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子どもと関わる職業として1番に思いつくのはやはり保育士ですよね。ベネッセが小学4年生から高校生までを対象に実施した「なりたい職業ランキング」でも、保育士は毎回上位にランクインしています。みんなの憧れの職業である保育士ですが、保育士になるためにはどうすれば良いのでしょうか。この記事では、保育士になるための複数の方法について詳しく解説します。記事を参考に、自身の状況に適した方法で保育士を目指してみてくださいね。
保育士になるには?
保育士養成課程を修了する

保育士になるための方法は大きく2つに分けられます。1つ目は、保育士養成課程を修了することです。全国に667施設ある(令和6年4月1日時点)指定保育士養成施設には、4年制の大学や2年制の短期大学、専門学校などの種類があります。これらの学校を卒業すれば、保育士試験を受験せずに保育士資格を取得することができますよ。学校のカリキュラムには座学だけでなく、実際の保育現場で学べる保育実習が組み込まれています。就職後に役立つ具体的なスキルを身につけることができるでしょう。
保育士試験に合格する
毎年2回実施される保育士試験に合格すれば、養成校に通わなくても保育士資格を取得することができます。このルートは、現在別の仕事に就いている社会人や子育て中の方、学業を終えた後に新たな進路を考えている方など、幅広い人にとって現実的な選択肢となります。ただし、誰でも自由に受験できるわけではなく、一定の学歴や実務経験が必要。まずは自分がその受験資格を満たしているかどうかを、各自治体の要項などで確認しておくことが大切ですよ。
指定保育士養成施設の種類
4年制大学

指定保育士養成施設にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。4年制大学の場合では、4年間かけてじっくりと知識をつけることができるでしょう。保育以外の一般教養も学ぶことができますよ。また、園によっては大卒と専門卒では初任給に差がある場合もあります。大卒資格は就職後も有利になることが多いため、将来的に転職などを考えている人は4年制の大学がオススメです。一方で、4年間でかかる学費が国公立の場合は220~280万円、私立の場合は400~520万円と、学費が高額であることがデメリットとなっています。
短期大学

短期大学で学ぶ内容は保育に関する知識が中心である一方、一般教養も同時に学ぶことができます。短期間で効率よく知識をつけることができるため、いち早く保育士として働きたいという方にオススメですよ。また、地域密着型であったり伝統校であったりする学校が多いため、就職したい地域が決まっている場合はその地域の短期大学を選ぶと良いでしょう。2年間の学費は、公立の場合は80~100万円、私立の場合は200~250万円です。4年制大学よりかは学費を安く抑えることができますよ。しかし、短期間で多くの内容を学ぶため、学生生活が忙しくなることが考えられます。
専門学校
専門学校の場合、実践的で現場重視のカリキュラムにより保育士としてすぐに活躍できるスキルが身に付きます。また、多くの学校では現場実習が豊富に用意されており、子どもとの関わり方や保育の流れを在学中から体験することができますよ。さらに、就職支援が充実しており学校と提携する保育園や施設への就職実績も豊富なため、卒業後の進路は比較的明確になりやすいと言えるでしょう。ただし、専門性の高さから卒業後の進路は保育士に限られてしまいます。保育士以外の職が候補に含まれている場合は他の学校に進学した方が安心です。
保育士試験の概要
日程

保育士試験は年に2回行われます(前期・後期)。例年の傾向では、前期は筆記試験が4月下旬、実技試験が6月下旬~7月上旬、後期は筆記試験が10月下旬、実技試験が12月中となっています。試験日程をしっかり把握し、計画的に試験対策を進めていきましょう。
- 前期 筆記試験:4月19日㈯・20日㈰
実技試験:6月29日㈰ - 後期 筆記試験:10月18日㈯・19日㈰
実技試験:12月7日㈰
費用
保育士試験の受験料は約13,000円です。決済方法によって事務手数料に違いがあります。
| 手数料 | |
|---|---|
| クレジットカード決済 | 13,054円(受験手数料12,700円+事務手数料354円) |
| コンビニエンスストア決済 | 12,975円(受験手数料12,700円+事務手数料275円) |
試験内容
筆記試験

