子ども家庭福祉論とは?具体的な施策やおすすめの本を紹介!【第7版・山縣・教科書・本・第4版】

皆さんは子ども家庭福祉論という言葉を聞いたことはありますか?子ども家庭福祉論は、保育に関わる人にとってはとても大切な概念です。ここでは、子ども家庭福祉論について、注目された背景やその内容について説明してきます。子ども家庭福祉論に基づいた保育における課題なども紹介していきますよ。最後には子ども家庭福祉論について学べるおすすめの本も紹介します。保護者の人はもちろん、保育士さんなど保育に関わる人はぜひ参考にしてみてください。

子ども家庭福祉論とは

子どもの周りの環境を含めて福祉を行おうとする考え

子ども家庭福祉論とは、子どもの周りの環境を含めて福祉を行おうとする考えのことです。保育や子育てを考えるとき、ついつい子どもにのみ意識を向けていませんか?保育について考えるにおいて、子どものことを1番に考えることはもちろん大切です。しかし、子どもを取り巻く家庭環境や保育現場、地域の状況などを含めて考えることも重要ですよ。このように、子ども自身だけでなく、子どもの周りの環境も含めて福祉を考えることが、子ども家庭福祉論の考え方です。

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子ども家庭福祉論が注目されている背景

社会の変化に伴う子育て環境の変化

それでは、子ども家庭福祉論はなぜ注目されているのでしょうか。子ども家庭福祉論が注目されるようになった背景としては、社会の変化に伴う子育て環境の変化にあります。日本社会は、ここ数十年で大きく変化してきました。具体的には、経済状況の変化はもちろん、女性の社会進出や晩婚化に伴う少子化などが挙げられますね。一人親や核家族世帯が増えたことによって、家庭環境も変わりました。都市部と地方での状況も大きく異なります。子ども家庭福祉論に基づいて、子どもを取り巻く環境の変化に合わせた児童福祉を行うことが求められているということですね。

子どもや家庭を取り巻く現在の状況

共働きや一人親の家庭が増加

子どもや家庭を取り巻く現在の状況の変化としては、共働きや一人親の家庭が増加したということです。1980年代までは、女性が家で家事を行い、男性が外に働きに出るという家庭が一般的でした。2世帯で住んでいる家庭も多く、子供が母親や祖父母と過ごす時間は今より長かったと考えられます。一方で、1人の収入では家計を支えることができない世帯が増え、女性の社会進出も進んでいった結果共働き世帯が増加しました。また、日本では1990年代以降離婚率も上昇しています。結果的に一人親世帯が増え、保育における環境は大きく変化していると言えるでしょう。

広がる都市と地方の差

子どもや家庭を取り巻く環境としては、都市と地方の差も挙げられます。日本では全体的に少子化が進んでいる一方、都市部では待機児童の問題が深刻です。そもそも日本における保育士人材は大きく不足していると言われているため、当然の結果であるとも言えるでしょう。一方で、過疎化が進む地方では、子供が集まらずに閉演となる保育園や幼稚園も存在します。都市への一極集中が進んだ結果の差であると言えますね。

児童福祉との違い

子ども家庭福祉の方がより包括的に福祉を行う

ここでは、子ども家庭福祉論と児童福祉との違いを説明していきます。子ども家庭福祉論は聞き馴染みがなくても、児童福祉という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。児童福祉とは、子どものより良い生活のために、子どもが抱える問題に対処していこうという考え方です。子どもの生活をより良くするための考えである点では、子ども家庭福祉論と似ていますね。しかし、児童福祉はあくまでも子ども主体に視点があるため、子ども自身の問題についての対処が主な課題です。それに対して、子ども家庭福祉論では子ども自身のみならず、子どもを取り巻く環境にも目を向けている点に違いがあります。子ども家庭福祉論の方がより包括的な考え方であることがわかりますね。

子ども家庭福祉論に基づいた具体的な施策

一人親家庭に向けた施策

子ども家庭福祉論に基づいた具体的な施策としては、一人親家庭に向けた施策が考えられます。一人親家庭の中には、十分な養育費を受け取ることができていない人も多くいますよね。そのため、働きながらの子育てを1人で行っている人も多いでしょう。経済的支援に加え子育て・生活支援など様々な支援が必要です。保育所等に優先的に入所できるようにしたり、児童扶養手当を支給したりするなどの施策が行われていますよ。

養護が必要な児童に向けた施策

養護が必要な児童に向けた施策も、子ども家庭福祉論に基づいた施策です。養護が必要な児童とは、障害を持つ児童の他にも様々な児童が挙げられます。例えば、母子家庭で貧困世帯にある児童や、虐待を受けている、または受けた経験のある児童などが挙げられるでしょう。児童デイサービスの普及によって、在宅で障害を持つ子どもが支援を受けられるようにするなどの支援が行われています。また、特別児童扶養手当の支給なども子ども家庭福祉論に関連する取り組みですね。虐待防止のために、児童虐待防止法改正案なども審議されています。

地域で子育てを支援する施策

子ども家庭福祉論については、地域での子育てを支援する施策も挙げられます。子ども家庭福祉論では、子どもを取り巻く環境にも目を向けて保育を考えることが大切だと説明しました。そのため、各地域に合った保育支援を行っていくことが重要ですよね。地域によって子育てにおけるニーズは様々です。それらの異なるニーズに応えるために、保育施設の整備を行ったり、適切な情報提供を行ったりということが行われています。

