119番の日は保育園で119番通報訓練をしよう!【ねらい・救急の日・マニュアルテンプレート・セリフ】

目次

11月9日は、119番の日として防災記念日に制定されています。今回の記事ではもうすぐ迎える119番の日に向けて、保育士さんが知っておきたい知識や行っておきたい準備について紹介しますよ。さらに動画や絵本、ゲームを使った楽しく学べる防災保育や、実践形式で学ぶ119番通報訓練についても解説しています。119番の日を保育園でどう過ごすか悩んでいる、という保育士の方はぜひ今回の記事を参考にしてくださいね。

119番の日ってなに?【11月9日】

119番通報にちなんで制定された防災記念日

119番の日(11月9日)は、消防への緊急連絡先である119番にちなんで制定された防災記念日。自治体消防発足40周年を迎えた1987年に、消防庁によって制定されました。また119番の日は、毎年11月9日から15日にかけて1週間実施される秋季全国火災予防運動の初日でもあります。保育園においてもこの1週間を防災週間として、子供たちと一緒に防災への取り組みを進めるのがいいでしょう。

豆知識
緊急通報用電話番号との語呂合わせで制定された記念日として、119番の日以外にも以下が挙げられます。
110番の日(1月10日) 110番…警察への緊急通報 
118番の日(1月18日) 118番…海上保安庁への緊急通報
保育士くらぶ

保育園で取り組む119番の日のねらい

消防の知識を身に着け防災の意識を高めること

119番の日は国民の消防全般に対する正しい理解と認識を深めることや、住民の防災意識の高揚を図ることをねらいに制定されています。なかでも119番通報は一刻一秒を争う救急活動のキーポイントであり、正しい知識の普及が呼びかけられています。保育園においてもこれらのねらいに則り119番の日の活動を行うのがいいでしょう。具体的なねらいについては次の段落で紹介していきますよ。

ねらいの文例【年齢別】

年齢に幅のある子供たちが通う保育園においては、以下のようにねらいを定め段階的に取り組みを行うのがおすすめです。ここでは3歳以上の子供たちと4歳以上の子供たちに分け、年齢別にねらいを紹介しますよ。

3歳までの子供たち

  • 火事や地震、津波などの災害について知る
  • 119番通報の存在や意味を知る
  • 災害時に活躍する消防車や救急車、消防隊について知る

4歳以上の子供たち

  • 消防車や救急車の役割について知る
  • 119番通報の方法を身に着ける

119番の日に保育園で何をする?

119番通報訓練を行う

119番の日に多くの保育園で行われる取り組みが119番通報訓練。この訓練では119番通報の行い方や注意点についてロールプレイング(実演)形式で学びます。4歳以上の子供たちであれば、通報者としてロールプレイングに参加して通報を体験することができますよ。また3歳以下の子供たちには先生たちの寸劇を見るかたちで参加してもらうといいでしょう。緊急通報訓練の行い方やマニュアルの制作方法については以下で詳しく解説していきます。

119番通報訓練の下準備

119番通報訓練のマニュアルを制作する

119番通報訓練を行うにあたって保育士さんが行わなければならない準備が、マニュアル作成です。マニュアルは1度作成すれば毎年の訓練に再利用することが出来ますので、保育園に用意されていない場合はこの機会に作成しておくのがおすすめです。すでにマニュアルが用意されている場合は、内容に抜け漏れがないか今一度確認しておきましょう。詳しい内容やセリフの例については次の段落で紹介していきますよ。

119番通報訓練のマニュアル制作方法

1.119番通報時に聞かれることを確認する

それではマニュアルを作成していきましょう。マニュアルを作成するにあたって初めに確認しなければならないのは、通報時に消防署から聞かれることです。こちらは火事や救急、事故など災害の種類によって異なりますので場面別に紹介します。

