児童養護施設とは?働くために必要な資格や給料について解説【子供の特徴・資格・平均月収・過ごし方・求人】

児童養護施設は、保護者による虐待や経済面など、さまざまな事情により保護者から離れて子供たちが生活する施設です。児童養護施設とは具体的にどういった施設なのか、どういったサポートを子供たちに提供できるのか気になる人も多いのではないのでしょうか。そこで今回は、児童養護施設に入所する子供の特徴や働くために必要な資格、職員の過ごし方について解説します。また、職員の給料や児童養護施設で働くためにはどうしたら良いのかについてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

児童養護施設とは

家庭で生活することが難しい子供のための施設

児童養護施設とは、さまざまな家庭内の事情により保護者と一緒に生活することが難しかったり、保護者がいなかったりする子供が安定した生活をするための施設です。

児童養護施設の概要
児童養護施設は、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童に対し、安定した生活環境を整えるとともに、生活指導、学習指導、家庭環境の調整等を行いつつ養育を行い、児童の心身の健やかな成長とその自立を支援する機能をもちます。
引用:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/01.html

子供の健康や成長に欠かせない安心できる暮らしを、保護者の代わりとなって提供する施設と言えるでしょう。入所している間だけでなく、退所後も子供たちに寄り添い続けることで、一般家庭と変わらない普通の暮らしを提供します。

子供が社会的に自立するための支援を行う

児童養護施設では、悩みや不安を抱えている子供も多く生活しています。そんな子供たちに対して、心理的ケアのサポートや教育支援、日常生活に必要なスキルの向上などさまざまな支援を提供しています。児童養護施設のサポートを受けることで、子供たちは社会的に自立して生活ができるようになるでしょう。入所中のサポートに加えて、将来働くために必要なスキルやキャリアを見つける手助けも行っていきます。

保育士くらぶ

児童養護施設に入所する子供の特徴

逆境体験からトラウマやストレスを抱えている

児童養護施設に入所する子供の特徴はさまざまですが、逆境体験からのトラウマやストレスを抱えていることが多いです。子供の入所理由として最も多いのが、保護者からの虐待や放任です。虐待には殴る・蹴るといった身体的暴力に加えて育児放棄や子育て拒否によるネグレクト、暴言や脅しなどの心理的虐待も含まれるでしょう。保護者からの虐待により、心身共に傷ついている子供に対して心理カウンセリングを行い、トラウマを緩和していくことが大切です。

親に頼れず愛着障害を引き起こす

児童養護施設に入所している子供は、保護者からの愛情を知らない又は、愛情不足であることがほとんどです。愛情不足であることは子供の精神面において大きく影響し、愛着障害を引き起こしてしまうでしょう。愛着障害とは、特定の養育者と子供の間で愛着形成が上手くいかず、子供の情緒や対人関係に困難が生じることです。はっきりとした診断基準はありませんが、発達障害に似た症状を表すことがあり、他人との距離感がわからないことが見られます。また、大人への試し行動が多くなることも特徴的でしょう。

児童養護施設で働くために必要な資格

児童指導員

児童指導員は、保護者に代わって養護を必要としている18歳までの子供に対して、生活指導や育成を行っていきます。子供の着替えや食事、勉強に加えて、他人との関わり方といった基本的なことをサポートします。子供の境遇や性格に応じた適切なアドバイスをすることが求められるでしょう。児童指導員になるためには、定められた条件を満たし、任用資格を取得したのちに試験に合格する必要があります。自治体の場合は公務員試験、民間施設の場合は採用試験に合格することで、児童指導員になることができます。

保育士

児童養護施設で働く保育士は、入所している全ての子供と接し、児童指導員と一緒に生活指導やサポートを行います。専門的な知識や技術を活かして、子供の保育や保護者に対するアドバイスを行うことが求められるでしょう。子供それぞれの変化や成長をよく考慮した上で指導計画書を作成し、子供たちのサポートすることが大切です。保育士になるためには、学校を卒業するか試験に合格する必要があります。また、児童福祉施設での5年以上の実務経験が必要となる場合もあります。

