乳児の肌荒れの原因は?【乳児湿疹・おむつかぶれ・予防法・治し方】

乳児期の敏感な肌には、肌荒れは付き物です。保育士さんは、保護者の方から乳児の肌荒れについて相談を受けることも少なくないと思います。適切なケア方法や肌荒れの原因について説明できるようにしておくと、保護者の方にとって心強い保育士さんになれますよ。この記事では乳児期に起きやすい肌荒れや、その原因、ケアの仕方を紹介しています。乳児の肌トラブルについて知りたい、説明できるようになりたい保育士さんにぜひ読んでいただきたい記事です。

乳児の肌荒れが起きやすい原因は?

乳児の肌のバリア機能が弱いから

生まれたての乳児の肌は、一見きめ細かくきれいで、肌トラブルとは無縁のように見えますよね。しかし、赤ちゃんの肌は大人と比べて未発達で弱いため、少しの刺激にも敏感で荒れやすいのです。また、乳児の肌は、生まれてから生後2~3カ月までは皮脂の分泌が激しく、2~3カ月を過ぎるととても乾燥しやすくなるという特徴があります。期間によって適切な肌ケア方法が変わってくるので、注意しましょう。

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乳児の肌の特徴

汗っかきで肌が薄い

乳児は、大人と比べて汗っかきで肌が薄いという特徴があります。なんと乳児は大人の3倍近くも汗をかきます。汗は、あせもの発生や、アトピー性皮膚炎を悪化させてしまう原因になるので、こまめに拭き取ってあげましょう。また、乳児の肌の厚みは、大人の約半分程度しかありません。そのため紫外線やほこりなど、些細な刺激にも敏感で、すぐに肌が荒れてしまうのです。汗っかきで肌が薄いことが、肌荒れの要因となってしまうのですね。

顔だけが肌荒れするのはなぜ?

顔や頭は皮脂分泌が過剰になりやすいため

体は肌荒れしないのに、かぶれたりできものができたり、顔だけが肌荒れしてしまう赤ちゃんはたくさんいます。これは、生後間もなく不安定なホルモンバランスの影響で、必要以上に分泌された皮脂が、皮脂分泌が特に多い顔や頭からたくさん出てしまうからです。患部をよく洗って清潔に保つことで、生後8~12か月ごろまでには自然に治りますよ。炎症を伴う場合や、症状が長引く場合は、外用薬による治療を行うこともあります。

乳児湿疹の可能性が高い

皮脂の分泌量が多い顔だけが肌荒れしている場合は、乳児湿疹の可能性が高いと言えます。具体的な症状は、赤く油っぽい新生児ニキビと呼ばれるできものができたり、うろこ状のかさぶたのようなものができたりします。これは皮脂の過剰分泌が原因で、おでこや眉毛のあたりに出ることが多いです。乾燥が原因の湿疹の場合、頬などが赤くなってがさがさになり、かゆみが出ます。この原因は、生後5か月ごろからの乾燥によることが多いようですよ。

乳児期に起こりやすい肌トラブル

①乳児湿疹

乳児湿疹とは、過剰な皮脂分泌や乾燥が原因となって、乳児の肌に湿疹が出ることです。頭部の乳児湿疹は、脂漏性湿疹と乾燥性湿疹に分けられます。脂漏性湿疹は生後すぐから2~3か月ごろまで見られる、皮脂の過剰分泌による乳児湿疹で、赤い斑点ができる、水疱ができる、黄色い汁が固まるなどの症状が出ますよ。乾燥性湿疹は、生後5か月ごろからの乾燥によって起こり、乾燥して赤みを帯びる、湿疹が出る、かゆみが出る、皮がむけるなどの症状が出ます。どちらも乳児湿疹ではありますが、原因も症状も治し方も異なるので、それぞれ適切にケアしましょう。

②あせも

乳児は暑がりで汗っかきです。大人が寒いからといって、乳児に必要以上に厚着をさせてしまうと、汗をかいてあせもができてしまいます。厚着になりすぎないように、乳児が暑がったり寒がったりしていないかよく観察して、乳児用の肌着を重ね着して体温を調節してあげましょう。また、ガーゼハンカチなどの水分を吸い取る布を乳児の背中に入れておくと、汗を吸い取ってくれるのに加え、すぐに取り換えて体を清潔に保てるので便利ですよ。

③おむつかぶれ

おむつかぶれとは、おむつの中で排せつ物や汗の湿気でお尻が蒸れ、排せつ物のアンモニアや酵素にの刺激で炎症が起きてしまう症状のことです。あせもとは異なり、肛門周りなどおむつが直接触れない部分が赤くかぶれるという特徴があります。赤ちゃんがおしりを気にしたり、お尻を拭かれて痛がったりとサインを出すことがありますよ。初期段階で気づいてケアしてあげればすぐに治るので、赤ちゃんからのサインを見逃さないようにしましょうね。

④よだれかぶれ

よだれかぶれとは、口元についたよだれやよごれによる刺激で起きるかぶれです。口元のよごれを放置せず、すぐに拭き取ってあげることで予防できます。しかし、肌が敏感な赤ちゃんは、よだれを拭き取るときの些細な刺激でも肌荒れに繋がってしまうので、注意しましょう。乳児の口元を拭くときは柔らかい布で、擦らず抑えるように汚れを拭き取りましょう。また、食事の前に口周りにワセリンを塗っておくと、拭き取りによる刺激をやわらげることができますよ。

