臨床発達心理士とはどんな資格?【資格取得の方法・活躍の場・メリット】

みなさんは臨床発達心理士という資格をご存知でしょうか?臨床発達心理士は人間が加齢に応じて心も成長していく中で、健康的な心の成長を支援していく仕事です。この記事ではその臨床発達心理士の資格について触れていきます。資格の取得方法や受験条件、周辺資格などについても触れていきますよ。特にキャリアアップなどを目指している保育士や幼稚園の教諭の方にはおすすめの資格です。ぜひこの記事を読んで、臨床発達心理士の資格について知っておきましょう。

臨床発達心理士とは?

人の発達段階において健やかに育つための支援をする

臨床発達心理士は人が成長し、健やかに発達するための支援をしていく専門家です。現在、心理士やカウンセラーという名がつく資格は多く存在していますが、発達というフレーズがつくのはこの臨床発達心理士のみです。つまり、特に人の発達を専門にしている資格と言えるでしょう。人は発達に伴って多くの問題に直面していきます。問題を正しく理解し適切なアドバイスや助けをくれる専門家が必要でしょう。これが臨床発達心理士というわけですね。

人が発達していく中での多くの問題に取り組む資格

臨床発達心理士による支援の対象者の範囲は非常に広いです。乳幼児から高齢者など幅広い世代に適用され、子育てを行う親や障害の問題に悩んでいる方など多くのシチュエーションに対応します。人の発達を特に専門としていると上でも述べましたが、人の成長過程におけるさまざまな問題をカバーしていることが分かるでしょう。人は年齢や周囲の状況などによって抱えている問題は異なり、それぞれにとるべき対処法や受けるべき支援があります。そういった幅広い問題に取り組んでいく専門家の資格と言えるでしょう。

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臨床発達心理士になるためには?

受験資格を満たす

臨床発達心理士の資格は学会連合資格「臨床発達心理士」認定運営機構が認定している民間資格。臨床発達心理士になるには大きく分けて二つの条件を満たすことが必要です。一つ目は受験資格を満たすということで、受験資格が大きく分けて5つのタイプに分かれています。タイプⅠは発達心理学隣接諸科学の大学院修士課程在学中または修了後臨床経験3年未満であること。タイプⅡ-1は臨床経験が3年以上かつ発達心理学隣接諸科学の大学院を修了。タイプⅡ-2は臨床経験が3年以上かつ発達心理学隣接諸科学の学部を卒業。タイプⅢは大学や研究機関で研究職をしていること。タイプⅣは公認心理師資格を取得していることです。細かい条件は公式のページでしっかり確認してみてくださいね。参照:一般社団法人 臨床発達心理士認定運営機構

試験に合格する

臨床発達心理士の資格は学会連合資格「臨床発達心理士」認定運営機構が認定している民間資格。臨床発達心理士になるには大きく分けて二つの条件を満たすことが必要です。二つ目は試験に合格するということです。試験は一次審査の筆記試験と二次試験の個別面接で構成されています。受験資格を満たした上で試験にも合格しなければならないという点から、難易度が高い資格と言えるでしょう。ただし、臨床発達心理士の試験の合格率は65%前後と推測されていることから、試験自体の難易度はそこまで高くないとも言えるかもしれませんね。

臨床発達心理士の試験の詳細は?

発達心理学等の知識と技能が必要

臨床発達心理士の受験資格を得ることが難しいことからも分かる通り、資格取得にはかなり専門的な知識を要します。臨床発達心理士に必要とされる知識は3分野に分類されます。一つ目は発達心理学を中心とした心理学諸分野の科学的、理論的な知識。二つ目は人間が実際に発達する場に関する社会的、実践的な知識。最後に、人間の発達をアセスメントし支援する臨床的な技能と知識です。受験資格の取得に発達心理学隣接諸科学関連のものが組み込まれているのもこのためと言えるでしょう。

臨床発達心理士の活躍の場は?

臨床発達心理士には活躍の場が多くある

乳幼児期から始まり、高齢期まで人間は多くの悩みや心の問題を抱え、その悩みは発達の時期によって異なります。臨床発達心理士は一連の人間の発達に対応することができ、対象の年齢層によって働く場所も大きく変わることでしょう。子供だけでなく成人の方々の悩みもカバーしているので、障害者施設や老人ホーム、人によっては家庭裁判所で働いている方もいます。子供たち以外と関わる施設でも活躍することが可能になりますね。子供たちと接する保育園や児童相談所などの施設が自分に合わないなと感じた際に、働く場所を柔軟に変えることができるでしょう。これは臨床発達心理士の資格を取得することの大きなメリットとも言えるでしょう。

保育園

臨床発達心理士の活躍の場として、まずは保育園や幼稚園など子どもと接する現場での仕事が挙げられるでしょう。保育士や幼稚園教諭も子どもと接するための学習をしてきています。ですから子供たちと一緒に遊んだり、共に何かを学んだり、子供たちの支援をしたりという点は臨床発達心理士と同様でしょう。どちらも子供の成長に合わせた支援をする上でのプロですが、臨床発達心理士の支援はより専門的なアプローチを用いることができると言えますね。