家庭支援専門相談員

家庭支援専門相談員は、施設に入所している子供の保護者と連携をとりながら、子供の家庭復帰をサポートします。子供の悩みや不安に対して助言や支援、調査を行うことで親子関係の再構築を目指すことが求めれるでしょう。また、里親委託の支援や施設を退所した後の子供に対してもサポートを行うため、ファミリーソーシャルワーカーとも呼ばれています。家庭支援専門相談員になるためには、厚生労働省が定めた資格要件を満たす必要があります。

心理療法担当職員

心理療法担当職員とは、児童養護施設に入所している子供に対して、カウンセリングを行い心理療法を用いてケアを行う仕事です。虐待やネグレクトなどで傷ついた子供の心をケアすることが主な役割となるでしょう。基本的には子供を中心にサポートしますが、保護者に対しての心理療法や職員へのアドバイスを行うこともあります。心理療法担当職員になるためには、心理学を専修し卒業する必要があります。また、施設によって異なりますが、臨床心理士や公認心理士の資格保有を求められることもあるでしょう。

個別対応職員

児童養護施設で働く個別対応職員は主に、虐待を受けた経験のある子供に対して個別のケアを行います。面談や保護者への支援を提供し、心理士と連携をとりながら子供の生活ケアを行います。個別対応職員になるための必須となる要件はありませんが、臨床心理士や心理学の知識を用いることで、専門的なアプローチを行うことができるでしょう。臨床心理士は、受験資格を満たし、公共社団法人日本臨床心理士資格認定協会が主催している試験に合格することでなることができます。

嘱託医・看護師

嘱託医や看護師は、入所している子供に薬の投与や病気の治療、衛生管理などの医療的ケアと健康管理を行います。医療を通して子供の健康面をサポートするため、日頃から子供の観察や体調を管理する必要があるでしょう。乳児がいる児童養護施設では、乳児1.6人に対して1人の割合で嘱託医又は看護師の配置が義務付けられています。嘱託医になるためには医師免許が、看護師になるには看護師資格が必要となります。どちらも国家資格であり、取得難易度は高いと言えるでしょう。

栄養士・調理師

栄養士や調理師は、児童養護施設に入所している子供の栄養管理や食事提供を行います。栄養士は栄養に関する指導や助言、食事管理を行うことで、子供の健康や栄養状態を考えながら献立を立てます。調理師は、食事の提供や安全確保が主な仕事内容で、子供の健康維持において重要な役割を果たすでしょう。栄養士や調理師になるには、栄養士資格や調理師資格が必要です。どちらも国家資格で、受験要件を満たしている必要があるため注意しましょう。

里親支援専門相談員

里親支援専門相談員とは、里親の家庭相談や新規開拓などを児童相談所の職員と連携しながら行っていきます。児童養護施設と里親をつなぐ役割と言えるでしょう。虐待やネグレクトなど心に傷のある子供の心理的治療だけでなく、里親に対しても育てる上での相談やサポートを行います。里親支援専門相談員の要件は、心理療法担当職員とほとんど同じです。厚生労働省が公表している要件から、該当しやすいものを選ぶと良いでしょう。

児童養護施設で働く職員の過ごし方

1日の流れ

児童養護施設で働く職員の基本的な1日の流れをご紹介します。施設では、一般的な家庭と同じようなスケジュールで過ごすことが多いです。

6:30〜7:30 起床
      年齢別に子供たちを起こし、朝食や支度のサポートを行う。
8:30    連絡会
      職員間で連絡や共有事項を報告する。
9:00〜15:00 休憩
      子供たちが学校や幼稚園・保育園に行っている時間は、基本的に休憩時間となる。
15:30    休憩終了・お迎え
      幼稚園・保育園の子供を迎えにいき、おやつを食べさせる。
      学校から帰ってきた子供たちには、宿題のサポートをする。
16:00    入浴介助
      入浴のサポートを行い、子供たちの髪を乾かす。
17:00    夕食の準備・夕食
      子供の夕食を準備し、子供たちと一緒に夕食を食べる。
18:00    掃除
      子供たちと掃除を行い、終わったら一緒に遊ぶ。
20:00〜   就寝・退勤
      子供たちが寝たら、引き継ぎを行い退勤。

