知的障害者のスポーツ事情!【パラリンピック・種目・ユニファイドスポーツ・運動の特徴など】

みなさんは、パラリンピックにどのくらい関心があるでしょうか。パラリンピックは、4年に1度開催される障害者スポーツの祭典ですよね。このパラリンピックの競技種目のうちのいくつかには、知的障害クラスという知的障害を抱える人が出場するクラスを含んでいます。今回はこのパラリンピックの知的障害クラスについて紹介します。その他の知的障害者スポーツなどにも触れていきます。ぜひこの記事を読んで、知的障害スポーツについて知り、知的障害を抱える子供たちの運動についても考えてみてくださいね。

パラリンピックとは

世界最高峰の障害者スポーツ大会

パラリンピックは障害者を対象にしているもう一つのオリンピックと称されている、世界最高峰の障害者スポーツ大会ですね。オリンピックと同様四年に一度開催される大会で、オリンピックの終了直後からオリンピックの開催地と同じ場所で開催されています。パラリンピックという名前は、もうひとつのという意味を表すParallelとオリンピック(Olympic)を組み合わせて作られていて、名前の通りもう一つのオリンピックと言えるでしょう。もともとはリハビリを目的としたスポーツ大会でしたが、1952年に国際大会として定められ、それ以降はアスリートが参加する競技スポーツの枠組みに組み込まれていますね。

保育士くらぶ

夏季パラリンピックの知的障害クラスの種目

陸上

東京2020パラリンピックでは22競技539種目が実施されました。しかし、パラリンピックの競技のうち知的障害クラスがあった競技は3つで、21種目となっています。その1つが陸上競技ですね。パラリンピックでは13種目の陸上競技が行われました。そのうちの知的障害クラスが存在したのは400m走、1500m走、砲丸投げ、走り幅跳びの4種目のみとなっています。東京2020パラリンピックでも、多くの日本人が出場しました。走り幅跳びの小久保寛太選手や1500m走で古屋 杏樹選手が4位という素晴らしい成績を残すなど、多くの日本人選手が活躍していましたね。

水泳

東京2020パラリンピックでは、水泳でも知的障害クラスが設置されています。オリンピックと同様に、自由型や背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライの4種目を行い、個人メドレーやメドレーリレーも行われました。水泳の知的障害クラスには多くの日本人選手が出場し、活躍を見せてくれましたね。その中でも、100m平泳ぎに出場した日本の山口尚秀選手が世界レコードを更新して金メダルを獲得しました。山口選手は、その後の世界選手権でも記録を更新するなど次回以降のパラリンピックでも目が離せないでしょう。

卓球

卓球も東京パラリンピックの知的障害クラスで行われた競技の1つです。知的障害クラスでは行われたのは、男子シングルスと女子シングルスでした。男子シングルスの出場者は12人で、女子シングルスの出場者は8人しか参加できないという舞台。参加人数は男女合わせて20人という非常に狭き門でしたが、日本人は5人も出場し、大いに活躍しました。メダルには手が届かなかったものの、今後のパラリンピックでも期待したいですよね。

夏季パラリンピックの知的障害クラスの特徴は?

IQスコア75以下であることなどの出場条件がある

パラスポーツでは、公平に競うために障害の種類や程度を合わせるクラス分けという概念があります。パラリンピックでは知的障害者を対象としたクラスも存在しています。知的障害パラリンピックの出場条件は次の3つだとされています。
1) IQスコアが75以下であること。
2) コミュニケーション能力や生活自立能力、社会的・対人的スキルなどの適応行動に制限があること。
3)障害が18 歳までにあらわれていること。
これらの条件を満たした選手が各種目で競い合っていいるというわけですね。

障害の程度によるクラス分けがない

パラリンピックでは、基本的に障害の種類や程度によってよりクラスが細かく分かれているので公平に競う状態が整備されていると言えるでしょう。しかし知的障害者クラスには程度によるクラス分けがなく出場できる選手が限定されているという現状があります。つまり軽度の選手と重度の選手が同じステージで競い合うということになりますね。知的障害の程度が競技の結果に直結しない可能性があることが、より詳細なクラス分けに至らない理由とされています。加えて、過去には健常者が出場するという不正があり、廃止されていた時期もあったことによって整備が遅れていると言えるでしょう。

知的障害者のスポーツの実情

冬季パラリンピックには知的障害クラスがない

ここまで述べてきたように、競技などに制限はあるものの、夏季パラリンピックには知的障害クラスがありましたね。一方で、もう一つのパラリンピックである、冬季パラリンピックには知的障害クラスはありません。実は、1998年の長野パラリンピックでは知的障害者選手も参加できるようになったという過去があります。しかし、不正などの問題が起きて廃止されて以降、冬季のパラリンピック種目の知的障害クラスは再設置されていません。全日本選手権には知的障害クラスがあるので、選手たちは必死に努力を続けていますが、冬季パラリンピックには出場が叶わないという状態になっています。ルール等の整備を適切に行って、冬季パラリンピックでも知的障害クラスの競技が行われてほしいですね。

日本知的障害者選手権では新たなクラス追加の動きも

知的障害者スポーツ業界では、多くの工夫がなされていて、より平等でより良い環境への変革が始まっています。その例として、日本知的障害者選手権新春水泳競技大会が挙げられるでしょう。この大会では、2023年に行われた第6回大会から新たにダウン症クラスが設けられました。他の大会でも、知的障害クラスとダウン症クラスの2クラスに分けて競技を行うケースが増えていますね。パラリンピックをはじめとする、知的障害クラスが統一されている競技大会でも今後採用されるかもしれませんね。

その他の知的障害者スポーツ種目は?