発達支援センターやフリースクール

臨床発達心理士の活躍の場として、発達支援センターやフリースクールでの仕事も挙げられます。発達支援センターとは、障がいを持つ未就学の子供たちが通所する施設で、児童発達支援をおこなっています。フリースクールは何らかの理由で学校に通うことができない子供たちが過ごす場所。これらの施設に通う子供たちやその保護者の方々が人間関係のトラブルや悩みを抱えているケースも多くあるでしょう。そのような悩みを聞き支援することができる臨床発達心理士は非常に活躍できることでしょう。フリースクールなどの施設や学校、保育園などを巡回するケースもあるようですね。

高齢者施設や障がい者施設

上でも少し触れましたが、老人ホームなどの高齢者施設や障がい者施設も臨床発達心理士が活躍できる職場と言えるでしょう。高齢者施設や障がい者施設と一括りにしても、幅広い年齢層の方がいることでしょう。それぞれ経験してきたものが異なり、考え方も大きく異なっています。発達心理学を専門としていて、相手の年齢によってアプローチや対応を変えることができる臨床発達心理士が活躍できる場と言えますね。うまく気持ちが伝えられない方にとっても、注意深く観察して向き合ってくれる臨床発達心理士がいると安心できることでしょう。

企業

近年増加している、臨床発達心理士の職場として挙げられるのが企業です。企業内でも臨床発達心理士が活躍するシーンが増えてきたようですね。その企業に勤めている社員が抱えている不安や悩みに関しても対応できる臨床発達心理士。特に社員の方々も昇進や、社内の人間関係、家族との関係など多くの悩みを抱えています。加齢に伴って悩みが変化していくこともあるでしょうが、臨床発達心理士の専門分野です。また近年では企業内に保育所などができていることもあり、子供たちと大人両方をカバーしている臨床発達心理士には大きな活躍の場と言えるでしょう。

臨床発達心理士を取得するメリットは?

多くの応用的な資格も存在している

発達心理学を学び、臨床発達心理士の資格を取得した方におすすめなのが、応用的な資格も取得することです。一つ目は公認心理師の資格です。公認心理師は心理的な問題を抱えた人に対して心理学の知識や技術を用いて支援する専門家。公認心理師法によって心理職として国内唯一の国家資格とされています。二つ目は臨床心理士です。臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が認定している民間資格。心理的な問題を抱えた人に対してカウンセリングなどの専門的技法を用いて支援するためのものです。以上のようによりキャリアアップに有効な応用的な資格が存在しています。臨床発達心理士の資格を取得し、学んだ発達心理学の知識は応用的な資格の取得にもつながることでしょう。

保育士が臨床発達心理士の資格を持つメリットは?

カウンセリングやセミナーも担当できうる

保育士や幼稚園の教諭の方が臨床発達心理士の資格を持っていると、活躍の場が広がっていくことでしょう。人の成長過程において健康な心の成長を支援する臨床発達心理士の資格の専門範囲は乳幼児も含んでいます。保育の現場ではこういった知識は非常に有効でカウンリングやセミナーを担当したり、特別支援教育コーディネーターの業務を担うこともあります。保護者の方の相談の対応など多くの業務を担えることができるようになるので、昇格や昇給の機会も得られることでしょう。

子供の発達にうまく対応できる

子供から高齢者までの成長過程での心の問題を支援する臨床発達心理士のための資格。資格を取得することで発達心理学の多くの知識や技術を得られることでしょう。乳幼児期の子供たちに対しても多様な発達にもうまく対応できるようになっていきます。子育て支援や発達障害を持つ子どもへのサポートなど活躍の場が広がると同時に、対応できる問題も増えることでしょう。できることが増えることによって昇格や昇給が見込めることはもちろん、自分の充実感や満足度も上がっていくでしょう。

臨床発達心理士と臨床心理師との違いは

対応分野の広さが違う

臨床発達心理士の資格名を聞くと、臨床心理士の資格と混同される方も多くいます。実際に臨床発達心理士と臨床心理士の仕事は似ているケースも多いですが、臨床発達心理士の発達の観点がこの二つの資格の大きな違いと言えるでしょう。臨床発達心理士の資格は、乳幼児から高齢者までの加齢に応じた、心の問題を対象にしています。一方で、臨床心理士は発達の観点ではなく一般的な心の問題を対象にしています。混同して、両資格の取得方法や受験条件などを間違えるケースもあるので注意が必要ですね。

まとめ

興味を持ったらぜひ挑戦してみよう

いかがだったでしょうか。この記事では臨床発達心理士という資格ついて説明してきました。臨床発達心理士がどのような資格かという説明に加えて、取得方法や受験条件や周辺資格についても触れてきましたね。心理系の資格は複数存在していて、非常に有効であるということ。そして今回紹介した臨床発達心理士もその一つであるということが分かったのではないでしょうか。キャリアアップや新たな活躍の場を求めている方には特におすすめの資格でしたね。受験条件もありますが取得できると非常に有意義で、子供たちのためにもなる資格でした。今回紹介した臨床発達心理士の資格に興味を持った方はぜひ挑戦してみてくださいね。

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