共通して聞かれること

・救急の種類
 事故や救急、交通事故など

・住所
 家の場合は世帯主の名前も答える
 住所が分からない場合は近くの目標物
 建物の中の場合は、何階かまで

・連絡者の氏名、電話番号

火事の場合

・何が燃えているか
・逃げ遅れた人はいないか

救急の場合

・誰がどうしたのか
・意識や呼吸はあるか

事故の場合

・どういう事故か
・怪我人や閉じこめられている人はいるか

2.シチュエーション別に台本を作成する

まとめた質問事項を元に、ロールプレイングの台本を作成していきましょう。上記のように災害の場面によって通報時に聞かれることが異なるため、台本も火事・救急・事故の場面別に作成する必要があります。とはいえ保育士の方が一言一句セリフを考える必要はありません。東京消防庁のホームページを参考に作成したセリフのテンプレートを紹介しますので、こちらを参考に台本を作成してくださいね。子供たちが読めるように、大きな画用紙にひらがなで書いたものを用意しておくのもおすすめです。

119番通報訓練のセリフテンプレート

火事の時のセリフテンプレート

初めに火事を想定した緊急通報のセリフテンプレートを紹介します。

消防署(先生):はい、消防庁です。火事ですか、救急ですか?
通報者(子ども):火事です。
消防署:消防車が向かいます。住所を教えて下さい。
通報者:〇〇区〇〇町〇〇丁目〇番地 〇〇(世帯主)の家です。
消防署:何が燃えていますか?
通報者:リビングのストーブが燃えています。
消防署:逃げ遅れた人やけが人はいますか?
通報者:おばあちゃんがやけどしています。
消防署:あなたの名前を教えて下さい。
通報者:〇〇〇〇(フルネーム)です。
消防署:電話番号を教えて下さい。
通報者:〇〇〇‐〇〇〇〇‐〇〇〇〇です。
消防署:わかりました。すぐに向かいます。安全な場所で待っていてください。

救急の時のセリフテンプレート

次に救急を想定した緊急通報のセリフテンプレートを紹介しますよ。

消防署(先生):はい、消防庁です。火事ですか、救急ですか?
通報者(子ども):救急です。
消防署:場所はどこですか?
通報者:〇〇保育園のちかくです。
消防署:どうしましたか?
通報者:おばあさんが倒れてぐったりしています。
消防署:意識はありますか?
通報者:意識はありません。
消防署:呼吸はありますか?
通報者:呼吸はあります。
消防署:あなたの名前を教えて下さい。
通報者:〇〇〇〇(フルネーム)です。
消防署:電話番号を教えて下さい。
通報者:電話番号は分かりません。
消防署:わかりました。すぐそちらへ向かいます。

事故の時のセリフテンプレート

最後に事故を想定した緊急通報のセリフテンプレートを紹介します。

消防署(先生):はい、消防庁です。火事ですか、救急ですか?
通報者(子ども):交通事故です。
消防署:場所はどこですか?
通報者:〇〇スーパーの前です。
消防署:どんな事故ですか?
通報者:車と車がぶつかりました。
消防署:閉じ込められた人はいますか?
通報者:男の人が一人閉じ込められています。
消防署:けが人の状況を教えて下さい。
通報者:閉じ込められた人の頭から血が出ています。
消防署:名前と電話番号を教えて下さい。
通報者:〇〇〇〇(フルネーム)です。電話番号は分かりません。
消防署:わかりました。すぐそちらへ向かいます。

保育園で防災を楽しく学ぶアイデア

防災を動画で学ぶ

子供たちの場合はそもそも災害を体験したことがなかったり、消防車や救急車について知らなかったりすることも十分考えられます。動画や絵本、ゲームなどのコンテンツを利用して、災害について楽しみながら知ってもらいましょう。初めに防災を楽しく学べる動画を紹介しますよ。

たすけて!きゅうきゅうしゃ! | のりものの歌

救急車を題材にした子供向けソングです。可愛らしいアニメーションとポップな音楽で楽しく視聴することが出来ます。怪我をしてから救急車がきて救助されるまでの流れを確認することが出来ますよ。

たすけて!!救急車を呼ぶためには?「119番」への電話のかけ方を学ぼう!

