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お母さんやお父さんにとって、自分の子供が知的障害や発達障害を持っているかどうかは気になるポイントではないでしょうか?この記事では、赤ちゃんに見られる知的障害や発達障害の兆候を中心に、子供の知的障害や発達障害の例や相談先について紹介します。赤ちゃんが知的障害や発達障害を持っている場合は早くからのサポートが重要です。赤ちゃんを育てる中で、知的障害や発達障害を疑ったときはぜひこの記事を参考に、当てはまる兆候があるかどうかチェックしてみてください。
赤ちゃんに見られる知的障害・発達障害の兆候とは?
泣くことが少ないまたはいつも泣いている
赤ちゃんに見られる知的障害や発達障害の兆候として、泣くことが少ない、またはいつも泣いているということがあげられます。しかし、自分の赤ちゃんがあまり泣かなくてもすぐに知的障害や発達障害かも?と心配する必要はありません。ただ単におおらかで神経質でない、という性格なだけのことがあります。笑う、嫌がる等の他の感情表現があれば、泣かないことはその子の個性であることが多いでしょう。
なかなか眠らない
なかなか眠らない、寝つきが悪いといったことも障害のある赤ちゃんの兆候。発達障害の子どもは様々な感覚が鋭く、少しの物音や光に反応して起きてしまいます。その結果、なかなか眠らない、寝つきが悪いといったことが起こりやすいです。また、感情コントロールや切り替えが苦手であるという発達障害の特徴も、障害のある赤ちゃんの不眠に繋がっています。そのような場合には、入眠儀式のようなものをつくってあげると、睡眠モードに切り替えることができるでしょう。
人見知りしない
赤ちゃんの人見知りは生後半年から1歳ごろにかけてよく見られます。しかし、知的障害や発達障害の赤ちゃんにはこの 人見知りがあまり見られないことも。その理由として、人の顔を覚えるのが苦手で、お母さんやお父さんと他の人の区別がついていないことがあります。ただ単に性格として人見知りをしない子もいますが、多少の警戒心は見られるはず。少しも警戒している様子がない場合は要注意と言えるかもしれません。
視線が合わない
さらに、知的障害や発達障害である赤ちゃんの兆候としてあげられるのが、 視線が合わないこと。一般的に赤ちゃんは人の顔や目に特別な興味を持ちます。しかし、障害のある赤ちゃんは顔や目に特別な興味を持たず、それ以外のものに興味を持ち始めます。その結果、あまり赤ちゃんと目線が合わない、という状況に。赤ちゃんとアイコンタクトが取れるかどうか、定期的にチェックしてみるとよいでしょう。
赤ちゃんに見られる知的障害・発達障害の兆候例【年齢別】
0歳児
ここからは、赤ちゃんに見られる知的障害や発達障害の兆候を年齢別に解説します。まず始めに、0歳児に見られる知的障害や発達障害の兆候として、寝返りや座位をする、首が座るなどの発達に全体的に遅れがみられることがあります。また、抱っこされるのを嫌がる、反応が薄いなども知的障害や発達障害の兆候かもしれません。しかし、0歳児の間は発達の個人差が大きく、兆候が見られたとしても知的障害や発達障害であると断定できることはほとんどありません。
1歳児
1歳児になると、2,3語程度の言葉を話し始めます。しかし、知的障害や発達障害の子どもは言葉の発達が遅くなる傾向があります。また、発達障害の子供によく見られるのがクレーン現象。通常このころになると、子供は指差しを使い、あのおもちゃがいい、あれを取ってほしいなどの自分の意志を伝え始めます。しかし、発達障害を持つ子供はお母さんやお父さんの腕を直接引っ張り、取ってほしいものの上まで持っていきます。これがクレーン現象です。
2歳児
発達障害を持つ子供の特徴である、こだわりが特に見られるようになるのがこの2歳児の時期です。自分の思い通りにならなかったり、決まったルーティーン通りにならなかったりすると酷く癇癪を起こすことが。また、今まで話せていた言葉が突然話せなくなることがあります。これも発達障害の子に見られる兆候です。他にも、おもちゃを本来の遊び方で使うことができなかったり、友達とではなく一人で遊ぶのを好んだりするのも発達障害の子供に多く見られる兆候の一つです。
3歳児
3歳児になると、幼稚園や保育園等で集団生活が始まり、知的障害や発達障害の兆候が強く見られるようになります。知的障害や発達障害であるとはっきりした診断が付き始めるのもこの時期。集団にうまく馴染めず、独り言や一人遊びが多い、じっとしていられず周囲をウロウロしていまうなどが知的障害や発達障害の兆候としてあげられます。また、他の子に比べて運動機能の発達が遅く、動作がぎこちなく見えることも兆候の一つです。
赤ちゃんの知的障害・発達障害が判明するタイミング
1歳半健診
赤ちゃんの知的障害や発達障害は、各自治体で行われる健診で判明する場合があります。1歳半健診では、アイコンタクトがあるかや呼びかけへの反応、歩行に問題はないか等でチェックされます。しかし、この時期は発達の個人差や環境の違いなどにより、知的障害や発達障害の判断をすることは難しく、明確な結果をもらえないことが多くあります。もし不安ならば専門機関に相談してみても良いでしょう。個人差や環境要因を考慮しながら早期支援をしてもらうことができます。