母子と乳児の健康を守る施策

母子と乳児の健康を守る施策も、子ども家庭福祉論に基づいています。子どもが健やかに育つためには、母子と乳児が健康であるということは大前提で必要なことですよね。妊婦さんや乳児の健康管理のために、保健所を中心とした政策が進められています。妊娠時から出産後における過ごし方や乳幼児に対する知識を普及させたり、健康診断などが行われたりしています。予防医学として、健康教育に力が入れられていると言えるでしょう。

子ども家庭福祉論に基づいた保育の課題

家庭支援を行う

子ども家庭福祉論に基づいた保育の課題としては、家庭支援を行うことが挙げられます。子どもを取り巻く環境として、最初に考えられるのが家庭環境です。子どもが生まれてから自立するまで最も長い時間を過ごす環境でもありますね。具体的な家庭支援とは、世帯への児童手当の支給などの経済的支援にとどまりません。保育に関する適切な情報提供や、子育てに悩む保護者の相談窓口を増やすことなども考えられるでしょう。子どもがいる全ての家庭が健全に子育てを行えるような支援が必要だと言えますね。

保育の専門性を身に着ける

子ども家庭福祉論に基づいた2つめの課題としては、保育の専門性を身に着ける、ということが挙げられます。子ども家庭福祉論とは、子どものみならずその周りの環境まで視野に入れた保育を行う必要があります。しかしこれは簡単なことではありませんよね。子どもに対する単なる知識だけでなく、包括的に保育における専門性を高める必要が出てきます。様々な環境や状況に適した保育を行うためにも、保育士さんなどにおける保育の専門性を高めることが求められています。

子どもの安全と健康を守る

子どもの安全と健康を守ることも、子ども家庭福祉論に基づいた課題です。児童福祉においても重要な、基本の課題だと言えますね。子どもの安全と健康が守られていなければ、福祉が充実しているとは言えません。まずは子どもの安全と健康を確保することが第一ですよね。子どもが自ら安全を守れるように、事故を予防するための指導が行われたり、適度な運動習慣の推進だったりが進められています

子どもに寄り添う姿勢を持つ

子ども家庭福祉論における課題としては、子どもに寄り添う姿勢を持つということも挙げられます。子どもが健やかに育つためには、子どもに寄り添う気持ちを忘れてはいけません。いくら大人の視点から様々な取り組みを行ったとしても、それが子どもにとって本当に良いことでなければ意味がないですよね。子どもに本当に必要なことは何なのか、常に考え続けながら保育に取り組む姿勢が大切です。

子ども家庭福祉論について学べるおすすめの本

子ども家庭福祉論を4つの観点から説明する本

初めに紹介するのは、4つの観点から子ども家庭福祉論について学べる本です。現状、理念、制度、方法の4つの観点が盛り込まれているため、子ども家庭福祉について網羅的に学ぶことができます。子ども家庭福祉論が現在までどのように議論されてきたのか、歴史的な変遷についても知ることができますよ。制度や法律に関する記述も新しく改定されているため、近年の子ども家庭福祉における課題についても考えることができるでしょう。子ども家庭福祉論について、全般的に勉強したい人におすすめです。

子ども家庭福祉論をわかりやすい表現で解説する本

2つ目に紹介するのは、子ども家庭福祉論についてわかりやすい表現で解説している本です。この本の特徴は、基礎的な知識をわかりやすく学べる点にあります。子ども家庭福祉論という言葉を初めて聞いた人にとっては、いきなり詳細を説明する本だとわかりにくいですよね。この本では、子ども家庭福祉とは何なのか、という基本的な問いに対しての答えを見つけることができるでしょう。子ども家庭福祉論に基づく新制度や支援についても解説していますよ。子どもの支援に携わりたいと考えている人にもおすすめの本です。

保育士さんなど保育の専門職を目指す人におすすめの本

3つ目に紹介するのは、特に保育士さんにおすすめの本です。保育士さん以外にも、保育の専門職を目指す人全般におすすめできるでしょう。子どもの権利とは何か、子どもの幸せとは何かを子ども家庭福祉論に基づいて解説する本です。近年の法改正や制度改革の内容が反映されているため、新しい情報も含めて勉強したい人にもぴったりですね。子どもの未来を本気で考え、将来保育の専門職を目指す人には読んでもらいたい一冊です。

児童福祉についても学べて学生にもおすすめの本

最後に紹介するのは、子ども家庭福祉論に加えて児童福祉についても学べる本です。子ども家庭福祉と児童福祉は、似ているようで違いがありますよね。一方、子ども家庭福祉論の根底には常に児童福祉の考え方があります。従って、両方について学べる一冊というのは嬉しいポイントですね。児童福祉学の教科書として用いられることもありますよ。保育について学ぶ学生にもおすすめの本だと言えるでしょう。

まとめ

子ども家庭福祉論を理解して保育に生かそう

ここまで、子ども家庭福祉論について児童福祉との違いや具体的な施策を例に説明してきました。子ども家庭福祉論は、より良い保育を提供していくためには欠かせない考え方だと言えるでしょう。この考え方をもとにすると、保育の課題も複数浮かび上がってきます。子どもの健やかな成長のためには、子どもが元気に過ごせる環境を作っていく必要がありますよね。これは保育に携わる人以外にも、国や地域全体で取り組むべきことです。子ども家庭福祉論について理解を深めて、保育に生かすことができると良いですね。

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