知的障害者サッカー

パラリンピックでは知的障害クラスは設けられていないものの、多くの方がプレーしているスポーツも多くあります。その例としてサッカーが挙げられますね。特に知的障害者サッカーは、全国障害者スポーツ大会の競技種目にもなっていて、現在日本には6000人ほどのプレイヤーがいて、150ほどのクラブチームがあるとされています。Virtusサッカー世界選手権大会という、4年に1度行われる大会もあり、世界中でプレーされているスポーツと言えるでしょう。

バレーボール

バレーボールも知的障害者スポーツとしてプレーされているスポーツの1つです。パラリンピックでは、シッティングバレーボールという臀部を地面につけたままボールを繋ぐバレーボールの競技が行われています。しかし、バレーボールの知的障害クラスをはじめとする多くのクラスは競技とされていません。知的障害バレーボールは、ネットの高さは中学生と同じですがその他のルールは一般のバレーボールと同様で行われています。昭和61年から正式に競技としてプレーされていて、知的障害者スポーツの中でも歴史のある種目の一つと言えるでしょう。

知的障害者スポーツの取り組み

ユニファイドスポーツ

現在、知的障害者スポーツ界ではユニファイドスポーツプログラムという取り組みが進んでいます。ユニファイドスポーツとは、知的障害のある人とない人が一緒に行うスポーツ活動ですね。ボランティアの方が知的障害を抱える子供たちとチームになるなど、多様な人々と交流することができますよ。スポーツを通じて、交流を行い、より相手の個性を理解したり、支えあったりすることができるでしょう。経験を共有し、絆を育むことで、インクルーシブな社会の形成を目指しています。

知的障害者の運動における特徴

体力がなく、体力低下の程度も大きい

実際に知的障害を抱える人の運動についても考えてみましょう。知的障害を抱えていても、発育には大きな影響はなく、体格は遅れずに発達することが多いとされています。一方で、知的障害者は健常者と比べて、体力がないことが多いようです。特に知的障害を抱える子供は、精神発達の遅れの影響で運動能力が未発達であるというケースもあるようですね。放課後等デイサービスをはじめとする施設に通って、継続的に運動をしていると、改善されることも大いにあります。

運動に対する理解や意欲が低いため運動能力が伸びにくい

上で述べたように、知的障害の有無による体格の発達の差異に大きな影 響はありませんでした。しかし、知的障害を抱える人は運動能力が伸びにくかったり、運動自体が苦手であったりすることも多いでしょう。これは、運動に対する理解が足りていなかったり、運動しようという意欲自体が低かったりすることが原因の一つと言えるでしょう。何か運動をする際に、ルールがわからず、楽しく思えないということもありますよね。実際に、障害者の運動不足は問題になっています。難しい問題ではあるものの、運動の機会が増えるような工夫が必要と言えますね。

知的障害者が取り組む運動のポイント

ルールの工夫

知的障害者スポーツや知的障害者の方が取り組む運動をより楽しく、より身近なものにしていくためにも、ルールの工夫が有効であると言えるでしょう。知的障害を抱える人が運動を敬遠してしまう理由として、ルールが分からなかったり、運動に対する理解が足りなかったりするということが挙げられましたよね。ですから、ルールをシンプルにしたり、プレーする人が詰まりやすい問題点を取り除くということが重要となるでしょう。特に、子供が参加するスポーツや、運動療育ではルールの工夫が重要だと言えますね。

介助者との関わり合いを増やす

知的障害を抱える人が、運動に取り組むためのポイントとして、介助者との関わりを増やすということも挙げられます。ルールを工夫して、分かりやすくしたとしても、詰まってしまうポイントを完全に取り除くことは難しいと言えるでしょう。ですから、分からない時に頼れる人が周囲にいるということが重要と言えますね。また、身近な人が一緒にプレーすることで、見本となることもできますし、安心して運動に取り組む環境を整えることにもつながります。

まとめ

知的障害パラリンピックを見て知的障害を抱える子供の運動について考えよう

いかがだったでしょうか。今回は、パラリンピックの知的障害クラスをはじめ知的障害者スポーツにフォーカスしました。多くの人が知的障害者スポーツに取り組んでいることが分かりましたね。より整備された環境のために、取り組みや工夫が行われている知的障害者スポーツ。パラリンピックを含むさまざまなスポーツは、知的障害を抱える子供の運動のきっかけになるでしょう。今後、より知的障害スポーツに関心が向き、子供たちの希望やモチベーションにつながることを期待したいですね。

保育士くらぶ

ABOUTこの記事をかいた人

保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/