3歳児健診
3歳児健診で発達障害の疑いとなる項目には以下のようなものがあります。周りの子供たちに比べて言葉や運動能力の発達が遅い、集団行動が難しく、他の子たちと関わろうとしないなどです。3歳児健診は、知的障害や発達障害を持つ子供のサポートの早期介入をするのに重要です。健診で気になる点があると言われるということは、特別なサポートが必要であるサイン。なるべく早くからのサポートを受けることで、その子の今後の生活を良い方向に導いてあげることができます。
5歳児健診
5歳児健診は、地域によっては実施されていますがあまり一般的なものではありません。しかし、この時期は周りとの差がだんだん大きくなっていくため、障害の判断には重要な時期。5歳児健診で障害の判断に利用されるチェック項目の例として、片足でケンケンができるかやジャンケンの勝ち負けがわかるか、はっきりとした発音で話すことができるかなどがあげられます。5歳児健診が行われていない地域に住んでいる人も、このような項目をチェックして、子供に知的障害や発達障害の兆候がないか、注意深く見てみると良いでしょう。
就学前健診
就学前健診は、小学校での学びに関わる大切な健診です。就学前健診を通して、小学校での特別な支援が必要かどうかを判断します。特別な支援=必ず特別支援学校や支援級、というわけではなく、この特別な支援には、普通級と通級や情緒支援級の併用といった選択肢も。中には「普通級に通わせたいから就学前健診は受けない」といって子供に健診を受けさせない人がいるようです。しかし、子供たちがそれぞれに合った学び方ができるよう、就学前健診は必ず受けるようにしましょう。
子供の知的障害・発達障害の例
注意欠陥多動性障害(ADHD)
ここからは、子供の知的障害や発達障害の例について説明します。一つ目は、 注意欠陥多動性障害(ADHD)です。注意欠陥多動性障害とは、神経発達障害の一種であり、主に注意力、活動性、衝動性の三つの領域で問題が生じる症状の総称です。一般的には子供や若者に多く見られますが、大人になってからも継続している場合も。注意欠陥多動性障害は個々の症状や状況によって異なるため、個々のニーズに合わせたアプローチが必要であり、医師や専門家との協力が重要です。
広汎性発達障害(PDD)
二つ目は、 広汎性発達障害(PDD)です。これも神経発達障害の一種であり、個人の言語やコミュニケーション、社会的相互作用、興味や行動のパターンに広範囲にわたって問題が生じる状態。発達初期から症状が現れ、生涯にわたって持続する傾向があります。広汎性発達障害は個別の診断の総称で、その中でも代表的なのが自閉症スペクトラム障害(ASD)。自閉症スペクトラム障害は社会的相互作用の困難、コミュニケーションの障害、反復的な行動や興味の制限などの症状が特徴です。これらの広汎性発達障害は、個人によって症状や重症度が大きく異なるため、一般的な特徴はありますが、個々のケースにおいては異なる特性があります。
学習障害(LD)
三つめは、 学習障害(LD)です。読むことや書くこと、計算をすることなど、特定の領域のみで困難があり、全体的には発達の遅れは見られないのが特徴。他に発達の遅れが見られないため努力不足とされ、見過ごされることも多くあります。その結果、子供の学習意欲の低下などに繋がってしまいます。頑張ってもできないことを周囲の人が理解し、適切なサポートをしてあげることが重要です。
子供が知的障害・発達障害かも?と思ったときの相談先
小児科等の医療機関
自分の赤ちゃんに兆候が見られ、知的障害や発達障害かも?と思ったときには、早めに 小児科等の専門機関に相談してみましょう。知的検査や発達検査を通して、知的障害や発達障害の診断を受けることができます。診断が下りると、今後の行政サービスや支援等を受けやすくなることも。知的障害や発達障害の診断をする際、検査結果だけでなく、普段の生活の様子や一日のスケジュールを参考にすることもあります。質問されたときにすぐ答えられるよう、受診する前にメモをしていくのが良いでしょう。
保健センター等の無料相談所
始めから病院に行くのはハードルが高いと感じる人がいるかもしれません。そのときは、自治体が運営する 保健センター等の無料相談所を利用することができます。相談した結果、必要であれば医療機関の受診を進められることも。また、利用可能なサービスの紹介をしてもらうことができます。保健センター等で正式な診断をすることはできませんが、とりあえず相談してみたい、少しだけ不安なことがあるといった時に利用してみるのはいかがでしょうか。
まとめ
兆候に気づくことで知的障害・発達障害への早期療育が可能に
今回は、赤ちゃんに見られる知的障害や発達障害の代表的な兆候を中心に、子供の知的障害や発達障害の例や相談先についても紹介しました。知的障害や発達障害を持つ子供には早くからのサポートをすることで、その子に合った生活を送ることができるようになります。日ごろから赤ちゃんを注意深く観察し、気になるポイントがあったときは早めに専門機関に相談してみてくださいね。