方針が自分と合っているかを確認することも大事です。ホームページやパンフレットで確認できますのでぜひ確認してみてください。自分が働いてからやりたいことと保育方針が合っているかを照らし合わせましょう。保育方針を事前に確認することで、面接でも保育方針を参考にそれに沿った回答をすることで採用率がアップすることも期待できますよ。

まとめ

自分が働きやすい認可保育園を見つけよう

今回は、認可保育園について具体的にまとめてみました。いかがでしたでしょうか。認可保育園と認可外保育園にはさまざまな違いがあることが分かりましたね。しかし、最終的にその保育園によって環境や方針が変わってきます。就職や転職活動をする際には、事前に園見学をしたり、パンフレットやホームページを見てから希望の園に履歴書を出しましょう。自分が働きやすいところを探すのが一番です。本記事を参考にして働きやすい園が見つかり、あなたの就職や転職活動が上手く行くことをお祈りしています。

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