ガチャピンが119番通報の方法を詳しく教えてくれます。また消防署の協力を得ているため、実際に近い形の119番通報を知ることができますよ。動画の展開が早い場所があるため、適宜再生を中断して保育士さんの説明を挟むといいでしょう。

防災を絵本で学ぶ

つづいて救急車や消防車について楽しく学べる絵本を紹介します。

いそげ! きゅうきゅうしゃ

作: 竹下 文子 絵: 鈴木 まもる
救急の現場で働く人々が主役の一冊。救急車が呼ばれてから、患者に処置が施されるまでの一連の流れが物語にされていますよ。

しょうぼうしゃ、てんけんよし!

作:片平 直樹 絵:岡本 よしろう
消防隊の裏側について知ることができる一冊。点検作業を通して、あまり知られていない消防車の種類や役割について知ることができますよ。乗り物好きの子供はもちろんのこと、大人も一緒に楽しめる一冊ですよ。

防災をゲームで学ぶ

うんこ防災ゲーム

子供たちが大好きなゲームを使って防災を知ってもらうこともできます。子供向け教材の『うんこドリル』を作成している文響社が、同じくうんこをモチーフにした防災ゲームを提供しています。うんこドリルはシリーズ累計1000万部を突破する大人気シリーズ。防災ゲームもドリルと同様に、子供が楽しみながら学べるよう設計されています。内閣府の防災情報ページで紹介されている優良コンテンツですので、ぜひ利用してみてくださいね。

119番の日に保育士が行うべきことは?

災害時の対応や避難経路を確認する

ここからは保育士さんが行っておきたい災害対策について紹介します。初めに行っておきたいのは、避難経路の確認。避難経路が正しく設定されているか、職員全員に情報共有できているかなどを今一度確認しておきましょう。また災害時停電が起きたり、室内に煙が充満したりして視界が非常に悪くなることも考えられます。おもちゃやその他の備品が避難経路をふさいでいないかも合わせてチェックしておきましょう。

保育士用防災マニュアルを用意する

火災や地震などの災害の発生に備え、緊急時の対応の具体的内容及び手順、職員の役割分担、避難訓練計画等に関するマニュアルを作成すること。 ‐保育所保育指針

上記のように保育園・保育所型認定こども園などの保育施設においては、防災マニュアルの作成が義務付けられています。また災害時保育士全員が共通の認識を持って動けるようにするためにも、防災マニュアルの作成は必要不可欠です。保育園においてまだ用意できていない場合は、以下のひな型や防災ハンドブックを参考に作成しておきましょう。
防災マニュアルのひな型‐公益社団法人京都市保育園連盟
保育施設のための防災ハンドブック‐千葉市

防災グッズを用意する

最後に防災グッズの確認を行っておきましょう。避難時に必要となる非常用持ち出し袋と、災害後の生活を乗り切るための備蓄品それぞれの用意が必要です。具体的に必要な防災グッズについては保育防災なびで紹介されていますので、抜け落ちがないかこちらで確認してみてくださいね。食品の消費期限チェックや道具の動作チェックも忘れずに行いましょう。

まとめ

119番の日に防災に関する正しい知識を身に着けよう!

ここまで119番の日の保育園での過ごし方について詳しく解説しました。保育園での防災を見直す日として、今回紹介した119番通報訓練や防災教育を保育に取り入れてみてくださいね。加えて災害時には保育士さんの指揮が大切になります。保育士全員で避難経路や対応の確認も忘れずに行っておきましょう。当サイトでは保育園での避難訓練の方法保育園の水害対策についてもまとめていますので、こちらの記事もあわせてチェックしてみてくださいね。

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保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/