ひな祭りやクリスマスなど、イベントの時期には子供が楽しめるような取り組みを行っている施設もありますよ。児童養護施設で働く職員は、子供の生活スケジュールに合わせてサポートを行っていきます。そのため、シフト勤務が一般的で宿直と断続の2つがセットになっています。

児童養護施設で働く職員の給料

平均月収約19〜27万円

児童養護施設で働く職員の平均月収は、約19〜27万円です。非常勤で働く職員は、施設によって異なりますが、時給1,200円程度が相場であることが多いでしょう。また、年齢や勤続年数に応じて給料が増加するため、平均年収は大きく差があります。

【児童養護施設で働く職員の資格別平均収入】
児童指導員       月収25〜40万円     年収300〜500万円
保育士         月収20〜35万円     年収250〜400万円
家庭支援専門相談員   月収29〜50万円     年収350〜600万円
心理療法担当職員    月収33〜58万円     年収400〜700万円
個別対応職員      月収29〜50万円     年収350〜600万円
嘱託医・看護師     月収33〜67万円     年収400〜800万円
栄養士・調理師     月収20〜35万円     年収250〜400万円
里親支援専門相談員   月収29〜50万円     年収350〜600万円

公立と私立によって異なる

児童養護施設は、公立と私立の施設があり、それぞれで職員の給料が異なります。公立の児童養護施設で勤務する職員は、地方公務員となるため公務員給与規定に基づいて支給されます。そのため、昇給やボーナスが勤続人数に応じて支給され、私立(民間)の施設よりも高い傾向にあるでしょう。私立の児童養護施設で働く職員は、勤務先の施設によって支給される金額が異なります。当直手当といった給与とは別で支給される手当が豊富であり、高水準の給与となる施設もありますが、保育園で働く保育士さんと同様の給料となる職場もあります。

児童養護施設で働くには

希望職種に応じた資格要件を満たす

児童養護施設で働くには、希望職種に応じた資格要件を満たす必要があります。上記で紹介した資格を参考に、自分に合った職種を見つけてくださいね。就職活動を行う際には、希望する児童養護施設が公立か私立によって、採用方法が異なるため注意しましょう。公立であれば、資格要件を満たした上で公務員試験に合格する必要があります。私立であれば、施設によって異なる採用試験に合格しなければなりません。児童養護施設で働くために、採用方法や資格要件など十分に確認しておくことが大切です。

求人に応募する

公立の児童養護施設の職員は、公務員試験に合格した人が対象となります。ただし、児童養護施設専門の試験ではないため、必ずしも児童養護施設に配属されるとは言えません。希望が通らず、福祉関係の別の施設に配属される可能性も考慮しておくと良いでしょう。児童養護施設は、ほとんどの場合が社会福祉法人によって運営されている民間施設です。民間の児童養護施設の場合は、転職サイトやハローワークを通して求人に応募することができます。

療育求人ガイドでは、児童発達支援施設や放課後等デイサービスなど、療育に関わる求人を掲載しています。自分にぴったりの仕事を見つけるためにも是非利用してみてくださいね。
https://ryouikukyuujin.com/

まとめ

児童養護施設で働き子供の自立をサポートしよう

児童養護施設では、さまざまな事情により保護者と離れて暮らす子供たちの支援を行います。児童養護施設で働く職員は、保護者の代わりとして子供たちに接し、サポートすることが求められます。児童養護施設は子供たちにとって安心できる場所であり、職員は家族のような存在であることが大切です。子供たちと触れ合いながら、それぞれに合った支援を行う必要があるでしょう。働くために必要な試験や希望職種の資格要件などを確認し、児童養護施設で働きながら子供たちの自立をサポートしましょう。

保育士くらぶ

ABOUTこの記事をかいた人

保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/