保育士試験の筆記試験は、マークシート方式試験9科目が2日間で行われます。各科目において、満点の6割以上を得点できれば筆記試験合格です。すべての科目で6割以上の得点が必要なため、苦手科目を得意科目でカバーするという方法では合格できません。すべての科目についてまんべんなく対策をしておきましょう。各科目の詳細は以下の通りです。
| 試験科目 | 出題範囲 |
|---|---|
| 保育原理 | 保育の意義及び目的 保育に関する法令及び制度 保育所保育指針における保育の基本 保育の思想と歴史的変遷 保育の現状と課題 |
| 教育原理 | 教育の意義、目的及び子ども家庭福祉との関連性 教育の思想と歴史的変遷 教育の制度 教育の実践 生涯学習社会における教育の現状と課題 |
| 社会的養護 | 現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷 社会的養護の基本 社会的養護の対象・形態・専門職 社会的養護の現状と課題 社会的養護の内容 社会的養護の実際 社会的養護における支援の計画と記録及び自己評価 社会的養護に関わる専門的技術 今後の課題と展望 |
| 子ども家庭福祉 | 子ども家庭福祉 子ども家庭支援論 |
| 社会福祉 | 現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷 社会福祉の制度と実施体系 社会福祉における相談援助 社会福祉における利用者の保護に関わる仕組み 社会福祉の動向と課題 |
| 保育の心理学 | 保育の心理学 子ども家庭支援の心理学 子どもの理解と援助 |
| 子どもの保健 | 子どもの保健 子どもの健康と安全 |
| 子どもの食と栄養 | 子どもの健康と食生活の意義 栄養に関する基本的知識 子どもの発育・発達と食生活 食育の基本と内容 家庭や児童福祉施設における食事と栄養 特別な配慮を要する子どもの食と栄養 |
| 保育実習理論 | 保育所における保育 児童福祉施設等(保育所以外)における保育内容 保育者論 保育の計画と評価 保育内容の理解と方法 |
実技試験

実技試験では、音楽、造形、言語の中から2つを選んで受験します。それぞれの試験にはそれぞれの特徴があるため、自分の得意不得意を見極めて戦略的に選ぶようにしましょう。各分野の試験内容は以下の通りです。
- 音楽:幼児に歌って聴かせることを想定して、2つの課題曲を弾き歌いする。
- 造形:保育の一場面を絵画で表現する。
- 言語:3歳児クラスの子どもに「3分間のお話」をすることを想定して、子どもが集中して聴けるようなお話を行う。3つの課題のうち、指定されたお話を話す。
合格率
令和5年度に実施された保育士試験の合格率は約27%でした。年や回によって差はありますが、約20~30%で推移しています。試験内容の範囲が広く合格の基準が高いことから、決して簡単な試験ではないと言えるでしょう。ただし、働きながら独学で受験し合格したり、全く保育の経験がない学生でも対策次第で合格できたりといった例もあります。また、筆記試験9科目のうち1科目でも合格点が取れれば3年間はその科目の合格が有効になります。独学で保育士試験にチャレンジする場合は、複数年での合格を目指すことも視野に入れておきましょう。
保育士試験の受験条件は?
指定養成施設以外の大学・短大・専門を卒業