肌トラブルごとの治し方

かぶれの治し方

乳児の肌がかぶれてしまった時のホームケアはどうしたらよいのでしょうか。基本的には、かぶれてしまった箇所の汚れをこまめに拭き取り、薬を塗ることで治ります。また、この時によごれと一緒に皮脂も拭き取られてしまうため、肌を保湿してあげましょう。かぶれを治すにはステロイドが有効ではありますが、生後間もない乳児には刺激が強いため、どの薬を使うかは、乳児の肌の様子を見て医師と相談することが大切です。自己判断で市販のステロイドを塗るのは避けたほうが良いしょう。

乳児湿疹の治し方

乳児湿疹を直すときには、まずは原因が乾燥によるものか、過剰な皮脂分泌によるものかを知ることが必要です。もしそれが皮脂分泌によるものであれば、石鹸を泡立ててから手で優しく患部を洗いましょう。そして、固まっている皮脂は、ベビーオイルなどでふやかしてそっと取り除きます。乾燥によるものであれば、アレルギー物質を含まない保湿クリームを塗るなどのケアが有効ですよ。病院に行くと、赤ちゃんの肌の状態に応じて、弱いステロイドを処方されることもあります。治らない病気ではないので落ち着いて対処しましょう。

なかなか肌トラブルが治らない場合

治りが遅いときは病院へ

乳児湿疹やかぶれは乳児によくある肌トラブルなので、心配しすぎることはありません。患部を清潔に保ち、適度に保湿してあげればだんだんよくなっていきます。しかし、よくあることだからと放置するとアトピーを引き起こしたり、傷口から菌が入って他の病気にかかってしまったりする危険があります。適切に処置をしても治りが遅いときや、何か心配に思うことがあればすぐ病院に行ってくださいね。また、自己判断で市販薬を使用することは避けましょう。必ず医師に処方してもらった薬を使ってくださいね。

すぐ病院に行くべき肌トラブルは?

肌荒れとともに発熱がある場合

多少の肌荒れであれば自宅で様子を見ても問題ないのですが、すぐに病院に行くべき症状が出ている場合があります。たとえば、肌荒れに伴い発熱がある場合です。特に、生後3カ月未満の乳児で38度以上の発熱があるときは、すぐに小児科を受診しましょう。発熱、嘔吐、下痢などの症状がある場合、ただの肌荒れではなく、何らかの病気やアレルギー反応が起きている可能性があるので、医師に診てもらった方が良いですよ。

湿疹が膿んでいる場合

湿疹が膿んでいる場合はすぐに病院に行きましょう。最初はカサカサしている乾燥した傷でも、放置しているうちに傷口が赤くなっていき、汁が出たり出血したりを繰り返していきます。やがて傷口が細菌に感染すると、湿疹がジュクジュクと膿んだ状態になってしまいます。この状態になってしまったら、すぐに小児科を受診しましょうね。かなり進行した状態なので、自己判断での治療を行うより医師に治療法を相談した方がよいでしょう。

肌荒れの予防方法は?

体を丁寧に洗う

肌荒れを予防するには自宅での肌ケアが重要です。保護者の方にケア方法を聞かれた場合は、自宅でできることとしてこれから紹介する体の洗い方などを伝えてみてください。基礎的なことですが、乳児は関節などくびれの部分が汚れやすいので特によく洗ってあげましょう。洗うときは、しっかりと泡立てた乳児用の石鹸を手に取って、乳児の体を優しくなでるように洗います。ボディスポンジで擦らずに手だけで洗い、乳児の肌を刺激しないようにしましょう。

ローションやクリームで保湿する

乳児をお風呂に入れた後は、ローションやクリームでしっかり保湿してあげましょう。肌の乾燥は赤みやかゆみを伴う、乾燥性の乳児湿疹の原因にもなります。保湿の時間は乳児に声掛けをしながら頬や体を優しくなでてスキンシップを取り、親子の仲を深める時間でもあります。子供とスキンシップを取りながら楽しく保湿するように、保護者の方にお話ししてみてくださいね。また、洗浄料を選ぶ際には、低刺激であること、アレルギーテストをクリアしていることに注意し、赤ちゃん用のものを選ぶようにしましょう。

爪をこまめに切る

乳児の爪を切ることで肌荒れを予防できます。伸びた爪の裏には、目に見えない汚れがたくさん詰まっています。その指で顔や体に触れることは、肌荒れの原因となってしまうため、爪の白い部分が伸びてきたらすぐに切るようにしましょう。乳児の爪切りの頻度は週に1回程度です。また、爪を切るときは指を傷つけないように、ベビー用の爪切りを使うようにしましょう。赤ちゃんが寝ている間に切り終えてしまうと、機嫌が悪くならずに済むのでおすすめですよ。

寝具を清潔に保つ

寝具をこまめに取り換えることも有効です。汗っかきな乳児は寝ている間にもたくさんの汗をかきます。乳児の汗の染みついた寝具を取り換えないままにしていると不衛生ですよね。乳児の周りの環境をできる限り清潔に保つことが一番の肌荒れ対策になるので、定期的に寝具を取り換えてあげましょう。また、乳児の頭の下にフェイスタオルを敷いておくと、ミルクを吐き戻してしまった時にもすぐ取り換えられるのでお勧めですよ。

まとめ

肌トラブルが起きても慌てず対応しよう

生まれて間もない乳児に肌トラブルが起きると、保護者の方はとても不安になってしまうものです。保護者の方が慌てていても、保育士さんが安心させてあげられるといいですよね。肌トラブルについて知っておくと、保護者の方に助言してあげられるだけでなく、乳児が何らかの病気にかかっていることに気づけるかもしれません。ぜひこの記事を参考にして、肌トラブルへの対応方法を一度考えてみてくださいね。

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