保育士試験に挑戦するためには、これから説明する条件のうちいずれかを満たしている必要があります。1つ目は、大学や短大、専門学校などの学校を卒業している(卒業見込みも含む)ことです。保育士試験の学歴条件は、おおよそ短期大学卒業程度で定められています。ただし、保育に関する専攻科であったり指定された日付よりも前に卒業していたり、場合によっては高校卒業のみでも受験資格を満たしていることもありますよ。自身の学歴が保育士試験の受験条件に当てはまっているか、受験資格詳細のページを確認してみてくださいね。
高校卒業と実務経験
2つ目は、高校を卒業して指定された施設で実務経験を積んでいることです。児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験があれば、高卒でも保育士試験を受けることができます。実務経験として認められる施設には、以下のような施設があります。
- 助産施設
- 乳児院
- 母子生活支援施設
- 保育所(保育所型認定こども園を含む)
- 幼保連携型認定こども園
- 児童厚生施設(児童館)
- 児童養護施設
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
- 児童家庭支援センター
- 里親支援センター(令和6年4月1日以降の勤務に限る)
実務経験のみ

3つ目は、5年以上かつ7,200時間以上の実務経験を積んでいることです。学歴では受験条件を満たしていない場合でも、長期間の実務経験があれば保育士試験に挑戦することができますよ。対象となる勤務施設は、高校卒業と実務経験の条件で前述した施設と同様です。実務経験を利用した条件で保育士試験を受験するときには、受験を希望する都道府県知事から受験認定を受ける必要があります。申請には期限があるので、忘れずに手続きを行いましょう。
保育士資格を取得するオススメの方法
指定保育士養成施設の大学・短大・専門に通う

新卒で保育士として働くことを考えている人は、指定保育士養成施設の大学や短大、専門学校に通うのがオススメです。前述したように、これらの学校で決められた単位を取得し卒業すれば、必ず保育士資格を取得することができます。また、保育実習により実際の現場で使えるスキルも身につけることができるため、「自分は保育士として働く!」と決めている人にとっては最適な環境と言えるでしょう。
指定保育士養成施設の通信課程に通う
仕事や他の学業と並行しながらも確実に保育士資格を取得したい場合は、指定保育養成施設の通信課程に通うのがオススメです。こちらの方法でも、通学制と同じように卒業と同時に保育士資格を取得することができます。基本的には自宅での学習となるため、自分のタイミングで勉強に取り組むことが可能ですよ。また、指定保育養成施設の通信課程で必要な学費は、入学から卒業までで約60~100万円です。通学制よりも学費を抑えることができます。
通信講座で保育士試験の勉強をする

通信講座で保育士試験対策を行うのも、働きながら保育士を目指す人にオススメです。通信講座は、自分のペースで学習を進められるうえに、通学の必要がないため時間の有効活用ができます。費用面の負担が少ないながらも、市販の教材よりも充実した学習内容で、効率よく試験対策ができるのも魅力でしょう。講師による添削指導や質問対応、理解を深める動画教材など、保育士試験に特化したサポートが整っており、合格をしっかりサポートしてくれますよ。
独学で保育士試験の勉強をする
対策にかかる費用を1番押さえたい人は、市販教材を使い独学で勉強するのがオススメです。独学での学習はスケジュールも内容もすべて自分で決められるため、自由度が高いのが魅力です。最近では、過去問題集や模擬試験付きのテキストなど、内容が充実した市販教材も多く販売されていますよ。ただし、モチベーションの維持や苦手分野の克服が難しい場合もあるため、計画的に学習を進める工夫が必要です。勉強の進め方に不安がある人は、SNSや動画配信サービスなどを活用して、保育士試験に関する情報を積極的に集めるのも良いでしょう。
まとめ
自分に適した方法で保育士を目指そう

いかがでしたか?今回は、保育士になるための方法について詳しく解説しました。保育士を目指すには、大きく分けて2つのルートがあります。1つは、大学や専門学校などで保育士養成課程を修了して資格を取得する方法、もう1つは、保育士試験に合格して資格を得る方法です。それぞれにメリットがあり、自分のライフスタイルや学習環境に合った道を選ぶことが大切ですよ。自分に合った方法で、着実に保育士への一歩を踏み出しましょう。





















